遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

やきとり祭り防衛指令の巻

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8月も早や、折り返し地点を過ぎての下旬――

とは言え、まだまだ暑い日が続くのは北海道とて例外ではない。

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だが、そんな強烈な日差しにも負けないくらいの、人の気持ちの「熱さ」で

日本全国津々浦々では、楽しい催し物があちこちで目白押し。

 

ここ、北海道千歳市で催されているこのイベント……

その名もズバリな「やきとり祭り」も、北の短い夏をより楽しく、景気よく

元気いっぱいに彩ってくれるスペシャル企画に他ならない。

と言うわけで、幕を開けた『飛び出せ!! 宙マン』。

今回はここ、千歳市内某所の「やきとり祭り」会場から物語を始めよう。

 

 

落合さん「あらあら~、凄い賑わいっぷりですわねぇ!」

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ビーコン「事前の宣伝が凄かったから、人は来ると思ってたスけど……

 まさかここまでとはねぇ、オイラの予想以上っスよ」

ピグモン「はうはう~、賑やかでピグちゃん楽しいの~☆」

宙マン「うん、うんっ。……それにもましてこの香りだよ。

 炭火で肉がどんどん焼けてく匂いの香ばしさ、もう堪らないねぇ!」

会場である千歳市内某所の広場は、既に特設テント内の参加店舗が

炭火やガスで次々に焼き上げていくやきとりの香ばしい煙があちこちで渦巻き

それを味わうべく集まってきた多くの人たちのエネルギーと、快晴に恵まれた

この日ならではの太陽光線の照りつけが三位一体となり、凄まじい熱気となって

到着早々、まずはそれに圧倒されてしまうほど。

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みくるん「うふふっ、だけどここまで来たからにはぁ……」

ながもん「(ボソッと)……何も、食べずには……帰れない」

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宙マン「やぁやぁ、みくるんちゃんにながもんちゃん!」

ビーコン「いえっふ~、どもども、おこんつわっス~」

ピグモン「やっぱりなの、二人もきっと来るって思ってたの~」

ながもん「当たり前。……当然。……そして、常識」

落合さん「先程お殿様も仰っておりました通り……

 何と申しましても、この煙とこの香りですもの」

宙マン「その中に飛び込んでしまった以上、無傷で帰れる道理はないさ」

みくるん「もっちろん、私たちも覚悟は出来てますぅ!」

ピグモン「はうはう~、そうこなくっちゃなの~♪」

落合さん「さぁ皆様、私たちも行列に並びましょう!」

ビーコン「ひゃ~、それにしてもこの炎天下、みんなよく並ぶ気になるっスね!」

宙マン「はっはっはっ、それがやきとりならではの抗しがたい魅力ってやつさ。

 特に今の季節、青空の下で冷たい飲み物と一緒に食べる串は、ね!」

みくるん「ですよね~♪」

 

……などと言う他愛ない会話も、長い行列待ちの時間をただ無為なものにせず

お祭りをより楽しむ上での絶妙のスパイス。

だが、そんな和気藹々の空気を破るものが、突如として現れる。

これまで千歳に出現した、幾多の邪悪な侵入者がそうであったように……

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遥かなる宇宙の彼方から、音を超え、空気を切り裂き。

真っ赤な光球と化して、一直線に千歳へ降りて来たのであった!

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ゴ ウ ン ッ !

 

落合さん「!!(ハッとして空を見上げる)」

ビーコン「どひ~っ、よりによってこのタイミングっスかぁ!?」

ズゴゴゴグワーンっ!

 

大音響とともに、千歳市の上空から猛スピードで飛来して

一直線に落下、大爆発を起こす赤い球体。

吹き上がる赤い噴煙の中から立ち上がったのは……!

「クエァァァァーンっ!!」

 

みくるん「ああっ、怪獣さんですぅ!」

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ながもん「惜しいっ。あれは……怪獣の、ようで……宇宙人」

ピグモン「えう~、どっちでもいいけど怖いの~!」

宙マン「(頷きつつ)ああ、あの宇宙人、私も見覚えのある顔だぞ――」

宙マン「宇宙鳥人・アイロス星人! そうだったな!?」

アイロス星人「クァルル~、流石は宙マン!」

 

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知性以上の攻撃性が前面に顕れた悪魔的表情。

怪獣軍団屈指の喧嘩好きで知られる無法者、かつて一度、我らが宙マンとも

干戈を交えたことのあるアイロス星人!

落合さん「あのぉ、それでですね……

 今日はまた、そのアイロス星人様がどのようなご用向きで?」

ビーコン「まァ、聞くだけヤボとは思うんすけど……」

アイロス星人「クァルル~、だったら今更話して聞かせる必要もないわいな」

アイロス星人「見れば何だィ、やきとり祭りだって?

……そのイベントを、私が「盛り上げて」やろうってのさ!」

ビーコン「っがー、例によってハタ迷惑な流れな上に……」

落合さん「上から目線の恩着せがましさが、ますますシャクに障りますわね!」

ピグモン「えう~、いろいろヤんなっちゃうの~」

イフ「わははは! 結構なことではないか、アイロス星人!

 怪獣稼業、まずは人間どもに嫌がられてナンボよ――」

イフ「今こそ暴れに暴れて、「それ」がただのハッタリだけではない事を

 地球の奴らに思い知らせてやるがよい!」

アイロス星人「クァルルル~、お任せ下さい、魔王様!」

アイロス星人、進撃開始!

盛り上がっていたやきとり祭り会場も、今や恐怖と混乱に包まれ……

会場の人々は、悲鳴をあげて散り散りになり、逃げ出していく。

ビーコン「どひ~っ、せっかくのやきとり祭りがワヤクチャっス!」

落合さん「何てことでしょう、また一本も食べてませんのに!」

ピグモン「はわわ、そんな事より早く逃げなきゃなの~!(汗)」

宙マン「みんな、こっちだ――さぁ!」

 

みんなのやきとり祭り、今まさに風雲急を告げる!

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が、その一大事を、ただ黙って見ている防衛隊ではない――

直ちに空の精鋭が、千歳基地からスクランブルをかけた。

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落合さん「ああっ、またいいところで来て下さいましたこと!」

ビーコン「出前迅速、結果が伴えば言う事なしっス!」

ピグモン「防衛隊のおじさんたち、がんばってなの~!」

「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!

人々の声援を受け、張り切って攻撃開始する戦闘機隊!

が、そんなロケット弾の洗礼さえ、宇宙を股にかけた無法者たる

アイロス星人の猛りをいささかも止められない。

 

アイロス星人「クァルルル~、雑魚は引っ込んでるぞな!」

「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」

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アイロス星人が口から吐き出す破壊光弾!

その直撃を受け、戦闘機隊は次から次に撃墜されていく。

 

みくるん「ああっ、やられちゃったですぅ!」

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ながもん「あの、威力の……前には……分が、悪い」

ビーコン「つーか、分が悪いのは毎回のような気が……(汗)」

 

……などと、人々がボヤいたり嘆いたりしている間にも。

アイロス星人はますます図に乗り、調子づいての大暴れ!

落合さん「いけませんわ、このままでは本当にやきとり祭りが……!」

ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、アイロス星人の前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

 千歳の破壊も、やきとり祭りの妨害も、私が断固阻止するぞ!」

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ズ、ズーンっ!!

 

ピグモン「はうはう~、宙マン、待ってましたなの~!」

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ながもん「それに、つけても……この……安心感」

ビーコン「こうなったらもう、アニキだけが頼りっス!」

みくるん「よろしくお願いしますねぇ、宙マンさん!」

アイロス星人「クァルル、愛されてるな……人気者だねぇ、宙マン。

 そのギャラリーの目の前で、お前を「血祭」にあげてやる――

 やきとり祭りなんかより、ずっと盛り上がること必至さね!」

宙マン「残念ながら、その気は全くないよ。

 ……正義のパワーで叩きのめされるのは、お前の方だ!」

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ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

真っ向激突、宙マン対アイロス星人!

巨大な両者の死闘が、市街地で凄絶な火花を散らす。

好戦的な気質を全開に、荒々しく宙マンに迫るアイロス星人。

その鋭い牙を、翼をかいくぐり、宙マンはあくまでも冷静に

相手の隙を伺い、果敢に敵の懐へと飛びこんでいく。

宙マン「それっ、それそれそれぇっ!

 どうだ、正義の連続パンチの威力は!?」

アイロス星人「クエァァー! 何じゃ、全くこそばゆいわぁ!」

侵略宇宙人の中でも群を抜く、根っからの喧嘩好きにして凶状持ち。

宙マンの連続パンチを受け、その痛みが沁みわたるほど……

持ち前の凶暴な血も、ますます沸きたぎるアイロス星人である。

アイロス星人「クエァァー! 笑止、笑止! 話にならず!」

宙マン「おのれっ……ならば、これはどうだ!?」

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腕をL字型に組み、星人めがけて発射する必殺光線。

伝家の宝刀、宙マン・エクシードフラッシュが迸る!

だが――

アイロス星人は、そんなエクシードフラッシュの正義の一閃を

大空に舞いあがることで、軽々と回避してみせたではないか。

宙マン「(驚愕)何ッ!?」

アイロス星人「クエァァァーっ、本当の攻撃とはどういうものか……

 今からお前に、手本を見せてやるわいな!」

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大空をムササビのように舞い、地上めがけて発射する破壊光弾。

アイロス星人の口から吐き出される、破壊エネルギーの塊が

宙マンの周囲に次々と炸裂!

 

アイロス星人「クエァァー、踊れ踊れ、もっと踊れ!」

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「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

 

みくるん「ああっ……ちゅ、宙マンさん!?」

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ながもん「あの、光線は……強力」

ビーコン「どひ~っ、判りやすすぎる威力がヤな感じっス!」

ピグモン「はわわわ……宙マン、負けないでなの~!」

落合さん「(祈るように)……お殿様っ……!」

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宙マン「(苦悶)うう……うっ!」

アイロス星人「クエクエ、次で完全に決めてやるぞな、宙マン!」

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「なんの……それは、私の言う台詞だっ!

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間一髪!

アイロスの光弾をジャンプでかわし、大空へ舞う宙マン。

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アイロス星人「(狼狽)な、何ぃぃっ!?」

宙マン「行くぞ、アイロス星人!」

アイロス星人めがけて急降下していく宙マン。

激しい空中きりもみ回転とともに、繰り出すその技の名は!

「エイヤぁぁぁーっ! 

 宙マン・回転フルキック!

高速回転の勢いを加え、両足で蹴り込む正義のキック!

鋭い足先を食らって、アイロス星人がブッ倒れたところへ――

「それっ、どんどん行くぞ!

 怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!

ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!

宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!

まばゆい閃光と共に、アイロス星人を直撃したボルトサンダーが

星人の全身を猛然と駆け巡り、容赦なく痛めつける。

アイロス星人「こ、これは……効くぅぅ~っ!」

 

そして、今。

宙マンはついに、伝説の「スーパー剣」を抜き放った!

宙マン「とどめだ――正義の刃、受けてみろ!

 秘剣・スーパー大波崩し!!

ズバァァッ!

 

スーパー剣の刀身にエネルギーを集中させ……

怒涛のような突進の勢いに乗り、斜め一文字にひるがえる光の刃!

宙マンの「大波崩し」が、アイロス星人を見事に切り払った。

アイロス星人「こ、今度もまた、こうなっちゃうのねぇぇ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

みくるん「よかったぁ、今日もまた宙マンさんの勝ちですぅ!」

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ながもん「(頷き)……グッジョヴ」

ピグモン「はうはう~、宙マン、どうもありがとうなの~♪」

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イフ「うぐぐぐっ、おのれ、またしても宙マンめが……

 怪獣軍団の怒りの恐ろしさ、今に思い知らせてくれる!

 よいか、この次こそは必ずだぞ……!」

 

……などと言う、毎度毎度の負け惜しみはさて置いて。

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かくして宙マンの活躍により、凶悪なアイロス星人は撃退され……

千歳の街に、元のおだやかな平和が蘇った。

そして……

やきとり祭り会場にも、再び人々の活気と明るい笑い声、それに加えて

香ばしく食欲を煽る串焼きの匂いが戻ってきたのであった。

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ビーコン「てなわけで、アニキアニキ!」

ながもん「(頷き)ここからが、本当の……戦い」

ピグモン「はうはう~、宙マンも早く行列に並んでなの~」

みくるん「うふふっ、早くしないと、やきとり売り切れちゃいますよ~!」

落合さん「お殿様、お急ぎを!」

宙マン「はっはっはっ……ああ、確かに、こうしちゃいられないね!」

年に一度の特別イベント、やきとり祭りで食べたやきとりの味。

炎天下で行列に並んだこと、みんなとの他愛ないお喋り、そして巨大怪獣戦と

様々な要素が相まって……

 

宙マンにとって、「格別の一本」だったことは言うまでもないだろう。

夏のやきとりは元気の源……

美味しく食べて、パワー全開。

我らが宙マン、次回もまたまた大活躍だよ~!