平和を愛する千歳市民の一人、正義の味方・宙マンの活躍によって
北海道千歳市は、今日ものどかな平和の中にあった。
だが、決して油断はできない。
暗黒星雲に巣食う怪獣軍団は、次にいかなる凶悪怪獣を送りこみ
再びどんな侵略計画を実行に移すか、誰にも分からないのだから。
「侵略者」は……あなたの、隣にいる。
が、ひとまずそれはそれとして――。
4月も早や終盤に差し掛かり……
誰もが待ちに待っていた、春の大型連休もすぐ目の前!
毎度お馴染み・宙マンファミリーとそのご近所さんたちも、
もっか黄金週間のうららかな日々を満喫中なのであった。
ピグモン「はうはう~、いいお天気でほんとによかったの~」
宙マン「全くだねぇ、ゴールデンウィークはこうじゃなきゃ!」
落合さん「毎年この時期は、熱く血潮が滾りますわよね。
遊ぶにせよ何にせよ、それはもう気合が入りまくりますわ!」
ながもん「各種イベント、それも……いいけれど」
みくるん「5月は、春の山菜取りにはもってこいの気候ですもんね。
アイヌネギにウドにアズキナ、美味しい山菜いっぱいですぅ!」
ビーコン「ヒヒヒ、それそれ、毎年一度のお楽しみっスもんねぇ」
宙マン「とにもかくにも、みんなが一緒なら楽しさも何十倍さ。
この大型連休、余すところなく遊び尽くそうじゃないか!」
みくるん「はいっ、宙マンさん!」
ながもん「(頷き、ボソッと)……異議なし」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんワクワクしてきたの~♪」
落合さん「うふふ。
この胸の高揚感もまた、春の大型連休ならではですわね」
ビーコン「イエッフ~、気分は最高っスよ、落合さん!
こうなったらいっちょ、景気づけにドデカい花火でも……」
ドッグァァァーンっ!
ピグモン「……へっ!?」
落合さん「ちょっ、な、何ですの、今のコレは!」
ビーコン「どひ~っ、オイラのせいじゃないっスよ!?(汗)」
ドガーンっ! ズゴゴグワーンっ!
街のあちこちで、連鎖的に起こる大爆発。
連休の開始を告げる花火と言うには、あまりに物騒な……
……いや、むしろこれが、終焉のファンファーレなのだとしたら!?
「ククク、ギリギリギリ……
そうさ、その通り、そう言う事さぁ!」
巻き起こった爆発の炎が、急激に膨れ上がり……
みるみる実体化して、天を衝くようなサイズの巨大怪獣と化す。
炎そのものを具象化したような、オブジェのごときその異形!
みくるん「ああっ、怪獣さんですぅ!」
ながもん「さては……今度も……怪獣、軍団?」
ビーコン「う~ん、毎度毎度ご苦労さんなコトっスねぇ!」
ピグモン「えう~、連休が台無しなんてイヤなの~」
巨体を唸らせ、千歳市の中心にすっくと立つのは……
かつて地球侵略を目論んだ「影の国」こと、惑星Xの出身。
火炎怪獣キティファイヤー、今は怪獣軍団の一員だ!
宙マン「そのキティファイヤー君が、千歳に何の用だね?」
キティファイヤー「ギリギリぃ、分かりきったこと聞くなよ、宙マン。
もちろん地球侵略……ああ、あともう一つあったな」
落合さん「あと……もう一つ、ですか?」
キティファイヤー「(頷き)……カタキ討ち、さね」
キティファイヤー「ほら、流石にお前らだってまだ覚えてるだろう――
ついこないだ地球を襲って、叩きのめされたサザン星人!」
koumemylove4794.hatenablog.com
キティファイヤー「あいつは俺の同期で、同じ火炎属性の仲間だからな。
それが恥をかかされたとあっちゃ、黙ってるわけにはいかねぇ」
キティファイヤー「そうとも、同期の桜に捧げる大暴れ!
どうだ、カッコいいだろ、泣けるだろう!?」
宙マン「う~ん、“だろう”って言われても……」
落合さん「そこで素直に感動してよいものやら……(汗)」
みくるん「まぁまぁ、いいじゃないですか、宙マンさん。
義理や人情、そういうものって案外大事なものですよ」
宙マン「ふぅむ、なるほどねぇ、一理も二理もあるな!
いや、みくるんちゃんの曇りなき瞳に、今日は教えられたよ」
ピグモン「はうはう~、これにて今日はめでたしめでたし、なの~♪」
今日の『宙マン』、どうだった?
次回はもっと楽しいよ、乞うご期待っ!
「……ギリギリギリ、勝手に終わらすな~っ!!」
ピグモン「はわわわ、お顔、真っ赤なの~!」
ビーコン「どひ~っ、もしかしてメッチャ怒ってるっスか!?」
キティファイヤー「当たり前だ~っ、ギリギリギリ!」
ビーコン「で、ですよねぇぇ~ッ!(汗)」
イフ「そうだ、思い切り怒るのだ、キティファイヤーよ!
先の戦いで宙マンに敗れたサザン星人の分までも……
お前の怒りの炎で、千歳の街を焼き尽くしてしまえ!」
キティファイヤー「ギリギリぃ~、お任せ下さい、魔王様!」
キティファイヤー、進撃開始!
迫る灼熱の巨体を前に、悲鳴をあげて逃げまどう人々。
ビーコン「どひ~っ、まだ春だってのに……」
落合さん「一足跳びの真夏みたいな暑苦しさですわねぇ!(汗)」
みくるん「ふぇぇん、いくら火炎怪獣だからって~!(涙目)」
おお、何ということであろう――
またまた北海道千歳市が、洒落にならない大ピンチ!
火炎怪獣の暴虐、もはや断じて許すまじ。
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊のお歴々っスよ!」
落合さん「タイミング「は」、いつも良いんですけど……(汗)」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし、全機……
怪獣に対し、一斉攻撃開始っ!」
キティファイヤーめがけて、一斉に攻撃をかける戦闘機!
だが、その凄まじい弾着も、火炎怪獣を怯ませるには至らない。
キティファイヤー「ギリギリギリ、何だその生ぬるさは!?」
「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」
キティファイヤーの目から放たれる破壊光線!
その直撃を受け、一機、また一機と撃ち落されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「腐っても、インベーダー……一筋縄では、いかない」
ビーコン「……って、感心してる場合じゃないっスよ!(汗)」
……などと、言っている間にも。
口から火を吐き、ますます荒れ狂うキティファイヤー。
街が危ない、死が迫る!
ビーコン「どひ~っ、ボヤく暇さえ与えてくれないっスか~!?」
落合さん「嗚呼、いよいよ千歳の緊急事態ですわねぇ!」
ながもん「ここは、一番……ヒーローの、出番」
ピグモン「宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、キティファイヤーの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
火炎怪獣キティファイヤー、これ以上勝手な真似はさせん!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっ! アニキの十八番!」
ながもん「(ポンと膝打ち)おお……待って、ました」
みくるん「宙マンさーん、頑張って下さいねぇ!」
キティファイヤー「ギリギリギリ……出たな、宙マン。
お前にやられたサザン星人の分まで、叩きのめしてやる!」
宙マン「ふふん、そうは問屋が卸しはしないぞ!」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!
キティファイヤー「ギリギリギリ……格好つけやがって!」
キティファイヤーの顔面が赤熱化し、全身が炎に包まれる。
そして次の瞬間、宙マンめがけて火炎が吐きかけられた!
宙マン「おおっと!」
空間そのものを湾曲させて形成する防御壁……
宙マン・プロテクションが、キティファイヤーの火炎を無力化。
宙マン「さぁ、次はどう来るのかな――
まさか、これで終わりとは言うまいね!?(ニヤリ)」
キティファイヤー「ギリギリギリ……この野郎がぁぁ~っ!」
宙マン「ようし、どこからでも来い!」
真っ向激突、宙マン対キティファイヤー!
人々が見守る中、巨大サイズの攻防はのっけからヒートアップ。
炎そのものを具象化したような両手のヒレを打ち振っての
猛烈パンチ攻撃で、宙マンを攻めたてるキティファイヤー。
両者、ヒレと拳の激しい応酬!
5月を目前に控えた千歳が、宇宙拳闘タイトルマッチのごとき
更なる熱気と興奮に包まれていく。
宙マン「そうりゃっ!」
気合一発、宙マンのストレートキックが敵の脇腹にヒット!
その痛烈さに、ズズッと後退を余儀なくされるキティファイヤー。
宙マン「どうだ、思い知ったか、これが正義の力だ!」
キティファイヤー「ギリギリ~、なめるなよ宙マン……
この俺には、まだとっておきの奥の手があるんだぜ!」
キティファイヤーの口から吐き出されたもの、それは……
無数のシャボン玉のように、空中に舞い散る「泡」であった。
泡はみるみる宙マンの全身にまとわりつき、そして……!
「……う、うぉアぁぁぁぁ……っ!?」
みくるん「ああっ、ちゅ、宙マンさんが!」
ながもん「あの泡……溶解液、ううん……固定液?」
ビーコン「どっちにしても、ロクなもんじゃないっス!(汗)」
ピグモン「はわわ、宙マン、まけないでなの~!」
落合さん「(祈るように)……お殿様っ!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
キティファイヤー「ギリギリギリ~、どうだ宙マン、動けまい。
このままお前を、じわじわ嬲り殺しにしてやる!」
勝利を確信し、動けない宙マンへと迫るキティファイヤー。
「なんの……負けて、たまるかッ!
トゥリャアァァーッ!!」
宙マン、気力を振り絞ってパワー全開!
気合一閃、全身にまとわりつく泡を吹っ飛ばしてしまう。
キティファイヤー「(驚愕)ま、マジかよっ!?」
自慢の一手を破られ、目をパチクリさせている火炎怪獣。
その目の前で、宙マンは大空高くへと大ジャンプ!
「そぉれっ! これが宙マン・虹色独楽だ!」
キティファイヤー「(混乱)こ……これはーッ!?」
虹色の光を発しながらの、空中超速スピン!
その眩さに幻惑され、キティファイヤーが目を回したところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、キティファイヤーを直撃!!
キティファイヤー「あぎゃぎゃぎゃ……あじゃぱぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
ながもん「……グッジョヴ」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキっスよねぇ、鮮やかっス!」
落合さん「えぇ、本当にお見事でしたわ、お殿様!」
イフ「おのれ! またしても、またしても宙マンめ!
だが見ておれ、怪獣軍団の真の威力を知るのはここからだ。
よいか、この次こそがお前の最期だぞ……!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、火炎怪獣キティファイヤーは敗れ
千歳の街に、再び平和が蘇ったのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~♪」
宙マン「いやぁ、ひと汗かいたらお腹ペコペコだ――
早いトコお昼にしようじゃないか、お昼に」
ながもん「宙マンは、何が……食べたい?」
宙マン「う~ん、そう言われると迷っちゃうけど……」
みくるん「それじゃ、定番の「来々軒」さんにしましょうか。
アギラさんがまた、ランチ用にご飯ものの新メニューを開発して
お客さんたちからの評判もいいみたいなんですよぉ」
宙マン「おおっ、ご飯ものいいねぇ、全くもって異議なしだよ!」
ビーコン「ヒヒヒ……いやぁ、楽しみっスねぇ、「来々軒」ご飯!
でも、本命の丼を堪能する前に、まずは軽く前菜をば……」
むにゅん、ふにふにっ
落合さん「(赤面)……きゃ、きゃあああああっ!?」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、どうして隙あらばいやらしいんですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、4月の太陽が眩しすぎるっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
侵略者は、貴方の隣にいる……
そして、僕らの街にはヒーローもいる。
頑張れ宙マン、次回もよろしく頼んだぞ!