いろいろあった2022年も、過ぎ去ってひとつの「歴史」となり……
そしてやって参りました新しい年、2023年。
日々、何かと慌ただしい地球上の人々の営みも、時間も……
今日ばかりは至極まったり、ゆったりと流れている感がある。
……だが。
虎視眈々と地球を狙い続ける侵略者たちの恐るべき作戦計画は、
静かで穏やかな正月景色の中でも着々と進行中であった。
そう、地球は狙われている!
今……
幾千もの星から、恐るべき侵略の魔手が伸びようとしているのだ。
そんな恐怖の侵略者勢力のひとつ、暗黒星雲の怪獣軍団。
彼らは今また新たに、地球征服と宙マン抹殺の至上目的のもとに
配下の宇宙人たちへ命令を与え、地球へ向かわせていた。
かくして地球への侵入を果たした、クリスタル状の怪円盤。
その内部において、何が行われていたか――
”おおっ……きたきた、きましたよ”
”見ただけで分かる。
匠の技でとろりと仕上がったオムライス……
それに、たっぷりの肉汁を湛えたハンバーグ”
”単品でも主役を張れるメニュー。
その二大スターの持ち味を活かし、共演させるのは
熟成して薫り高い、このデミグラスソースだ”
”う~ん、ひょっとしなくても。
この店、かなり「デキる」んじゃないの……?”
「おおっ、旨そうだなぁ、あのハンバーグオムライス!」
「またのぉ、あの役者の食いっぷりが良いんだよのぉ。。
チキショーめ、すぐにでも食いに行きたいってのに……
どうしてワシらは、正月早々シゴトなんて入れちまったんだ?」
「まぁまぁ、ボヤくなボヤくな。
年始の特別手当が入ったら、それを元手にすぐにでも……なっ!」
クリスタル状円盤で、地球への侵入を果たしていた二大宇宙人……
戦上手な「無敵の」ガッツ星人と、自称「宇宙の帝王」・バド星人。
彼らは千歳市郊外の上空に円盤を静止させ、本来の「仕事」の前に
まずはコーヒーブレイクがてら、人気TVドラマの正月一挙再放送に
二人揃って釘付けになっていたのであった。
バド星人「いやー、ゴローちゃんの食いっぷり……
いつ見返しても、格別であることよのぉ!」
ガッツ星人「適度に緩いから、何話まとめて見返しても疲れない。
正月休みの「ながら視聴」にはもってこいさね!」
ガッツ星人「ああ……だが、それはそれ、これはこれ。
一息入れたところで、ぼちぼち仕事にかかろうじゃないか」
バド星人「ああ、そうだな、ガッツの。
お前さんと「宇宙の帝王」・このバド星人とががっちりタッグを組めば
いかな宙マンとて、もはや敵ではないわい!」
ガッツ星人「ああ、その通り、その通り!
では改めて、宙マンを倒す暗殺計画の検討を――」
「はっはっはっはっ……
果たして、そう上手くいくかな!?」
千歳郊外の荒れ地に、凛として響く精悍な声。
次の瞬間、まばゆい閃光とともに巨大な雄姿を見せたのは……
おお、まさにこの男以外の誰がいるだろう!?
宙マン「そうとも、もちろん私だ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、クリスタル状円盤の前へと舞い降りる!
宙マン「 私の暗殺計画か、面白いじゃないか……
だが、所詮は取らぬ狸の皮算用と知るがいい!」
ズ、ズーンっ!!
ガッツ星人「(狼狽)げげぇっ、ちゅ、宙マン!?」
バド星人「ど、どうしてお前がここに……」
宙マン「仕事に余裕をもつこと、大いに結構――
だが、少しばかり悠長さが過ぎたようだな。
そんな風に浮かんでいれば、目撃者だって出ようってものさ!」
バド星人「あががが、しまった! ついドラマの方に夢中になって……(汗)」
ガッツ星人「お、おのれ、これでもくらえっ!」
大慌てで、破壊光線を発射するクリスタル状円盤。
だが、その一閃は、宙マン・プロテクションで軽く無力化されてしまう。
完全に不意を突かれ、円盤内はどったんばったん大騒ぎ!
こうなってはもう、ひたすら狼狽えるしかない二大宇宙人である。
バド星人「あわわわ、ど、どうにかならんのか!?(汗)」
ガッツ星人「ど、ど、どうにもならんっ!(汗)」
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、クリスタル状円盤を直撃!!
バド星人「こ、このやられ方は恥ずかしい~っ!?」
ガッツ星人「ちゅ、宙マンめ、覚えてろ~っ!!」
やったぞ宙マン、大勝利!
イフ「うがぁぁぁっ……
バド星人もガッツ星人も、二人揃って間抜けどもめがっ!
……それにしても、にっくき宙マンの奴。
覚えておれよ、この仕返しは今年こそ、必ずしてやるからな……!」
……などと言う、新年早々・いつもの負け惜しみはさて置いて。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした!」
ビーコン「円盤がコトを起こす前で、マジよかったっスねぇ!」
ピグモン「はうはう~、これでほっと一安心なの~♪」
かくして、我らが宙マンの活躍により……
怪獣軍団の野望は、新年一発目から見事にその出鼻を挫かれた。
宙マン「……と、大きな騒動になる前に片付いたところで!」
宙マン「ここからは改めて、ゆっくりと正月を満喫したいねぇ」
ビーコン「だらだら、ごろごろ、テレビ見たり飲んだり食ったり……
ヒヒヒ、これだから正月はたまんないっスよ!」
落合さん「(ジト目)ビーコンさんは普段から「そんな感じ」じゃありません?」
ビーコン「ヒヒヒ、気にしない、気にしない!
さーて、さっさと家に帰って、落合さんの特製お雑煮を……」
宙マン「おお、そりゃあいい!
一勝負終えたあとだから、まずは体の芯まであったまりたいねぇ」
落合さん「承知しましたわ、お殿様!
では、ただちに我が家へ戻りまして、お雑煮の支度を……」
「待って待って、ちょ~っと待って、なの!」
落合さん「……あら? どうかしましたの、ピグモンちゃん」
ビーコン「ピグモン、急に雑煮嫌いになっちまったっスか?」
ピグモン「んとんと、そうじゃなくってね。……
……みんな、いちばん大事なこと忘れてるんじゃないかと思うの~」
落合さん「(きょとんとして)……大事なこと?」
ビーコン「はて、なんだったっスかねぇ?」
ピグモン「ヒント、1月1日は一年のはじまり……」
ビーコン「(思い当って)……あ、な~るッ!」
宙マン「ああ、そうかそうか、そういう……!」
落合さん「少々お待ち下さいましね、すぐに支度を致しますから!」
宙マンファミリー、慌てて年始挨拶のセッティング。
大慌てでの着替えその他も終わりましたところで、改めて――
宙マン「やぁ、皆さん! あけましておめでとうございます!
謹んでここに、新年のお慶びを申し上げます(ぺこり)」
落合さん「皆様に少しでも喜び、楽しんで頂けますよう……
私どもも誠心誠意、一生懸命に取り組ませて頂きますわね」
ビーコン「ヒヒヒ、だからこそ、セクハラ描写も昨年比の三割増しで……♪」
げ し っ !
落合さん「(鬼の形相で)ねーい、阻止です、断 固 阻 止 っ!!」
ビーコン「どひ~っ、痛烈なお年玉、頂きましたっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ、こんな感じで「相変わらず」ですが……」
ピグモン「みんな、今年もどうぞよろしくね! なの~♪」
毎度おなじみ、千歳の宙マンファミリーは……
2023年も、もちろん元気一杯。
皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します!