遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

怪談シリーズ? 遅れて来た人魂の巻

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毎度おなじみの物語の舞台、北海道千歳市……

燃えあがるような暑さの8月が過ぎ去って、早や9月。

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そして、この9月1日~3日にかけての三日間はと言えば

地元・千歳神社の例大祭が行われる日である。

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と言うわけで、今回の『宙マン』は……

そんなお祭りムードに沸く、千歳の市街地から物語を始めよう。

 

 

 

落合さん「あぁ、今年もやって参りましたね、お祭りの時期が!」

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ビーコン「出店だって、毎年そう変わりゃしねぇんスけど……」

みくるん「それでもやっぱり、ワクワクしちゃいますよねぇ~」

ながもん「(頷き)年に、一度の……行事、だから」

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宙マン「今年もみんなで、仲良くこの日を迎えられたこと。

 それだけで、嬉しくてたまらないものだよね」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんお祭りだいすきなの~♪」

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ビーコン「まずはブラブラと、境内の出店でも冷やかして……

 その帰りに、何か旨いもんでも食って帰りたいとこっスねぇ」

落合さん「8月中の猛暑で、随分消耗させられましたから

 それを補う意味でも、焼肉でしっかり精をつけたいですわね」

ビーコン「うひょひょ、焼肉いいっスねぇ! 焼肉!」

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宙マン「しっかり食べて精を付けるとなれば……

 ここはいっちょ、ホルモンあたりが妥当じゃないかな」

みくるん「安くて美味しい、庶民の味方ですもんねぇ」

ビーコン「でもって、合いの手にビールでもありゃ最高っスね!」

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落合さん「……あら、ながもん様、どうかなさいまして?」

ビーコン「いっつもなら、このテの話にゃ真っ先に食いついて来て

 ためンなる薀蓄でも聞かせてくれるトコっスのに……」

ながもん「(ボソッと)……あれ……」

ビーコン「へっ?」

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ながもん「(一方を指し)……あ れ

 

ながもんの指し示した方を一同が振り返ると、そこには……!

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宙マン「(訝しんで)……火の玉!?」

みくるん「って言うより、人魂みたいにも見えますぅ!」

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ながもん「お化けが、出てくる……例の、アレ?」

みくるん「……(震えながら、コクコクっと頷き)」

ビーコン「そ、そんなバカなぁ……オバケなんてっス!(汗)」

ピグモン「やぁぁんっ、オバケ怖いの~!」

 

などと言う、地上での彼らの会話を聞いてか聞かずか……

おもむろに速度を増し、空から地上へ急降下してくる巨大な人魂!

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ゴ ウ ン ッ !

 

落合さん「!!(ハッと空を見上げる)」

ビーコン「ちょっ……な、なんかヤバげっスよ~!?(汗)」

ズゴゴゴグワーンっ!

 

耳をつんざく大音響とともに、千歳上空から猛スピードで飛来し……

一直線に落下、地面に激突して大爆発を起こす赤い球体。

噴きあがる火柱の中から、すっくと立ち上がった巨体とは!?

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「フェミミミぃぃ~ンっ!!」

 

みくるん「ああっ、怪獣さんですぅ!」

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ながもん「おおう……オバケ、以上に……厄介」

ピグモン「きゃあぁん、怪獣もオバケも怖いの~!(涙目)」

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のっし、のっしと歩を進める、ひとだま怪獣フェミゴン。

もちろん例によってまた、怪獣軍団の一員だ!

宙マン「なるほど、だから人魂みたいな現れ方だったのか!」

みくるん「……宙マンさん、そこ、感心するところですかぁ?(汗)

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ビーコン「にしても、こんな9月に人魂なんて言われたって……」

落合さん「納涼怪奇企画にしては、時期を外しておりませんこと?」

フェミゴン「フェミミミ……ご指摘、いちいち御尤もザマス!

 これには話すと長い、深~いワケがあるザマスのよ」

落合さん「えぇと、出来るだけ手短にお願いしますね?」

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フェミゴン「もはや説明するまでもなく……

 この吾輩・フェミゴンはと言えば“ひとだま怪獣”ザマス。

 だからこそ、夏の納涼怪奇企画ではうんと皆を震え上がらせようと

 じっくり念入りにアイディアを練っていたザマスが……」

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フェミゴン「……つい、いつもの悪い癖で。

 凝りすぎて、時期を逃してしまったザマス」

ビーコン「(思わずドタこけ)ありゃりゃ~っ!?」

落合さん「そんな……同人誌の原稿描きじゃないんですから!」

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フェミゴン「そんなこんなで、魔王様にもガッツリお叱りを受け……

 この度の失態の罰として、減俸処分とおやつ抜き。

 それが嫌なら、地球でも侵略して来い、と!」

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フェミゴン「だからこそ今、吾輩はこうしてここにいるザマス。

 我が失態を帳消しにして、減俸処分を免れるためにも……

 今から、千歳をギタギタのメタメタにしてやるザマス!」

ピグモン「はわわ、そんなの全然嬉しくないの!」

ビーコン「どひ~っ、おかげさんで事情は判ったっスけど……」

落合さん「いずれにせよ、とんでもない大迷惑ですわ!(汗)」

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イフ「わはははは……ようし、行け! 行くのだフェミゴン!

 お前の反省ぶりと働きぶり、とくと見せてもらうぞ……!」

フェミゴン「フェミミ~ッ、お任せザマス、魔王様!」

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怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始するフェミゴン!

迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。

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落合さん「あらあらまぁまぁ、これじゃ神社のお祭りどころか……」

ビーコン「アイツのぶっ壊しで、それこそ後の祭りっスよ!」

ながもん「おお。……ちょっと、上手い?」

みくるん「もぉ~、感心してる場合じゃないってばぁ!(汗)」

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ひとだま怪獣の暴虐、もはや断じて許すまじ。

千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。

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ながもん「おおっ。……あれは」

ビーコン「有難ェ、航空防衛隊のお歴々っス!」

落合さん「頼みましたわよ~っ!」

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「ようし。……全機、怪獣に一斉攻撃っ!

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激しいアタックをかける、防衛隊の戦闘機!

持てる火力の全てが、怒濤のごとく怪獣へ叩きこまれる。

 

フェミゴン「フェミミ~ッ、小うるさい蝿ちゃんザマスこと!」

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「……ど、どわぁぁ~っ!?」

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フェミゴンの口から吐き出される、恐怖の火炎噴射!

その洗礼を受けて、戦闘機隊は次から次へと撃墜されていく。

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みくるん「(愕然)……ぜ、全滅……しちゃった!?」

ながもん「奮闘は、認める……尊いほどに……美しい」

ビーコン「あとは、なんつーか……

 成果が伴ってくれりゃ、言うことなしなんスけどねぇ!?」

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落合さん「とか何とか、言っている間にも……

 これでは本当に、お祭りどころではないですわ!」

ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」

宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、吠えるフェミゴンの前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 怪獣フェミゴン、これ以上の非道は見過ごせないぞ!」

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ズ、ズーンっ!!

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ビーコン「いよっ! 出たっスねぇ、アニキの十八番!」

落合さん「お殿様、やっぱり素敵です……♪(うっとり)」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

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フェミゴン「フェミミミ……来たザマスわね、宙マン!」

宙マン「あぁ、みんなが楽しみにしているお祭りのためにな!」

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ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。

さぁ、今日もまた、世紀のビッグファイト開幕だ!

 

フェミゴン「フェミミ~、受けてみるザマスっ!」

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フェミゴンの火炎噴射を、すかさずプロテクションで無力化。

それがそのまま、激しい戦いの開始を告げるゴングとなった。

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激突、宙マン対フェミゴン!

千歳の人々が固唾を呑んで見守る中、豪快に華開く巨大戦。

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怪力を秘めた左右の腕と長い首、そして鋭い牙……

持ち前の獰猛さと相まって、フェミゴンの力は決して侮れない。

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だからと言って、ここで怖気づくヒーローではない――

フェミゴンの猛攻をかいくぐり、時に受け流しつつ、宙マンもまた

果敢に接近戦を挑んでいく。

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水平チョップ、ハイキック!

フェミゴンの懐に入り込んでの連続技が、次から次にヒットして

さしものひとだま怪獣も、ズズッと大きく後退させられる。

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宙マン「どうだ! 思い知ったか、これが正義の力だ!」

フェミゴン「フェミミィィ……おのれザマス、おのれ宙マンめっ!」

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イフ「どうした、フェミゴン……しっかりせいっ!

 お前の真の実力は、そんなものではないはずだぞ!?」

フェミゴン「(奮い立ち)フェミミミミィ~ッ!!」

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怪獣魔王の檄を受け、大いに発奮するフェミゴン!

長い首を活かした鞭のような一閃が、宙マンを痛烈に打ち据えた。

 

宙マン「う、うわぁぁぁぁ……っ!」

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ズ、ズーンっ!

 

みくるん「ああっ、宙マンさんが!」

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ながもん「あれを……何度も、食らったら……」

ビーコン「い、いくらウチのアニキでも……!(汗)」

落合さん「そんな、お殿様に限って、そのような事は……!」

ピグモン「はわわわ……宙マン、まけないでなの~!」

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宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」

フェミゴン「フェミミミ……宙マン、黒焦げにしてやるザマス!」

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「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!

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宙マン、起死回生のパワー全開!

フェミゴンの火炎をジャンプでかわし、大空へと舞い上がる。

 

フェミゴン「(驚愕)な、何ザマスって!?」

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宙マン「エイヤァァーっ!

 宙マン・ミラクル・キック!!

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出た! 伝家の宝刀、ミラクルキック!

一撃を受け、フェミゴンがドドーッと倒れたところへ――

 

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、フェミゴンを直撃!!

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フェミゴン「ふぇ、フェミミミ、あぎゃばばばっ……

 時期を外すって、悲しいものザマスわねぇぇ~っ!

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ボヤきとともに、あえなく吹っ飛ぶフェミゴン。

やったぞ宙マン、大勝利!

 

ピグモン「はうはう~、やったの、宙マンの勝ちなの~!」 

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ながもん「宙マン……グッジョヴ……任せて、安心」

みくるん「どうもありがとうですぅ、宙マンさ~んっ!」

 

イフ「むむっ、破れたりとは言え……よくやった、フェミゴン!

 お前の頑張り、確かに見届けたぞ。

 減給とおやつ抜きの処分は撤回する、安心して戻れ――」

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イフ「……だが、宙マンよ、お前は許さん!

 この次こそは必ず、ワシらの総力で息の根を止めてやるからな!

 覚えておれ、覚えておれ~っ!!」

 

……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

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我らが宙マンの活躍によって、怪獣フェミゴンは撃退され……

千歳には再び、楽しげな祭囃子が戻ってきたのであった。

 

みくるん「宙マンさん、どうもお疲れ様でした~」

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宙マン「さぁ、これで安心してお祭りが楽しめるよ!」

ながもん「年に一度の、例大祭……」

ピグモン「楽しまなくっちゃ、大損なの~♪」

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ビーコン「ヒヒヒ、そしてそして、お祭りの日の最大の楽しみは

 お祭りの会場を離れた場所にこそあるんスよね~!」

落合さん「ホルモン焼きのお店、混んでなければいいんですけどね」

ビーコン「なァに、そん時ゃそん時っスよ、落合さん。

 オイラとホテルにシケこんで、「愛」と言う名の謝肉祭を……」

 げ し っ !

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落合さん「ねーい、全く、このエロ怪獣はっ!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、焼肉の前にヤキ入れられちゃったっスぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

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正義を秘めて、勇気に燃えて……

千歳に響くは、正義の凱歌。

我らが宙マン、次回もバッチリ頼んだぞ!