ある日の、のどかな昼下がり……
ここは北海道の空の玄関、千歳市・ほんわか町5丁目。
時間も時間と言うことで、毎度お馴染み「宙マンハウス」からは
食欲をそそる良い匂いが、ぷぅんと流れていた。
落合さん「さぁ皆様、そろそろお昼ごはんに致しましょう!」
ビーコン「ひゃっは~、メシっス飯っス~!」
ピグモン「ビーコンちゃん、ちゃんと手を洗わなきゃダメなの~」
落合さん「(苦笑)はいはい、どちら様も慌てない、慌てない。
……本日は、煮込みうどんにしてみましたわ」
宙マン「はっはっはっ、これこれ。
実はさっきから、この匂いが堪らなかったんだよ!」
具はニラと椎茸だけでごくシンプルに……
そしてアクセントとして、ごく控えめに七味をパラリ。
落合さん「野菜本来の旨味を、より純粋に楽しむため……
今回は動物性のダシも抑え気味にしてみましたの」
宙マン「なるほど、そのぶん味わいもすっきりしているわけか。
うん、これは悪くないよ、流石は落合さんだね!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃん、この味だいすきなの~♪」
落合さん「ふふ、ありがとうございます♪」
嫌味のないシンプルな旨味と、うどんの心地よい喉越し。
宙マンファミリー、ゴキゲンなランチタイムであった……が。
「アブルルルル……
だが、ソレも永遠にお預けだ~!」
ピグモン「……はわっ!?」
落合さん「ちょ、ビーコンさんったら……
お食事の最中に、変な声出さないで頂けます?」
ビーコン「……お、オイラじゃないっスよ!?(汗)」
宙マン「ううむっ、どうも様子がおかしいぞ!?」
どこからともなく、虚空から響き渡ってきた不気味な声。
すわ何事と、家の外に出てきた宙マンたちの目の前で……
光の粒子が集結し、実体化した巨大な異形とは!?
「アブルゥゥ~ッ!!」
ピグモン「ああっ、光の粒が怪獣になったの!」
落合さん「それにしても、見覚えあるお顔のような……?」
ビーコン「(コクコク頷きながら)そのはずっスよ、落合さん。
アイツぁUFO怪獣・アブドラールス……」
ビーコン「前にもこーやって、千歳を襲ってきたヤツっス~!」
アブドラールス「アブルル、ご名答~!」
落合さん「……えぇと。
それに関しましては、当シリーズの第五話をご参照下さいましね♪」
koumemylove4794.hatenablog.com
アブドラールス「と、言うわけでですな。
今日もハデに暴れさせてもらうんで、よろしくゥ♪」
落合さん「いえ、私どもはちっともよろしくしたくなどは……!」
ビーコン「(首を振って)……言うだけ無駄っスよ、落合さん」
宙マン「……うぬっ!」
スライ「んー、ふふふ、頼みましたよアブドラールス君!
私が先日ご馳走した、アナゴ上天丼のおしんこ付き……
その分、しっかり働いてもらいませんとねぇ!」
イフ「期待しておるぞ、アブドラールス!
徹底的に破壊して、地球をワシら怪獣軍団のものとするのだ!」
アブドラールス「アブルル~、やりますともさ、見てて下さい魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始するアブドラールス!
迫り来るその巨体を前にして、右往左往し、逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、旨いうどんを食った後だってのに……」
落合さん「この流れは少々、消化に悪ぅございますわねぇ!(汗)」
ピグモン「きゃあぁんっ、怖いの~!(涙目)」
早くも意気あがる、UFO怪獣の地球攻撃!
だが、その暴挙に対して……
決して地球人も見て見ぬふりなどはしないのである。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊の戦闘機っスよ!」
落合さん「出前迅速、早さは流石ですわねぇ!」
ピグモン「はうはう~、とにかくがんばってなの、おじさんたち~!」
「よし、目標を確認――全機、攻撃開始っ!」
戦闘機からのロケット砲攻撃!
アブドラールスの周囲に、激しい爆発が巻き起こる。
アブドラールス「アブルルッ、邪魔をするなァ!」
「ど、どひゃあぁぁ~っ!?」
アブドラールスの両目から、勢いよく放たれる破壊光線!
戦闘機編隊は、勇戦空しく次から次へと撃墜されていく。
爆発! 炎上!
アブドラールスの大暴れで、平和な街は大混乱に陥った。
ビーコン「どひ~っ、大変なことになっちまったっス~!」
落合さん「いけませんわ、このままでは千歳の街が……」
ピグモン「はわわ……ピグちゃんたち、もうおしまいなの~?」
宙マン「いいや、まだだよ……千歳には、この私がいる!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、猛り狂うガルバンの前へ舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
怪獣軍団の手先め、これ以上は好き勝手にさせないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「ああ、やっぱ頼りになるのはアニキっスよねぇ!」
落合さん「えぇ、安心の度合いが段違いですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
アブドラールス「アブルルッ……また出おったな、宙マン!」
宙マン「あぁ、この世の正義が呼ぶ限りは、何度でもな!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
バトルのテンションは、一気にヒートアップ!
アブドラールス「さぁ宙マン、潔く死んでもらうぞォ!」
宙マン「なんの、そうはいくか!」
真っ向激突、宙マン対アブドラールス!
落合さんたちが見守る中、凄絶な巨大戦が火花を散らす!
お互いに相手の隙を伺い、急所めがけて打撃を叩きこまんとする
ヒーローと怪獣の、激しいパンチの応酬。
ビシッ! バシッ!
近づいては離れ、また近づいて行き……
お互いの繰り出すパンチの打撃音が、白昼の街に響き渡る。
アブドラールス「むうっ、相変わらず小癪な奴め!」
宙マン「あぁ、だからどんどん行かせてもらうッ!」
アブドラールスの足元で回転し……
逆立ちとともに、両足で敵の脳天に見舞うカンガルーキック!
アブドラールス「ぐ、ハァッ……!」
意表を突かれ、見事に直撃を受けてしまったUFO怪獣。
眩暈とともに、その巨体がふらふらと後退した。
宙マン「どうだ、この上……まだやるかね!?」
アブドラールス「あ、アブルルル……当たり前だっ!
宙マン、このアブドラールス様をなめるなよ~!?」
アブドラールスの両目が、異様な輝きを放ち……
次の瞬間、宙マンめがけて放たれる破壊光線!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
たちまち巻き起こる大爆発、叩きつける爆風!
その衝撃に吹っ飛ばされ、地面へ叩きつけられる宙マン。
落合さん「……お、お殿様っ!?」
ビーコン「くぅぅっ、相変わらずあの武器は厄介っスねぇ!」
ピグモン「はわわ……宙マン、まけないでなの~!」
宙マン「(苦悶)うう……うぅっ!」
アブドラールス「アブルルル……さぁ、今度こそ最期だぜ!」
「いいや、まだまだ……負けて、なるものかッ!」
宙マン、パワー全開!
猛然と突進してきたアブドラールスを、ひらりとジャンプでかわして
大空高く舞い上がる。
アブドラールス「(狼狽)あ、アブルルルっ!?」
宙マン「行くぞ、アブドラールス!」
宙マン「ダァァーッ! 宙マン・回転フルキック!」
高速回転の勢いを加え、両足で蹴り込む正義のキック!
鋭い足先を食らって、怪獣がブッ倒れたところへ――
宙マン「それっ、とどめだ!
宙マン・ストロングノヴァ!!」
上下に開いた掌の間にエネルギーを集中・凝縮させ……
そこに生じた虹色の光弾を、敵めがけて叩きつける大技。
「ストロングノヴァ」の一閃が、アブドラールスを直撃!!
アブドラールス「あ、アブルルッ、こんなのアリかよ~っ!?」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「さっすがアニキ、スカッと気持ちいい勝ちっぷりっス!」
落合さん「またまたお見事でしたわ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「おのれェェ……またしてもやってくれおったな、宙マンめ!
だが見ておれよ、最後に笑うのは怪獣軍団なのだ……
アブドラールス以上の強豪が、すぐにお前を倒しに行くぞ!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍で、UFO怪獣アブドラールスは
その野望もろとも撃退され、平和は守られたのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」
宙マン「いやぁ、お待たせ、お待たせ。
怪獣もやっつけたことだし、これでのんびり過ごせるよ――
さしあたっては昼寝、ってところかねぇ?」
ビーコン「いやいや~、それじゃあまりにも芸がないっスよ。
もっと柔軟に、絶えずフレキシブルな発想でもって、ね!」
落合さん「(ジト目)風俗がどうとか、そう言うのはNGですわよ?」
ビーコン「チチチ、大丈夫、そんなんじゃないっスよ。
基本はね、アニキの昼寝路線を踏襲する方向で」
落合さん「あら……意外にもまともなご提案ですこと」
ビーコン「で、オイラは「寝る」の意味を超拡大解釈でいこうかと!
ベッドの上でオイラの胸に抱かれながら、落合さんには
身も心もトロけるような悦楽と、安らぎのひとときが……♪」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、このエロ怪獣っ!
たまにはそういう路線から離れなさいっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、うどんみたいに伸ばされちまったっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
ひとつの危機は去った……
だが、怪獣軍団の野望は未だ尽きない。
さぁ、次回はどんな冒険が待っているのかな?