遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。
今日も配下の怪獣たちへと向けて、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。
またしても恐るべき侵略の魔手が、私たちの故郷に伸びるのだ!
イフ「わははは……よく聞け、地球人ども!
もう間もなく、地球はワシら怪獣軍団のものとなるのだ!」
イフ「我が配下の前に、お前たちは決して勝てはしない――
さぁ、宙マンを打倒し、地球征服の功を成す者は誰だ!?」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
怪獣魔王の呼びかけに応え、今また……
にわかに激しく、不気味な震動を始める千歳の大地と空。
ビーコン「どひ~っ、今日はいきなり来たっスね!(汗)」
落合さん「全く、こちらにも心の準備と言うものが……!」
などと言う、極楽コンビの憤りやボヤきなどには全くお構いなしで
凄まじい閃光を放ち、忽然と姿を現した巨体とは!?
「ギャルッ、ギャルウゥ~ッ!!」
凶悪なまでにぶっとく、鋭い角こそが奴のトレードマーク。
怪獣軍団の一員、「暗闇宇宙人」の異名をとるカーリー星人だ!
落合さん「あらまぁ、やっぱりですわ、やっぱり!」
ビーコン「アイツぁ、確か……
前にも千歳に現れて、アニキに叩きのめされた奴っスよ!」
koumemylove4794.hatenablog.com
カーリー星人「ギャルル~、そうともさ、いかにも俺は……
全ての物を当たって砕くカーリー星人、怪獣軍団きっての暴れ者さね!」
落合さん「……それだけ悪名がお高い、ってことですわよっ。
何の自慢にもなるものですか!」
ビーコン「そーっスよ、悪ィけど全くお呼びじゃねーっス!」
カーリー星人「ギャルゥ~、いいね、いいねぇ、その反応!
そうやって嫌われるってのは、俺らの勲章さァ――
強くて、ワルいほど、嫌われるからな!」
ビーコン「どひ~っ、居直りやがったっスよ!(汗)」
落合さん「もう……暗黒星雲の方々は、これですから!(呆)」
イフ「わはは! 元気一杯だな、良い事だ!
その有り余るパワーを、地球人どもに叩きつけろ――
お前の手で、千歳の街を徹底的に破壊するのだ!」
カーリー星人「ギャルル~、やらせてもらいますぜェ、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、俄然張り切るカーリー星人!
逃げ惑う人々を追い散らし、傍若無人の大進撃を開始する。
ビーコン「どひ~っ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃっス!」
落合さん「こんな時、お殿様がいて下さったなら……」
「ん、私がどうかしたかね?」
……と、呑気な声と共に現れたのは、もはや説明不要のこの人。
北海道千歳市在住のプラネット星人、我らが宙マンである。
落合さん「……っと、お殿様、良いタイミングでお帰り下さいました!」
ビーコン「今の状況……改めての説明、要らないっスよねぇ!?」
宙マン「(頷き)どうやら、帰りの一風呂はまだ先になりそうだね」
落合さん「そういう事ですので、お帰り早々に申し訳ないですが……」
ビーコン「いつものやつ、一発ガツーンとお願いするっス!」
宙マン「(頷き)あぁ、やるとも!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、カーリー星人の前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
カーリー星人め、タチの悪いおふざけもそこまでだ!」
ズ、ズーンっ!!
落合さん「あぁ、お殿様、いつもながら何て素敵な……♪(うっとり)」
ビーコン「いえっふ~、アニキ、ファイトっス~!」
カーリー星人「ギャルル~ンっ、案の定出やがったな、宙マン!
いい度胸だぜ、それだけは褒めてやる!」
宙マン「大口を叩くのは、せめて私に一撃加えてからにしろ!」
正義の怒りを力に変え……
ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。
カーリー星人「抜かしたな、今日こそ串刺しにしてやるぜ」
宙マン「さぁ来い、カーリー星人!」
激突、宙マン対カーリー星人!
落合さんたちが見守る中、凄絶なまでの巨大戦が展開される。
ビーコン「それっ、そこっス、ファイトっスよアニキ!」
ビーコン「アニキならやれるっス、ガンガン行くっス~!」
落合さん「(ジト目)……応援だけは、威勢のよろしいことで。
ビーコンさんも少しは、お殿様を見習って……
何か怪獣退治に貢献でもなさればよろしいですのに!」
ビーコン「や、そうは言うっスけど……
展開が「ああ」なっちまうと、うかうか近づいてった日にゃ
グシャーッと踏み潰されるのがオチっスよ?」
落合さん「それは、まぁ……そうですけれど」
ビーコン「ヒヒヒ、でしょでしょ?
だから応援する以外、オイラたちに出来ることなんて――」
ビーコン「……や、そうでもねーっスかね?
やりようによっちゃ……いけなくもねーかも、っス!」
落合さん「(身を乗り出し)それはどういう事ですの?」
ビーコン「んーと、つまりっスねぇ……
(落合さんに耳打ち)ゴニョゴニョゴニョの、ボソボソボソ……」
落合さん「ふむ、ふむっ……はぁ……
……う~ん、それは流石にどうなんでしょう?」
ビーコン「この際ダメでもともとっスよ~。
やれることがあるってんなら、何でも試してみるのは――」
落合さん「……ビーコンさんの仰る通りですわね。珍しく」
落合さん「分かりました。私も一口乗らせて頂きますわ!」
ビーコン「いえっふ~、そうこなくちゃっス~!」
……と、二人の間で何やら合意が生じたところで。
カーリー星人と宙マンとの凄まじい激闘に背を向け……
そそくさと、千歳の街の中へと繰り出していく極楽コンビ。
ビーコン「(きょろきょろ)えーっと、店、店、店……っと」
落合さん「ちょ、じっくり吟味もいいですけど……
出来るだけ急いで下さいましね、ビーコンさん。
いつ戦いの流れが変わって、お殿様がピンチになるか……!」
ビーコン「ヒヒヒ、わーってる、わーってるっスよ。……」
ビーコン「よし、落合さん、ココなんてどうっスか!?」
落合さん「悪くないですわね――早速、お邪魔しましょう!」
と、言うわけで……。
現在進行形で展開する宙マンと星人との大バトルを横目に見つつ
落合さんとビーコンが足を踏み入れたのは……千歳市内において
「何を食べても美味しい」と評判の定食屋さん。
注文をして、待つこと数分……。
落合さん「うふふ、来ました来ました、参りましたわよっ!」
ビーコン「うひょひょ、待ちかねたっス~!」
この度の極楽コンビの注文は、こちら……
冬場の人気メニューのひとつである“ホルモン鍋セット”。
黒い土鍋の蓋を、パカリと開けたその瞬間!
落合さん「(陶然と)……あぁ、いい香り……!」
ビーコン「ん゛ー、冬の鍋はまずコレが堪んないっスよねぇ!」
落合さん「さぁさぁ、迅速に頂きましょう、アツアツのうちに!」
ビーコン「いえっふ~、異議なしっス~!」
ビーコン「ふぅふぅ、はふはふ……アチチ……
はぁ、コレっスよコレ、この濃厚な味噌味っス!」
落合さん「この味噌味が、ホルモンの臭みや独特の癖を消しつつ
旨味だけをよりくっきりと強調してくれますのよねぇ」
落合さん「そこに来て、唐辛子のアクセントがまた……。
おかげで、食べていると体がポカポカ暖まってきますわ」
ビーコン「ホント、冬場にゃもってこいのご馳走っスよねぇ。
……あ、落合さん、コレコレ」
ビーコン「このマッシュポテトも手が込んでるっスよ!」
落合さん「ほっくり食感の中から、仄かなカレー風味が……
ふふ、これはなかなか嬉しい不意打ちですわね」
ビーコン「やー、いい店見つけちゃったっスねぇ♪」
落合さん「えぇ、今度は是非とも家族揃って……」
「……っがー!!
テメェら、いい加減にしやがれ~っ!!」
落合さん「あら、何か問題でも?」
ビーコン「オイラたち、これからデザートも頂くとこなんスけど」
カーリー星人「ギャルル~、それだよ、それっ!
さっきからブツクサ飯レポ……気が散るっつ~の!」
カーリー星人「だいたい何だ、お前ら!
俺がシゴトしてる横で、呑気に旨そうなモン食いやがって!
もっとだなぁ、緊張感をもって真面目に……!」
……と言う星人の抗議の言葉が、最後まで続くことはなかった。
宙マン「おおっと、隙あり!
宙マン・フラッシュボンバー!!」
シ ュ パ ァ ァ ァ ー ン ッ !
右手に集中させた闘気を、裏拳とともに勢いよく解き放ち……
赤いエネルギー弾として、敵めがけて叩きこむ荒技。
フラッシュボンバーの一撃が、カーリー星人を直撃!!
カーリー星人「ぎゃいいんっ、こ、こんな負け方なんてぇぇ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いえっふ~、やったやったっス、落合さん!
“戦闘中の食レポで怪獣の気を逸らして妨害しまくる作戦”、
見事に大成功っスよ~!」
落合さん「美味しく食べて地球も守れる、正に一石二鳥ですわ――
そしてお殿様、今日も本当に有難うございました!」
イフ「ぐぬぬぬっ……おのれェッ、またしても宙マンめが!」
イフ「だが、勝った気になるのはまだ早いぞ……
今日はまだ、地球侵略のための新手を控えさせておるのだ!
いでよ二番手! どくろ怪獣・レッドキング!!」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
ビーコン「お、おろろろろっ!?」
落合さん「あらやだっ、まさか……またですの!?」
そう! 正に、そのまさか。
大地を引き抱き、地上に姿を現した怪獣軍団・本日の二番手は!
「ぐわぉぉぉぉーんっ!!」
ビーコン「どひ~っ、あいつァ……レッドキング!?」
落合さん「よりにもよって、とんでもない凶状持ちが……!」
その姿と名前を広く知られた、怪獣界の大メジャーたる一頭。
多々良島出身の暴れん坊、どくろ怪獣レッドキング!
宙マン「出たな、レッドキング……!」
レッドキング「ぐわぉぉ~、次は俺が相手だぜぇ、宙マン!」
レッドキング「言っておくが、俺の強さは桁違いだぜ……
た~っぷり、その体で思い知れや!」
宙マン「なんの……私も、そう簡単にはやられない!」
ビーコン「うひ~っ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃっス!」
落合さん「私たちもこうしてはいられませんわ、ビーコンさん。
“戦闘中の食レポで怪獣の気を逸らして妨害しまくる作戦”、
ただちにフェイズ2へと移行して……!」
ビーコン「(青くなり)うげっ、ってコトは……!」
ビーコン「さっきあれだけ食ったばっかなのに……
その足で、また何か食いに行くってコトっスかぁ~!?(汗)」
落合さん「(頷き)正義のためです、さぁご一緒に!」
ビーコン「どひ~っ、もうご勘弁っスぅぅ~!!」
落合さん「あ、ビーコンさんったら、どこへ行くんです!?
ちょっとアナタ、お待ちなさいったら……ゲップ!
……あらっ、これは大変お見苦しいところを……(赤面)」
などと、極楽コンビがドタバタやっている間にも……
早くも最高潮のテンションでダイナミックに展開されているのは
宙マンとレッドキングの巨大バトル。
勿論この戦いにも、宙マンが鮮やかに勝利を収めたと言う事実を
読者の皆様にお伝えして、本話の締めくくりとさせて頂こう。
宙マンがいて、怪獣がいるから……
街は、いつでもニュースに溢れてる。
はてさて、次回は何が起こるかな?