地域の平和を守るため、皆の笑顔と平穏無事のため……
ひとたび事件が起これば、敢然と巨大化してその異変に立ち向かっていく
「宇宙生まれの千歳市民」、その名もご存じ・宙マン。
幸か不幸か、戦う相手に不自由はなし。
はてさて、そんな宙マンの前に立ちはだかる今日の敵は!?
「ガブルルルゥゥ~、ワシじゃぁ~いッ!!」
かつて一度、千歳市に襲来し……
勿論その際には、宙マンに叩きのめされた最凶獣・ヘルベロス。
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ヘルベロス「ワシをこの前の時と同じだと思うなよ、宙マン!?」
宙マン「なんの、以前と同じように返り討ちさ!」
両者ともに、気合の面では一歩も譲らず。
同時に駆け寄り、真っ向から激突する宙マンとヘルベロス!
激ファイト、宙マン対ヘルベロス!
落合さんたちが見守る中、ダイナミックに展開される巨大戦。
しなやかにシェイプされたボディと、全身の鋭利な刃物と爪……
以前にも増しての凶暴性を剥き出しに、襲い来るのはヘルベロス。
だがしかし、そんな悪の攻撃に遅れをとる宙マンではない。
敵の懐へ果敢に飛び込み、磨き抜かれた格闘術によって鮮やかな反撃!
熱戦……烈戦……超人戦が繰り広げられ……
大地を揺るがす「神々の戦い」に、終止符を打ったのは!
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ヘルベロスを直撃!!
ヘルベロス「ガブルル、今度の一撃も痛烈ぅぅ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
ビーコン「いえっふ~! やったっスね、アニキ!」
落合さん「お殿様、ありがとうございました!」
千歳の平和は、ここに守られた。
と言うことはつまり、怪獣軍団を束ねる支配者、魔王イフの御機嫌が
目に見えて悪くなる、と言うことでもあるわけで……。
イフ「ぐぬぬぬっ……またしても宙マンめが!
ワシらの地球征服の夢を、どこまで邪魔すれば気が済むのか!」
こちら、暗黒星雲の奥深く……
ヘルベロスの敗退に、歯噛みして悔しがる怪獣魔王である。
イフ「お前たち、このままで良いのか……悔しくはないのか!
次こそは必ずとワシに誓い、名乗りを上げるものはおらぬのか!?」
「おりますですとも、魔王様!」
イフ「おおっ、ゾネンゲ博士! では、次なる使者は――」
ゾネンゲ博士「(頷き)既に、地球への侵入を果たし……
魔王様のご命令を、今や遅しと待ちわびておりまする」
イフ「よしよし、大いに結構。そうでなくてはならん!」
ゾネンゲ博士「戦いが済んで安心しかけたところへ、すかさず新手を送りこむ。
不意を突かれた宙マンが驚くことは勿論……」
イフ「その隙を突いて、一気に奴めを叩き潰すことも可能なわけじゃな。
わははは、宙マンめ、今に見ているがよい!」
怪獣去ってまた一難、新たな騒動の種が既に蒔かれていたとは。
危うし地球、危うし宙マン!
だが、ひとまずそれはそれとして――。
山も、町も、秋色化粧――
赤や黄色に染まった木々の葉が、あたり一面を美しく彩る10月末。
もちろんそれはここ、毎度お馴染み宙マンファミリーが住んでいる
北海道千歳市、ほんわか町5丁目においても例外ではない。
宙マン「やぁやぁ、ただいま。いま帰ったよ!」
ピグモン「はうはう~、たっだいま~なの~♪」
ビーコン「ういース、お帰んなさいっス!」
落合さん「あらあら、お二人とも随分すっきりとなさって!」
毎度お馴染み、宙マンとピグモン。
この日は二人連れ立って、市内の床屋にて散髪してもらったばかりで
身も心もすっきり爽快、と言う次第であった。
ピグモン「えへへ、うんと可愛くしてもらったの~」
宙マン「久々の床屋はいいものだね、実にさっぱりしたよ」
落合さん「えぇ、えぇ、そうでしょうとも」
ビーコン「……」
ビーコン「(小声で)……いや、読者の皆さん。
オイラにも皆さんの仰りたい事、凄く良く判るっスよ。
でもそこは「そういうモノ」ってことで、敢えて見て見ぬふりを……」
落合さん「な~にをブツブツ仰ってますの? ビーコンさん」
ビーコン「(慌てて)ああ、ひとつのメタフィクション的視点での言及つーか、
「そもそも床屋に行ってあの二人がどこをカットするんだ」って疑問に対し
ツッコミ不在の状態において自らツッコむオイラの優しさっつーか…」
落合さん「ねーいっ、何を訳がわからないことをっ!
余計な脇道に反れないで、もっと必要なことを判りやすく仰いなさいなっ」
ビーコン「ういっス、だったら簡単明瞭に……おっぱい揉ませるっス!!」
落合さん「(赤面)っがー、そんな判り易さいりませんっ!!」
……と、その時である!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
落合さん「……あらあら、まぁまぁ、何事でしょう!?」
ビーコン「どひ~っ、こいつァまたヤバげな揺れ方っスよぉ!?(汗)」
メリメリと音を立てて割れ裂ける大地!
大量の土砂が、地の底から巨大な柱のように噴き上がってくる。
そして……
もうもうたる土煙の中から、忽然と巨大な姿を現したのは!?
「ヴォッフォッフォッ……!」
ピグモン「あっ、何か出てきたの!」
ビーコン「あいつァ……バルタン! 宇宙忍者のバルタンっスよ!」
落合さん「と言う事は、またまた怪獣軍団の皆さんが……!」
誰もが知っている、あの特徴的な笑い声とともに……
千歳の市街地を、傲然とのし歩いてくる巨体。
怪獣軍団の一員、宇宙忍者・バルタン!
「怪獣星」において、他の怪獣たちを相手のケンカに明け暮れた
バルタン一族の中でも屈指の武闘派である。
落合さん「その武闘派さんが、今度はどういったご用向きで?」
ビーコン「どうせまた、ろくでもない用事なんスよねぇ!?」
バルタン「ヴォッフォッフォッ、判ってるなら話は早いぜ」
バルタン「俺たち怪獣軍団は、あくまで地球を諦めない決意だ。
そのための第一歩は、この千歳市から始まる――
徹底的な破壊のあとに、怪獣軍団が君臨する!」
ピグモン「えう~、そんなの嫌~んなの~!」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「わははは! さぁ行け、侵略するのだバルタン!
お前こそ、怪獣軍団の歴史に輝く栄光の戦士だぞ!」
バルタン「ヴォッフォッフォッ、お任せ下さい、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するバルタン!
迫り来るその巨体を前に、悲鳴をあげて逃げまどう人々。
ビーコン「どひ~っ、さっきの騒ぎだけでも大変だったっスのに……」
宙マン「ヘルベロスの次はバルタンか、とんだ千客万来だよ!」
落合さん「つかの間の、はかない平和でしたわねぇ!(汗)」
宇宙星人バルタンの出現により、またまた千歳は大混乱!
だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない。
直ちに空の精鋭が、怪獣攻撃用の戦闘機でスクランブル!
ビーコン「おおっ、また例によって来てくれたっスよ!」
落合さん「今度こそは……大丈夫でしょうねェ、色々と!?」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんも応援してるの~♪」
「ようし……全機、星人に一斉攻撃だ!」
攻撃、攻撃、また攻撃!
戦闘機隊の火力が、一気にバルタンへ叩きこまれていく。
……が、全くびくともしない宇宙忍者!
バルタン「ヴォッフォッフォッ、そんなの当然、そして常識~っ!」
「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」
バルタンの額から、激しく迸る怪閃光!
その威力に、次々と火を噴いて墜落していく戦闘機隊である。
バルタン「ヴォッフォッフォッ、俺の威力を思い知ったか!」
勢いに乗ったバルタンの大暴れ!
次々に爆発が巻き起こり、建物が破壊されていき……
平和だった街は、今や炎の地獄と化しつつあった!
ビーコン「どひ~っ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃっス!」
落合さん「あらあらまぁまぁ、さっきの今で……何て事でしょう!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「ああ、勿論だとも!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
荒れ狂うバルタンの前へ、敢然と立ちはだかるこの雄姿!
ビーコン「いよっ! 待ってたっスよ、千両役者!」
落合さん「お殿様の巨大化、何度見ても素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
バルタン「ヴォッフォッフォッ……出たな、宙マン!」
宙マン「宇宙忍者バルタンよ、千歳の街に私がいる限り……
お前たち怪獣軍団の好き勝手には出来ないと知るがいい!」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マンーー
さぁ、今日もまたまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
バルタン「ヴォッフォッフォッ、ほざけ~っ!」
宙マン「行くぞ、バルタン――トゥアっ!」
軽やかな助走とともに、大地を蹴って素早くジャンプし……
太陽を背に、バルタンめがけて躍りかかっていく宙マン!
バルタン「(驚き)ぬ、ぬうっ!?」
宙マン「そぉれっ、宙マン・キックを受けてみろ!」
グワラッシャァァーンっ!
まずは宙マンの先制!
鋭い足先を食らって、バルタンがブッ倒れた。
ビーコン「っしゃ! 上手いっス、さすがアニキっス!」
落合さん「これでもう、戦いの流れはお殿様のペースですわ!」
ピグモン「宙マ~ン、ゴーゴーなの~!」
バルタン「この野郎が……よくもやってくれたな!」
宙マン「来い、バルタン!」
真っ向激突、宙マン対バルタン!
落合さんたちの見守る中、両者の壮絶な死闘が展開される。
硬質の鋏を構え、ボクシング・スタイルで襲い来るバルタン。
右から、左から、強烈なパンチが飛んでくる!
だが、そこはそれ、経験豊富な宙マンのこと。
バルタンの繰り出す殺人パンチを冷静に見切り、かわしながら
逆にストレートキックを繰り出し、バルタンを後退させる。
宙マン「思い知ったか、これが正義の力だ!」
バルタン「ぐぬぬぬっ……調子に乗るなよっ!?」
シュバッ! シュバシュバっ!
宙マン「(目がくらみ)!?」
宙マン「くっ……こ、これは……!」
バルタン「ヴォッフォッフォッ、そぉら、どうしたどうした!」
怪閃光で、動きが麻痺した宙マンの隙を突き……
ボクシングスタイルで突進したバルタンの、容赦ない鋏パンチ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!」
落合さん「お……お殿様っ!?」
ビーコン「っがー、バルタンの野郎……
ただの力押しかと思ったら、あんな小技効かせてるっスよ!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、負けないでなの~!」
バルタン「そうら、今すぐ楽にしてやる――とどめだぜ!」
宙マン「なんの……勝負は、ここからだッ!」
「デリャアァーッ! 宙マン・ショット!」
気合と共に放つ、不可視の破壊衝撃波!
その直撃によろめき、バルタンの動きが鈍ったところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バルタンを直撃!!
バルタン「くわわわっ……何たるちや、サンタルチヤ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「お見事でしたわ、お殿様!」
ビーコン「ヒャッハ~、やっぱアニキは凄まじいっス!!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
イフ「おのれ、またしても……またしても宙マンめが!
お前こそ我らが最大の敵、今日のところは大目に見てやるが……
だが、この次は決して容赦はせんぞ!」
……などという、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍により、宇宙忍者バルタンは斃れ
街には再び、のんびりした日常が戻ってきたのであった。
ビーコン「いえっふ~、アニキアニキ、どーもお疲れさまっした!」
宙マン「いや~、お待たせ、お待たせ。
それはそうと、こうして戻って来た早々にナンだけど……」
ビーコン「分かるっスよ~、あれだけのバトルの後っスから……
一気にこう、ハラ減ってきちゃったんスよねぇ!?」
ピグモン「えう~、実はピグちゃんもお腹ペコペコなの~」
落合さん「えぇ、今は何よりお殿様の空腹を充たすのが最優先ですわね。
……それじゃ軽く、ラーメンでも頂いて帰りましょうか?」
宙マン「うんうん、有難いねぇ、大賛成!」
落合さん「ただ、今度は体重計に乗るのが怖くもありますけど……(苦笑)」
ビーコン「ヒヒヒ、食べたらその分「燃やせば」いいんスよ!
脂肪も炭水化物も、それでプラマイゼロっス。
具体的には、オイラと落合さんが寝室でズボズボ……♪」
落合さん「……(ぷ ち っ!)」
げ し っ !
落合さん「ねーい、どうしてビーコンさんはそうなんですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、でなきゃファンが納得しないんスよぉぉ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
頬を撫でる秋風が、どこか爽やかに心地よく……
怪獣退治のドタバタ込みで、何気なく、ありふれた晩秋の一日であった。
今日も本当にありがとう、宙マン。
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?