寒~い北海道、ホームグラウンドの千歳市を離れ……
2024年のお正月を、沖縄で迎えていた宙マンファミリー。
何しろ普段から賑やかな面々なので、沖縄の熱い風に吹かれたなら
それだけでテンションが上がらないわけがなく。
買い物行脚を楽しんで、美味しいものに舌鼓も打ち、到着初日から早くも
沖縄の「美味しいトコロ」を大満喫の宙マンファミリーなのであった。
ビーコン「ヒヒヒ、アレっスよね、この分なら。
……このままずっと、旅番組っぽいノリで最後まで行けそうっス!」
宙マン「ああ、素晴らしいね沖縄、実に幸先の良いスタートだよ!」
ピグモン「はうはう~、明日もいっぱい、みんなで遊ぶの~♪」
……だが。
そうは簡単に、問屋が卸してくれないのがこのシリーズ。
今度もまた、何やら得体の知れない「騒動」の気配が――
おお、親愛なる読者諸賢よ、そして宙マンファミリーよ。
年明け一発めの巨大な危機は……誰にも気づかれず、悟られないうちに。
もう、すぐそこまで迫っているのだ……!
が、ひとまずそれはさておいて。
迫り来る『悪意」のことなど、何ら知る由もなく……
沖縄・那覇市に、今日も清々しい朝が来た。
落合さん「おはようございます、お殿様!」
宙マン「やぁ、おはよう、落合さん」
ビーコン「うひょー、イイ感じの快晴でよかったっスねぇ!」
落合さん「(微笑)こういうのを、絶好の観光日和と言うんでしょうね」
ピグモン「今日も張り切って行ってみよ~、なの~」
宙マン「ああ、そうだともピグモン、そのためにも……
まずは朝ごはんをしっかり食べて、元気をつけないとね!」
滞在先のホテルでの朝食。
こういうメニューにこそ、まず「お土地柄」は出て来るものである――
北海道在住の宙マンファミリーの目をまず引き付けたのは、何と言っても
このソーキ(スペアリブの柔らか煮)!
ビーコン「うひょ~、こんなごっついのに、この柔らかさ……」
宙マン「そしてどうだろうねぇ、この上品な味わいときたら!」
落合さん「じっくり時間をかけて煮込み、余計な脂を抜いて……
手間暇をしっかりかけてあるだけの、素晴らしいお味ですわ」
もう朝食のこの段階で、テンション「爆上がり」な宙マンたち。
食後のデザートとハイビスカスティーまで、しっかり味わって……。
落合さん「さぁ、出発進行ですわ、元気よく参りましょう!」
ビーコン「いえっふ~、海がオイラを呼んでるっス~☆」
ホテルから、再び「美ら島」の渦中へと勇んで出発!
こんち、沖縄滞在二日目となる宙マンファミリー。
ビーコンの言葉にあるように、今日の目的地は「海」にあった。
宙マン「いやぁ、素晴らしいねぇ、沖縄の海……
もうアレだね、澄み具合からして尋常じゃないよ!」
ビーコン「北海道とは、海の色からしてもう全然違うんスよね!」
ピグモン「はうはう~、とってもきれいなの~♪」
落合さん「えぇ、まさに魅惑のエメラルドブルーですわね!」
そんな沖縄の海の美しさに見とれながら、宙マンファミリーが到着した目的地は
こちら、「海洋博公園(国営沖縄記念公園)」。
本土復帰記念事業の一環として1975年に開催された「沖縄国際海洋博覧会」を
記念して博覧会跡地に設置された国営公園。
当地・沖縄ならではのエキゾチズムを絶妙にくすぐる、その広い敷地内において
特に高い人気を誇っている施設と言えば……。
ビーコン「いえっふ~、そりゃもう……
美ら海水族館に決まってるじゃないスか、ねぇ!?」
落合さん「あ、ちなみにですね、皆様。
美ら海と書いて「ちゅらうみ」と呼んで下さいましね」
宙マン「こちらの言葉で「海の清らかなること」を意味するそうです」
大小77もの水槽に、約1万500点もの海棲生物が展示されている
沖縄観光においても屈指の人気スポット、美ら海水族館。
もちろん宙マンファミリーが、ここを素通りできるはずもなく。
全てを満遍なく見学しようと思えば1時間半~2時間を費やす必要があるという
敷地の広大さ、展示内容の多彩さ……
中でも2005年・アメリカのジョージア水族館開園までは世界最大を誇っていた
大水槽「黒潮の海」の威容はやはり圧巻。
落合さん「あらあらまぁまぁ、サメさんですわよ、ジンベエザメ!」
ビーコン「うひょひょ、こっちにはマンタもいるっス!」
宙マン「改めて観察すると、優雅な泳ぎっぷりだねぇ」
ピグモン「すご~い、ほんとに海の中にいるみたいなの~!」
硝子越しに眼前で展開される生命の神秘、その泳ぎ回る様の美しさ。
落合さん「う~ん、これは嫌でもテンション上がってしまいますわね!」
ビーコン「やー、いいもん見させてもらったっス!」
感激と興奮に包まれながら、観覧コースを通過して水族館の外へ……
ほんのり匂う潮風とともに、南国の太陽はひときわ眩しく。
ビーコン「さてと、軽く小腹も減ったことっスし……」
落合さん「どこかで軽く、何かつまんでいくと致しましょうか」
宙マン「さて、そうなると……」
ピグモン「ねーねーみんな、あれなんてどう~?」
そう言って、ピグモンが指さした先のお店にて……
宙マンたちの購入したのが、こちら「もずくの天ぷら」。
ビーコン「うひょひょ、揚げたてっスよ、アツアツっス!」
宙マン「ほう……沖縄では、天ぷらは「こう」なるかね!」
落合さん「私たちが思いつく天ぷらのサクサクした歯ごたえや食感よりもむしろ
厚ぼったい衣でフワフワの食感なのですわね、沖縄の「天ぷら」って。
ですが、これはこれで、なかなかに……」
ピグモン「ピグちゃん、この味好きなの~!」
宙マン「ああ、私もたった今、大ファンになってしまったよ!」
眩しい日差しの中、どこかゆったりと流れる時間……
そして、海風が運んできてくれる潮の香り。
おかげさまで宙マンファミリー、もうすっかり「沖縄気分」である。
宙マン「いやぁ、素晴らしいねぇ。来てよかったよ沖縄!」
落合さん「えぇ、まったくですわ、お殿様」
ビーコン「景色は綺麗だし、飯は旨いし、言う事なしっスよね。
それに今回は、毎度毎度の騒動からも解放されて……」
……と、ビーコンが言いかけた時である!
ズゴゴゴグワーンっ!!
落合さん「あ、あらあらあらあらっ!」
ビーコン「どひ~っ、言ったそばからコレっスか~!?(汗)」
異変は、海洋博公園の「その一発」のみにとどまらなかった。
おお、見よ! 戦慄せよ!
沖縄の各地において、ランダムに……そして何の前触れもなく次々と
凄まじい爆発が巻き起こる、この恐るべき光景を!
逃げ惑う人々を嘲笑うかのように、爆発、爆発、また爆発!
平和な沖縄のお正月は、一転して大パニックの巷と化しつつあった。
ピグモン「はわわわ、大変なことになっちゃってるの~!」
ビーコン「だーっ、沖縄まで来て結局コレっスかぁ!?(汗)」
落合さん「ボヤいてる場合じゃございませんわよ、ビーコンさん!」
宙マン「ううむっ……こいつは天下の一大事だぞ!」
今まさに……「美ら島」沖縄を襲う巨大な危機。
ああ、懸命なる読者諸氏にはもはや説明の必要もないだろう。
この未曽有のクライシスを沖縄にもたらした者が誰なのか、を――
そして今、「奴」はその巨大で凶悪な姿を現さんとしていた!
ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!
「うわっはははは……!!」
空中に走った稲妻状のスパークの中から、高らかな哄笑を伴って
実体化を遂げた、異形なる巨人の姿。
彼の名は“超時空魔神”エタルガー。
持ち前の残虐さと戦闘力により、いくつもの次元世界や並行宇宙を渡り歩き
戯れのごとく破壊を繰り返してきた彼が、その新たなる獲物として選んだのが
この風光明媚な沖縄の地だったのである。
エタルガー「美しい……
実に美しい島だ、見ているだけで惚れ惚れとするほどに」
エタルガー「そんな島の美しさを愛で、時に踏みにじり、弄び……
そして、最後に叩き潰す。
……はははは、これ以上の快楽が、官能が他にあるか!?」
エタルガー「その旨味を味わい尽くす事こそ、絶対強者の特権よ。
ああ、だからこそこのエタルガーはそれが出来るのだ……
このエタルガーにこそ許された、究極至高の娯楽なのだ……!」
「こらこらっ、勝手なこと言うんじゃないっ!」
不意に聞こえたその声に、エタルガーが足元を見やれば……
そこには、海洋博公園から駆けつけて来た宙マンたちの姿が。
エタルガー「ほほう、どこの誰かは知らないが……
この俺、超時空魔神エタルガーがここにいると、よく判ったな?」
宙マン「(鼻で笑って)バカと煙は、とかく高いところに登りたがる……
全宇宙の悪党に共通する、何とも不思議な傾向だよ」
宙マン「そしてお前のような手合いは、どこの星にもいるものでね。
……無駄に長く生きてると、その辺の勘も働くってものさ!」
エタルガー「ふふふ、なるほど……
このエタルガーを前に、よくもそこまでほざいたな!」
宙マンたちめがけて、猛然と迫り来るエタルガーの巨体!
落合さん「あ、あらあら、まぁまぁ……!?」
ビーコン「うわ、うわ、うわ~っス!(汗)」
ピグモン「きゃああんっ、ピグちゃんおっかないの~!(涙目)」
エタルガー「その減らず口ごと、まとめて踏み潰してくれるわ!」
宙マン「なんの、そうはいかんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、迫り来るエタルガーの前へ舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
宇宙の無法者エタルガー、正義の力でお前を打ち砕いてやるぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっ! 待ってましたっス、新年一発目の巨大化!」
落合さん「そんな小悪党、やっつけちゃって下さいませ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、頑張ってなの~!」
エタルガー「プラネット星の戦士、「銀河連邦」の英雄……
そうか、噂の宙マンとは貴様のことか! これは面白い!」
宙マン「よしてくれ、こっちは別に面白くも何ともないね――」
静かな闘志を秘め、ゆっくりとしたモーションで……
ファイティングポーズをとり、完全と身構える宙マン。
宙マン「こっちは楽しい沖縄旅行の最中なんだ。
悪いが、お邪魔虫はさっさと片付けさせてもらう!」
エタルガー「ほざくな宙マン……ならば、勝負だッ!!」
美しい沖縄を狙う超次元のならず者。
戦え宙マン、今こそエタルガーを打ち砕け!