宙マン「どうやら、この前に据えたお灸では足りなかったようだな。
三つ首竜、徹底的に懲らしめてやるぞ!」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、ナメんな宙マン!
この俺を、二ヶ月前の……
いや、一億年と二ヶ月前の俺だと思うなよ!?」
宙マンに一度敗れ、リベンジを誓って再出撃した三つ首竜。
超空間ワープのうっかりミスで時間を超え、1億年前の地球に到達し……
今、1億年の長き眠りから醒め、第三地層の奥深くから姿を現した。
奇妙な紆余曲折を経て、ようやく実現したリベンジ・マッチ。
宙マン勝つか? 三つ首竜勝つか?
世紀の大決戦は、どちらにその軍配が上がるであろうか!?
もはや待ったなし、戦い以外の選択の余地もなし。
巨大な全身に闘志を漲らせ、今まさに対峙する両雄!
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、行くぞ宙マン!」
宙マン「ウォォォォッ!」
雄叫びをあげ、双方から駆け寄る宙マンと三つ首竜。
ふたつの巨体が、真っ向から激突!!
ビーコン「アニキ~、頼んだっスよ~!」
落合さん「お殿様、この落合がついておりますわ!」
ピグモン「宙マン、がんばってなの~!」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、くらえ!」
落合さんたちが見守る中、早くも最高潮に達する巨大バトル。
両者のパワーと技が渡り合い、攻防戦が火花を散らす。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、どうだコンニャロッ、これでもか!」
宙マン「なんの、それしき!」
右の頭部からの頭突きを、クロスガードで防御する宙マン。
そのままバッと離れて、間合いを取り――
宙マン「くらえ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃で、三つ首竜もたちまちノックアウト。
……かと、思いきや!?
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、全然効かねぇっつ~の!」
おお、何と言うことだろう!?
エクシードフラッシュの直撃にも、全くびくともしない三つ首竜。
宙マン「(驚き)……なッ……!?」
一億年の長い眠りが、この三つ首竜の身体組成にも劇的な体質変化を及ぼし
必殺光線の直撃にも耐えうる、より頑健な体へと生まれ変わらせたのだ!
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、今度はこっちがお返しだ!」
三つ首竜・右の頭部……
その口から吐き出されるのは、世にも怖ろしい毒ガスだ。
ガスの吸引を避けようとして宙マンが怯み、動きが鈍ったところへ――
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、お次は三つ首・つぶて攻めだ!」
更に左頭部の口から、機関銃のように吐き出される無数の岩塊!
全身に直撃を受け、大きくよろめく宙マンの巨体。
三つ首竜「そしてそして、最後のダメ押しはッ!」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ああっ、ちゅ、宙マンさんが!」
ビーコン「ヤバいっスよ、三つ首竜のやつ……
な~んかもう、めちゃくちゃパワーアップしてるっス!」
落合さん「なんてズル……チートですわ、チートっ!」
ピグモン「はわわ、宙マン、負けないでなの~!」
全身にダメージを受け、なかなか立ち上がれない宙マン……
その彼へと、足音を響かせながらゆっくりと迫る三つ首竜。
サンドロス「をほほ、頑張ってるドロスわね~、三つ首竜ちゃん♪」
イフ「ようし、いいぞ三つ首竜!
そのまま一気に、怨み重なる宙マンにとどめを刺してしまえ!」
絶体絶命――宙マン、大ピンチ!
……ああ、だが何としたことだろう?
怪獣魔王の命令通りに、宙マンにとどめを刺すかと思いきや……
その宙マンを素通りして、三つ首竜は明後日の方向に歩いていくではないか。
イフ「だーっ! こら、三つ首竜、何をやっとるか!?」
三つ首竜「なにって、魔王様……メシですよ、メ・シ!
な~んか、一億年ぶりに目ぇ覚めたらすっかり腹ペコで……」
イフ「……こ、この、この大馬鹿者めが~っ!(呆)」
部下のマイペースぶりに、さすがの怪獣魔王も思わずズッコケた。
三つ首竜「だって、一億年間ずっと飲まず食わずだったんですよ?」
三つ首竜「腹が減っては戦は出来ぬ、って言うじゃないですか――
食後にキッチリ仕事はしますから、まぁ見てて下さいよっ♪」
イフ「全く、頭が三つだけに口の減らない……もういい、好きにせいっ!」
三つ首竜「さっすが怪獣魔王様、そうこなくっちゃ♪」
石油基地のパイプラインを叩き壊し……
漏れ出た原油を、尻尾の吸引口で旨そうに吸う三つ首竜。
原油こそ三つ首竜のエネルギー源であり、何よりのご馳走なのだ。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ……
ふい~、五臓六腑に染み渡る旨さだぜィ!
満腹になったとこで……んじゃ、そろそろおっ始めますか!」
三つ首竜へと向かって、防衛隊の第二次攻撃が開始される。
だが、全身にエネルギーを充填し、今まさに生威力沸騰中である
この古代怪獣からすれば、所詮は無駄な悪あがきでしかない。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、その証拠にですなぁ……
まぁ見てやって下さいよ読者諸君、俺様の圧倒的なこの強さ!」
空からは戦闘機隊、地上からは歩兵部隊が猛攻をかける!
が、体質変化で強化された三つ首竜には傷ひとつつけられない。
三つ首竜「見たろ? 見てたろ? 魅力だろ!?
……凄いもんだろ、ヘヘンのヘン!」
「くっ、怪獣め――すっかり調子に乗ってやがる!」
三つ首竜「ギニャ~ッ、それもまた本当に強い奴の特権さ!」
「……ど、どわぁぁぁぁ~っ!?」
げに恐るべきは、三つ首竜の火炎噴射!
戦闘機隊は勇戦空しく、一機、また一機と撃墜されていく。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ビーコン「う~ん、毎度のこととは言え……」
落合さん「……やはりこうなると、落胆を禁じえませんわねぇ(汗)」
などと、人々が残念がったりボヤいたりしている間にも……
三つ首竜の破壊活動は、今まさにクライマックスへ!
平和な千歳市を蹂躙する、大怪獣の圧倒的パワー!
巻きおこる爆炎の中を、うなりをあげて突き進む巨体。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、一気に千歳を焼き尽くしてやるぜ!」
「待てっ、そうはさせないぞ!」
三つ首竜「(驚き)ギニャッ!?」
凛として、高らかに響き渡る声!
不意のその声に、三つ首竜が驚き、立ち止まったところへ――
宙マン「エイヤァァーッ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
おお、見よ!
勢いよく上空から舞い降りて、ミラクルキックをお見舞いする宙マン!
その直撃に、さしもの三つ首竜も吹っ飛び、ブッ倒れる。
三つ首竜「ギニャニャッ、宙マン、どうしてお前が!?」
宙マン「腹が減っては戦が出来ぬ……お前と同じさ、三つ首竜」
宙マン「我が家の今日の昼ご飯……
落合さんの思いやりがこもったかけそばと焼き鳥が、私に力をくれた。
しっかり美味しく頂いて、おかげで元気モリモリさ!」
落合さん「あぁんっ、お殿様……感激です……♪(うっとり)」
宙マン「本当なら食後に、緑茶と和菓子で一服したかったところだが……
この非常時だ、さすがに贅沢は言えないよね。はっはっはっはっ!」
三つ首竜「ギニゃ~っ、この野郎……どこまでも俺をナメてやがるな!?」
宙マン「お互いに満腹して、エネルギー充填においては互角。
……いや、この胸と胃袋にみんなの真心が燃えている分、私が上だ!」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、ほざくな宙マン!」
宙マン「来い、三つ首竜!」
かくてここに宙マンVS三つ首竜、第二ラウンドのゴングが鳴り響く!
パワー全開、凄まじい肉弾戦が繰り広げられる。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、くらえ!」
三つ首ファイヤーを無力化する宙マンの防御技!
空間を湾曲させて形成する宙マン・プロテクションだ。
三つ首竜「ギニャァァァ~っ、この野郎めが~っ!」
怒り狂って、猛然と突進してくる三つ首竜。
迎え撃つ宙マンは、ついに……
銀河伝説の武器・スーパー剣を抜き放った!
「唸れ、一閃!
スーパー剣、スーパークラッシュ!!」
伝説のスーパー剣で、必殺の剣技を炸裂させる宙マン。
体質強化された三つ首竜をも、みごと袈裟がけに切り裂くこの威力!
三つ首竜「ぎ、ギニャァァッ、また負けちゃった~!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、宙マンさんが勝ったですぅ!」
ながもん「これで、千歳も……ひと安心」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「うぐぐぐっ……おのれ、またしても宙マンめが!
だが、この次こそは……
必ずお前を、ギッタギタのボロ雑巾にしてくれるわ!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、三つ首竜のリベンジも退けられ
北海道には再び、おだやかな平和が蘇ったのであった。
ビーコン「いや~、アニキ、お疲れ様っした!」
落合さん「お見事でしたわ、お殿様」
宙マン「いやぁ、正直……一時はどうなることかと思ったけどね~。
落合さんの愛情料理のおかげだよ、本当にありがとう!」
落合さん「まぁっ……お殿様ったら(ポッ)」
ビーコン「ヒヒヒ、ほんとほんとッ。
無駄に豊満な落合さんバディは、愛情でぱっつんぱっつんっスよねぇ!
そしてオイラは、そんなナイスバディに愛情あ~んど劣情を……」
げ し っ !
落合さん「ねーい! このエロ怪獣、言うに事欠いてっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、オイラ的には褒めたつもりだったっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
平和を愛し、正義に燃えて……
怪獣どもと戦う千歳市民、宙マン。
次回もまたまた、大活躍しちゃうよ~!