遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

キミがめざすTOY(トーイ)星

巨大怪獣(毎週レギュラー的に出て来る銀色のアレをも含む)が地球にもたらす

怪奇・超常現象や大破壊絵巻と並んで『ウルトラシリーズ』を支える大きな柱。

番組世界観の象徴でもある対怪獣の特捜チーム。

番組の大きな魅力である、勇壮な出撃シーンや対怪獣作戦での縦横無尽の活躍ぶり

(勿論その活躍とは”やられ”をも含む)によって多くの視聴者を惹きつけて来た

それら特捜チームや地球防衛組織のメカニックの数々は、SF番組としての方向性を

視覚的な説得力とともに視聴者へ提示するものであり、また同時に玩具屋さんの

店頭を賑々しく彩る多彩な「商材」そのものでもありました。

そんなウルトラの防衛隊関連のTOY、それもバンダイ(及び、その関連会社)から

リリースされたアイテムにのみ絞り込んで、その歴史の蓄積ぶりの「重さ」を

ビジュアルとして楽しく俯瞰することの出来る一冊がここに登場。

 

ミリオン出版さんから先にリリースされた「平成ウルトラ関連のライドメカ本」を

基調としつつも、現行最新作『ブレーザー』についての記述やポピー時代の商品など

大幅な内容面でのパワーアップを果たした増補改訂版であり、正に「決定版」です。

リアルな実機再現度の高さ、或いは実際のプロップを離れた玩具ならではのポップさや

盛り込まれたギミックの小気味よさ、更には児童向けかシニア向けかの違いによっても

明らかに変わって来る商品としての方向性。

 

それら「玩具」が一冊にまとまり、ひとつの大きな流れを俯瞰することができるのは

個々のアイテムの完成度や思い入れとはまた別に、読む楽しさでも研究資料としても

それだけで大いに意義のある事です。

加えて時代、時代の玩具開発を担当なさったスタッフ陣の口から語られる貴重な証言も

実に興味深く、意義あるものであり……

 

一個の玩具を開発し、実際に店頭に並べられるまでにどれほどの豊富なアイディアが

絶えず提出され、取捨選択が重ねられていったか。

そのおもちゃが「そういった商品仕様」で世に送り出される過程、例えば現行作の

人気商品「DXアースガロン」がどうして「ああ」なったか、そのひとつひとつに

しっかとした成り行きがあり、開発陣の奥枠があり、ドラマがあったのか。

 

そう言う「おもちゃ屋さんの立場と事情」から語られるもう一面の『ウルトラ』史は

映像作品とはまた別の意味でスリリングであり、尊くもあり、映像制作サイドとの

時に助け合ったり、また足を引っ張り合ったりの運命共同体っぷり(笑)も含めて

ひとつの「もの」が生まれる過程ってこんなに刺激的なのか、と改めての再認識です。

なんせもうライドメカ一本、ポピー&バンダイに絞り込んだだけでこの大ボリューム。

その上で2420円(税込)は絶対にお安いですし「買い」です!!