遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

ワナワナ罠のビラ作戦の巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

日に日に、秋の気配も深まりを見せ……

耳を澄ませば、冬の足音がすぐそこから聞こえてくるかのような。

毎度おなじみの北海道千歳市、ほんわか町5丁目の周辺も

今やすっかり、この通りの美しい紅葉に彩られていた。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211027075048j:plain

と言うわけで、今日もスタートする『宙マン』のお話。

千歳市ほんわか町5丁目、「宙マンハウス」から物語を始めよう。

 

宙マン「いやぁ~、それにしても。

 例年にも増して一段と素晴らしいよねぇ、今年の紅葉は!」

落合さん「えぇ、仰るとおりですわね、お殿様……

 毎朝カーテンを開けて外を見るだけで、良い命の洗濯になりますわ」

ピグモン「はうはう~、とってもきれいなの~♪」

ビーコン「普通の年だったら、11月にもなればとっくの昔に散り落ちちゃって

 山の木が丸裸になっててもおかしくないんスけどね~。

 ……うほ、丸裸! 何度口にしてもイイ響きっスよねぇ!?」

落合さん「(ジト目)うるさいですわよ、ビーコンさんっ」

宙マン「今年の夏は、ことのほか暑くって……

 果たして本当に秋が来るのか、本気で疑わしかったりしたものだけど。

 ……それだけに秋風の心地よさと、紅葉の美しさに癒されるよねぇ」

ビーコン「なんのかんの、オイラたちが騒いでみても……

 自然のバランスってやつは、どっかで上手く辻褄あうものなんスねぇ~」

ピグモン「ねーねー、みんな。

 ピグちゃんね~、またお山へ紅葉を見に行きたいの~」

落合さん「あら、いいですわねぇ紅葉狩り!」

ビーコン「せっかくイイ感じで色づいてるんスから、堪能しなきゃ損っスよね~」

ピグモン「はうはう~、それじゃ決まりなの!」

落合さん「それでは腕によりをかけて、お弁当を用意しませんとね」

宙マン「(頷き)うんうん、そういう事ならね。

 我が家だけでなく、ご近所付き合いのあるみんなにも声をかけて……」

 

と、楽しく話がまとまりかけていた時。

 

「ふぇぇん……宙マンさん、宙マンさ~んっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701220302j:plain

息せき切って「宙マンハウス」の庭に駆けこんできたのは……

これまたお馴染み、みくるん&ながもんのコロポックル姉妹。

 

宙マン「やぁ、二人ともよく来たね、いらっしゃい!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701220646j:plain

落合さん「今ちょうど、そちらへ伺おうかと思っておりましたのよ」

ピグモン「みんなで、山へ紅葉見物なの~」

ビーコン「ヒヒヒ、みくるんちゃんたちも一緒にどうっスか?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701221436j:plain

みくるん「山?……

 あ、あの、今は……山は止したほうがいいと思いますぅ(汗)」

ながもん「実は、その件で……ここに、来た」

宙マン「……ふむ、何か山で変わったことでもあったのかね?」

みくるん「実はさっき、「来々軒」のアギラさんから……

 ラーメンの具に使うキクラゲを採りに山へ入った時、森の奥深くで

 何かがピカピカって光ってた、ってお話を聞いたんです」

ビーコン「光ってた……何がっスか?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428083947j:plain

ながもん「それは、判らない……でも……明らかに、怪しい」

みくるん「ほら、前のキノコ狩りの時だって……

 怪獣さんに出くわして、大変だったことあったじゃないですかぁ。

 だから、もしかしたら今度のピカピカも……」

ビーコン「な~る……ありえない話じゃないっスね~」

落合さん「どう思われますか? お殿様は……」

宙マン「う~む……難しいところだねぇ」

 

コロポックル姉妹の話を聞いて、思案顔になった宙マンファミリー。

そして、そんな彼らの様子を……

宙マンたちに気取られぬよう一定の距離をとりながら、空中に浮かびつつ

撮影・中継している、不気味な小型監視メカの存在があった。

 

その監視メカからの映像に目を光らせている、事件の黒幕とはいかに!?

?「ンヴフフフ……さぁ、来い来い、早く来るんだ宙マン。

 こうして騒ぎを起こせば、お前は必ず食いついて現場までくる……

 既にこの一帯に、私が必殺の罠を張り巡らせてるとも知らずにな」

?「一歩足を踏み入れたが最後、宇宙トラバサミがお前の足にガブリと食いこみ

 そこに塗られた宇宙トリカブトの猛毒が、みるみるお前の体に回り……

 すかさずそこへ宇宙ミサイルを叩きこめば、さすがの宙マンもお陀仏よ」

?「さあ、この罠の中に飛びこんでくるがいい、宙マン!

 バラバラに消し飛んだお前の肉片こそ、魔王様への最高の手土産だ!」

 

おお、何と言うことだろう――

千歳の山で起こった「光る目」の騒動は、野次馬根性では人一倍の宙マンを

仕掛けた罠の渦中へ誘い出すためのものだったとは!

 

だが、そうとは知らない宙マンたちは……。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701221436j:plain

みくるん「えーっと……宙マンさん、どうしましょう?」

宙マン「ありがとう、みくるんちゃんたち。よく知らせてくれたね。

 そういうことなら、私のとるべき行動はたったひとつ――」

「紅葉見物はやめて、うちでのんびりしよう!!」

 

 

?「……ちょ、おまっ……そんなのありかよ~!?(汗)」

ヒーローらしく事件に首を突っ込むかと思いきや……

今回に限って、まさかの完全スルー宣言。


事件の黒幕も、これには思わずズッコケた。

宙マン「昔から“君子、危うきに近寄らず”と言ってね。

 何か危険な予感がするときに、みすみす首を突っ込むことはないさ」

ビーコン「うひゃ~、まるっきりヒーローらしくない台詞っスねぇ!?」

宙マン「はっはっはっ。

 いいんだよ、私はとっくに現役引退してるんだから♪」

ながもん「オウ、そう言えば……そうだった」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210604235122j:plain

落合さん「そういう次第ですので……

 聞き分けて下さいますわね、ピグモンちゃん?」

ピグモン「うんっ、ピグちゃん了解したの~」

みくるん「うふふ、私たちもお知らせした甲斐があったですぅ~」

ながもん「これにて、一件……落着

 

「っがー、んなわけにいくかっ!!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210719144928j:plain

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!

突如として起こった局地地震が、千歳の街を激しく揺さぶる。

ガラガラとビルが崩れ落ち、大地が割れ裂け……

その裂け目から、不気味な赤い煙がもうもうと立ち昇る。

そして……

赤い煙の中から、忽然と巨大な姿を現したのは!?

「んくくく……ンヴフフフゥ~ッ!」

 

異形の巨体は怪獣軍団の一員、「宇宙蝦人間」ことビラ星人。

言うまでもなく、今回の一件を企てた悪の黒幕そのものだ!

 

みくるん「ふぇぇん、また何か出て来たですぅ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210427233353j:plain

ピグモン「悪い怪獣なの、怖いの~!」

ながもん「少し違う……あれは、あくまで……悪い、宇宙人

ビーコン「や、その辺は割とどうでもいいっスよ!?(汗)」

宙マン「こらっ、そこの君!

 いきなり乱暴な出方をして、何のつもりだね!?」

落合さん「皆様のご迷惑というものも、少しはお考えになって下さいませ!」

ビラ星人「んぐぐ~、うるさい、黙れ黙れっ!

 せっかく私が、軍団の作戦予算に加えてポケットマネーからも持ち出しして

 苦労して、苦労して仕掛けた、宙マン打倒の必殺の罠……

 お前がシカトしやがったせいで、ぜぇんぶ無駄になっちまったじゃないか!

 やいやい宙マン、一体どうしてくれる!?」

宙マン「いや、急にそんなこと言われても……(困)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426122119j:plain

イフ「予定の狂いなどよくあることだ、ポジティブ・シンキングでいけ!

 ビラ星人よ、こうなったら実力行使だ――

 お前のパワーと超能力で、千歳の街をメチャクチャに破壊しろ!」

怪獣魔王の命を受け、進撃開始するビラ星人!

逃げ惑う人々を、巨体の猛威で四方に追い散らしていく。

ビーコン「え~らいこっちゃ、えらいこっちゃっス!」

落合さん「ああっ、もう、毎度毎度こんな展開……!」

ピグモン「はわわ、ピグちゃん怖いの~!」

 

おお、早くも千歳は絶体絶命の大ピンチ!

だが、宇宙蝦人間の暴虐を、防衛隊が見過ごすはずもなく……

危機的状況を前に、空の精鋭らが直ちにスクランブルをかけた。

ビーコン「おおっ、また例によって来てくれたっスよ!」

落合さん「具体的な成果はともかく……

 とりあえず来て下さると、何となく嬉しいものですわねぇぇ」」

ピグモン「はうはう~、おじさんたち、がんばってなの~♪」

「ようし、気合入れて行くぞ――一斉攻撃、開始っ!

戦闘機の機首砲座から、鋭く迸るレーザー光線!

だが、半ばやけくその勢いもあるビラ星人の進撃は止まらない。

 

ビラ星人「ンヴフフゥ~、すっこんでろ、雑魚がっ!」

「う、うわぁぁぁ~っ!?」

ビラ星人の両目が閃光を放つや、上空に発射される破壊光線!

その威力の前に、戦闘機隊は次々に撃墜されていく。

 

みくるん「ああっ、やられちゃったですぅ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701224558j:plain

ピグモン「どうしよう、これじゃ千歳がメチャクチャなの!」

ながもん「これは、色々……シャレに……ならない」

 

ビラ星人「ンビュフフフ……見たか、私ことビラ星人の威力を!」

ズガーン! グワーンっ!

連鎖反応的に爆発が巻き起こり、みるみる炎に包まれていく街。

千歳市の平和は、もはや風前の灯であった!

ビラ星人「ンヴフフゥ~!

 ご覧になっていますか魔王様、ビラ星人めの働きぶりを!」

ビーコン「だ~っ、せっかく平和な開幕部だったのにぃ!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210504000227j:plain

落合さん「何てことでしょう、これはどうにもいけませんわ!」

ピグモン「はわわわ、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「ようし、やるぞ!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426232617j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

荒れ狂うビラ星人の前へ、敢然と立ちはだかるこの雄姿!

 

ビラ星人「ンヴウウ~ッ、宙マン、貴様!

 現役引退したんだろう、今更なにしに出てきやがった!?」

宙マン「おっと、誤解してもらっては困るな、ビラ星人」

宙マン「私は確かに、気楽な現役引退の身の上だ……

 でも、だからって、無法な振る舞いでみんなを苦しめる手合いを

 みすみす放っておくこともありえないって事さ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マンーー

バトルのテンションは、一気にヒートアップ!

ビラ星人「えぇい、そんな理屈はいいんだ、リクツはっ!」

宙マン「そういう事なら……腕ずく上等、受けて立つぞっ!」

おお! ついに始まった、世紀の大激突!

正義の味方と奇怪な宇宙蝦人間、ふたつの巨体がからぶつかって

激しい戦いの火花を散らす。

胴体を形成する無数の「節」をぐねぐね動かしながら迫るビラ星人。

そのトリッキーな挙動は、さしもの宙マンにとっても厄介だ。

果敢にビラ星人の間合いへ飛びこみ、接近戦を仕掛ける宙マン。

敵の顔面へパンチの連打を浴びせ、優勢かと思われたが……。

宙マン「ううむ、なかなかしぶといな、君!?」

ビラ星人「ンヴフフ~、これでもくらえ、宙マンっ!」

ビラ星人の口から吐き出される黄色の猛毒ガス!

不意を突かれた宙マンは、ガスをまともに浴びてしまった。

 

宙マン「(苦悶)ぐうう……ううっ!」

毒ガスの作用で体が一時的に麻痺し、ドドーッと倒れ伏す宙マン。

 

みくるん「ああっ、このままじゃ宙マンさんが!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428003116j:plain

ビーコン「マジでヤバいっス、結構効いてるっスよアレ!」

落合さん「(ハラハラと)……あああ……お殿様っ!」

ピグモン「はわわわ、宙マン負けないで、がんばってなの~!」

ながもん「……根性……!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210427235422j:plain

イフ「おおっ! いいぞいいぞ、真っ向勝負でもイケるではないか!」

サンドロス「をほほほ、そのまま決めちゃうドロス、ビラ星人ちゃん!」

 

ビラ星人「ンヴフフフ~……思い知ったか、宙マンめ!」

だが――

どんな攻撃に晒されても、宙マンには決して消えない不屈の闘志がある。

突進してきたビラ星人の巨体を、辛うじて側転でかわしたぞ。

 

ビラ星人「チィィーッ、小癪な!」

怒り、破壊光線を放って攻撃するビラ星人。

素早く立ち上がった宙マンは、その一閃を華麗な回転戦法によって

ひらり、ひらりと軽快にかわしていく。

宙マン「どうしたどうした、お前の力はそんなものか!?」

ビラ星人「むぎぎぎ……こいつムカつく~っ!」

更なる破壊光線の乱射も、宙マン・プロテクションが見事に無力化。

 

ビラ星人「(狼狽)な、何ですとっ!?」

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426152748j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ビラ星人を直撃!!

ビラ星人「ンヴァワッ、落ち葉のようにヒ~ラヒラぁぁ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

みくるん「わぁっ、宙マンの勝ちですぅ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210825140527j:plain

ながもん「(ボソッと)任せて、安心……信頼の、宙マン」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~☆」

落合さん「ああ、お殿様……今日も素敵です……♪(うっとり)」

イフ「う、うぐぐぐっ……宙マンめが、よくもやってくれたな!

 だが、勝利の美酒に酔っていられるのも今のうちだけだ――

 次の強力怪獣が、必ずお前を地獄に叩き込んでやるわ!」

 

……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211024231202j:plain

かくて宙マンの活躍により、怪獣軍団の使者・ビラ星人の野望は挫かれ

千歳の平和は、今日もまた無事に守り抜かれたのであった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210508161058j:plain

みくるん「宙マンさん、どうもありがとうございました!」

ながもん「(ボソッと)……おつかれ」

ピグモン「これでみんなで、安心して紅葉見物に行けるの~」

宙マン「うん、確かにそれはそうなんだけど……

 まずはお腹がペコペコだから、しっかりご飯を食べたい気分かな。

 山へ紅葉狩りに行くのは、また日を改めて……ってことで、どうだい?」

ピグモン「うんっ、ピグちゃん了解したの~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701232847j:plain

ビーコン「ヒヒヒ、ピグモン、それにみんな……

 わざわざ山まで行かなくても、自宅でいつでも紅葉狩りは楽しめるっスよ。

 落合さんの背後から忍び寄って、おもむろに……はいっ、モミモミジっス~☆」

 

むにゅん、ふにふにっ

 

落合さん「(赤面)……きゃ、きゃあああああっ!?」

 げ し っ !

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428011630j:plain

落合さん「ねーい、上手いこと言ったおつもりですかっ!!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、散り行く落ち葉とともに去りぬっスぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

春夏秋冬、駆け抜けて……

今日も活躍、我らが宙マン。

次回もバリバリ、元気に大活躍だよ~!