「グゥオオオ~ンっ!」
怪獣軍団の使者・透明怪獣ネロンガと宙マンとの激しい死闘のさなかに
割って入る形で突如、出現したミサイル超獣・ベロクロン。
ベロクロン「いいコト教えてやる。
……超獣はな、怪獣よりも強いンだよっ!!!」
怒り、戦いを挑んできたネロンガを瞬時に一蹴!
異次元人ヤプールの「悪魔の力」を見事に証明してみせたベロクロン。
……それはあまりに圧倒的で、露骨ですらある戦力差であった。
「超獣」――
それは四次元空間に救う悪魔のような異次元人・ヤプールの科学力によって
地球生物と宇宙生物が合成されて生まれた一種の生体兵器の総称。
幾度もその野望を砕かれ、ウルトラヒーローの手で宇宙の藻屑と消え去ってもなお
その怨念はしぶとく存在し続け、今またここに復活を果たそうとしている。
……過日のにせジャンボーグA騒動、そして今回のベロクロン出現、その全ては
ヤプールが再び力を増して実体化し、復活せんとする予兆だったのである。
ベロクロン「グゥオオ~ンっ!
思い知ったか、異次元人ヤプールの悪魔の力、悪魔の強さを!」
みくるん「ああっ……こ、こんなことって!」
ピグモン「はわわわ、宙マンもあぶないの~!」
落合さん「これが「超獣」の実力ってことなのでしょうか!?」
ビーコン「アニキでさえも手こずった、あのネロンガが……」
ながもん「あんなに、あっさり……負けちゃう、なんて」
ベロクロン「(ニヤリと振り返り)……さぁて、次の相手はお前さんかイ?
それとも、今から尻尾を巻いて逃げ出すかぁ!?」
宙マン「冗談はよせ、超獣ベロクロン!」
宙マン「この千歳を、私の愛する町の平和を乱す者には……
私はどこまでも戦い、正義を貫くまでのことだ!」
ベロクロン「グゥオオ~ンっ、いい度胸だ! だったら来な!」
宙マン「ベロクロン、行くぞっ!」
同時に駆け寄り、真っ向から激突する両者。
スーパーバトルは終わらず、どこまでも過熱するばかり!
落合さんたちが固唾を飲んで見守る中……
今ここに、宙マン対ベロクロンの戦いのゴングが鳴った。
生体兵器たるに相応しい、超重量級ボディに秘められたパワーと武装。
宙マンのパンチ攻撃にも怯むことなく、ふてぶてしくニヤリと笑いながら
持ち前の怪力で押しまくる様が全くもって憎らしい。
ベロクロン「どうだ宙マン、超獣の怖ろしさを思い知ったか!?」
宙マン「いいや、まだまだ――これでもくらえっ!」
宙マン得意の浴びせ蹴りが、超獣の胸板にヒット!
ベロクロンがさすがによろめいた隙を逃さず、次なる連撃。
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュイィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、ベロクロンの脳天で激しい爆発が起こる。
ビーコン「っしゃ、こうなりゃもうアニキのペースっス!」
落合さん「流石ですわねェ、やっぱりお殿様ですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、しっかりなの~!」
イフ「それっ、そこだ、いいぞ――
その調子で攻めに攻めるのだ、頑張れ宙マン!」
「ちょ、魔王様、どっちを応援してんですかぁ!?」
「まァ、そのお気持ちは分かりますけどねぇ……(苦笑)」
イフ「(ハッと気づいて赤面し)……こ、コホン、消去法というやつじゃ。
とにかく、あの陰険で性悪なヤプールなどを応援する選択肢なぞあるものか!」
宙マン「どうだベロクロン、これが正義の力だ!」
ベロクロン「グゥオオ~ンっ、なめ腐りやがって!」
ギャラリーの様々な思いも渦巻く中、宙マンとベロクロンとの激闘は
どこまでもヒートアップの一途を辿っている。
そしてその様子は、勿論……
地上にベロクロンを送り込んだ、異次元人ヤプールの想念が渦を巻く
我々の目には見えない異次元世界にも伝わっていた。
「おのれ……「銀河連邦」のプラネット星人めが、小癪な真似を。
だが、我々異次元人ヤプールの悪魔の強さを……
真の恐怖と絶望を見るのは、今、ここからなのだよ!」
呪いの声が、嘲笑交じりで宣言すると同時に……
おお、見よ! 驚愕せよ!
ピ シ ィ ィ ッ !
みくるん「あっ、空が!?」
ピグモン「お空に、ひびが入って……割れそうなの~!」
ビーコン「ちょ、そんなバカなっスよ、空が割れるなんて……」
落合さん「ですが、あの現象はどう見てもそのようにしか!(汗)」
自然界の摂理ではありうべからざるその超常現象に、地上の人々が
驚き、うろたえているその眼前で……!
パ リ - ン っ !
「グワルルルゥゥ~ッ!!」
ズ、ズーンっ!
ながもん「おおっ。……とうとう、空が……割れた」
ビーコン「しかも、なんかまた出て来やがったっス!」
宙マン「もしかして、あれもまた「超獣」だったり致しますの!?」
そう、その通り!
奴の名はドラゴリー、地球の蛾と宇宙生物とが「超獣製造機」によって
合成されて生まれた、異次元人ヤプールの邪悪な尖兵なのである。
ドラゴリー「グワルルル、よう、ベロクロン……
楽しそうなオモチャで遊んでるじゃねぇか、俺も仲間に入れろや!」
ベロクロン「グゥオオ~、お前がかぁ、ドラゴリー?
そいつは構わんが……お前は「遊び方」がいつも乱暴すぎるんで
せっかくのオモチャも、すぅぐに壊しちまうからなぁ?」
ドラゴリー「なぁに、そん時ゃまた、代わりを見つけるだけのことだぜ――」
ドラゴリー「見ろよ、この地球を。
相も変わらず、遊び甲斐も壊し甲斐もあるオモチャで一杯じゃねぇか!」
ベロクロン「がははは、違いねぇや!」
宙マン「おのれっ、黙って聞いていれば好き勝手なことを……
この地球の平和を踏みにじる権利など、誰にもない!」
ドラゴリー「グワルル~、さっそく遊んでくれるのかィ? 可愛い奴だぜ!」
ヒーローと超獣、二対一の激闘!
ただでさえ強い超獣が、ここに来て二頭に増え……
それらを同時に相手どるとなっては、さしもの宙マンと言えども
苦戦は必至、とならざるを得ない。
ベロクロン「グゥオオ~ンっ、押しくらまんじゅうだぜェ!」
ドラゴリー「オラオラ、こんなのはまだほんの序の口だぞ!?」
超獣たちの中でも屈指と言われる、ドラゴリーの腕の力。
その凶悪パワーを全開にしたチョップ攻撃を受けては、歴戦の勇士も
ひとたまりもなく跳ね飛ばされてしまう。
ズ、ズーンっ!
ネロンガ、ベロクロンとの連戦で、さすがに疲労の色が濃い宙マン。
だが超獣たちに、それを思いやる慈悲の心はかけらもない――
ベロクロンの全身の突起から、生体ミサイル恐怖の乱れ撃ち!
宙マンの周囲に、たちまち凄まじい爆発が巻き起こる。
ズガーン! グワーンっ!
ドラゴリー「そらよっ、こいつもくれてやるぜ、よく味わいな!」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ピグモン「はわわ、二頭がかりなんてずるいの、ヒキョウなの~!」
ビーコン「う~む、やることなすことエゲツないっスねぇ!」
落合さん「……ビーコンさんがそうお感じになるのなら、よっぽどの事ですわ」
ビーコン「って、そこでオイラに振らないで欲しいっス!(汗)」
ながもん「(無表情に)これは、いろいろ……ヤバげな、局面」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
ベロクロン「グゥオオ~、ざまァないな、宙マン!」
ドラゴリー「銀河連邦の元・英雄……所詮は、ただのロートルってことかぁ。
なぁベロクロン、そろそろコイツ、壊しちまってもいいかァ?」
ベロクロン「グゥオオ~ン、たっぷり、たっぷりと痛めつけて……」
ドラゴリー「じっくり、じわじわ嬲り殺しにしてやるぜ!」
持ち前の嗜虐性を全開に、宙マンへと迫って来る二大超獣。
ああ、宙マン絶体絶命の大ピンチ――
だが、その時である!
「待ていっ、そうはさせないぞ!!」
ベロクロン「(慌てて空を振り仰ぎ)……むむッ!」
ドラゴリー「(狼狽)な、なんだァ!?」
突然、天空から降ってきたかのような凛々しい声……
それは遥か宇宙の彼方から、地球を……北海道千歳市を目指して
一直線に飛来してきた、赤い光球からのものであった。
落合さんたち、超獣たち、その場に居合わせた誰もが呆然とする中を
空の彼方から飛来し、ぐんぐん地上に降下してくる赤い光球。
落合さん「な、なんなんでしょう、アレは!?」
みくるん「あの中から、何か出て来るってことなんでしょうか?」
ビーコン「どひ~っ、また新しい敵ってのはご勘弁っスよ!?(汗)」
音もなく地上に降り立ち、急速に実体化していく赤い光……
その姿はまさに、赤い巨人であった。
ドラゴリー「(驚愕)ゲゲェッ! て、て、テメェは……!?」
宙マン「(も、その姿を認め)……おおっ。君は……!」
「レーッド!!」
二大超獣の猛威に大ピンチのさなか……
赤い光に乗ってやって来た、真紅の巨人。
果たして……敵か、味方か!?