「さぁ行くぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
千歳の平和を乱す怪獣め、それ以上やるなら容赦しないぞ!」
山を砕き、大地を裂いて、次々に現れる大怪獣。
その猛威に立ち向かい、平和を守り抜くことが出来るのは……
プラネット星からやって来た、彼をおいて他にはいない。
ズ、ズーンっ!!
幸か不幸か、戦う相手に不自由はなし。
我らが宙マン、果たして今日の相手や、いかに!?
「ギニャァァァ~ッ、この俺様が地獄への案内人だぁ!」
宙マンに対して闘志を燃やし、吠えるのは……
三つの頭部を持つ異形のスタイルで、ひときわ存在感をアピールする
怪獣軍団からの新たなる刺客。
「ギニャァァァ~ッ、人呼んで”三つ首竜”!
行くぜ宙マン、コテンパンに叩きのめしてやる!」
宙マン「どこからでも来い、相手になってやる!」
ファイティングポーズで敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のビッグファイトの幕開けだ!
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、だったら勝負だ!」
宙マン「とことんやってやる、そして……やっつけてやる!」
真っ向激突、宙マンVS三つ首竜!
落合さんたちがハラハラと見守る中、攻防戦が火花を散らす。
怪獣三頭ぶん、いや、それ以上のパワーと自ら豪語するだけはある
その凄まじい怪力と鋭い牙で迫る三つ首竜!
だが勿論、地域の英雄は果敢に挑んで一歩も退かない。
力と力、技と技。
その凄絶な応酬の果てに、戦いの幕を下ろしたのは――
宙マン「くらえ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、三つ首竜を直撃!!
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、こりゃタマラ~ンっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「やったぁ、アニキの勝ちっスよ!」
落合さん「あぁ、お殿様はやっぱりこうでなくてはいけませんわよね!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~」
かくして宙マンの活躍により、今日も千歳の平和は守られた。
だが、その一方、暗黒星雲にある怪獣軍団の本拠地では……。
その宙マンとの戦いに敗れ、ほうほうの体で戻ってきたばかりの
三つ首竜が、怒りに全身を震わせ毒づいていたのであった。
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ……
ち、ち、チクショ~ッ!」
三つ首竜「このままやられっ放しで終わったんじゃ、悔しくて夜も眠れねぇ!
魔王様、どうかこの俺に再戦の機会をお与え下さい――
出来れば、今すぐにでも!」
イフ「おおっ、よくぞ申した、三つ首竜よ!」
イフ「 敗戦の痛みをものともせず、すぐにリベンジを挑む……
お前こそ怪獣軍団の誇り、全怪獣の鑑だ!」
三つ首竜「では、魔王様……」
イフ「ああ、認めるとも、誰が止め立てするものか。
その気迫で、今度こそ宙マンをギッタギタにして参れ――
さぁ行けィ、三つ首竜!」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、有難き幸せ!
今に見てろよ宙マンめ、俺の怒りのスゴさを思い知らせてやるぜ!」
一度は宙マンに敗れて逃げ帰った三つ首竜であったが……
今また、その宙マンに復讐すべく暗黒星雲を飛び立っていった。
……と、それがかれこれ2ヶ月前のこと。
赤い光球と化して、確かに地球へ向かったはずの三つ首竜だが……
その後どういうわけか、三つ首竜からは何の音沙汰もなかったのであった。
イフ「えぇい……
三つ首竜め、アイツはいったい何をやっとるか~っ!?」
「ひ、ひぇぇぇ、魔王様おさえて、落ち着いて下さいヨ~!」
ゾネンゲ博士「捜索隊を編成して、方々を探しているのですが……
三つ首竜の行方は、今のところサッパリ……(汗)」
イフ「ぐぬぬ、ますますもってけしからん奴!」
イフ「あのたわけ者めが、皆にこれほど心配をかけさせおって……
戻ってきたら、おやつ抜きどころの罰では済まさんぞ!?」
と、ここで再び場面は変わって。
暗黒星雲でそんな事が起こっていたとは露知らぬ……
北海道千歳市・ほんわか町5丁目、毎度おなじみ「宙マンハウス」。
落合さん「はいは~い、お待たせ致しました、お殿様!
今日のお昼ご飯は、こんな感じに整えさせて頂きましたわ」
宙マン「おおっ、かけそばいいねぇ、今日のも美味しそうだ!」
ビーコン「うひょひょ、しかも焼き鳥乗っけの美唄風っスね!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんのダイコーブツなの~♪」
落合さん「焼き鳥の脂と肉汁が溶けだして、ツユの味わいをより深める。
美唄流のかけそばは、これがあるから堪りませんのよねぇ」
宙マン「ああ、全くだよ。
これ一杯を頂くだけで、もりもり元気が湧いてくるよねぇ」
ビーコン「ヒヒヒ、そしてそしてっス!」
ビーコン「クイタイ、ヤリタイ、ネムリタイ……
三大欲求の申し子たるオイラにゃ、食欲減退なんてどこ吹く風っスよ~。
モリモリ食って、そのエネルギーを愛の平和利用っス~」
落合さん「(ジト目)……三杯目にはぐっと出す居候がッ。
ビーコンさんは、むしろ少し御自重なさって下さいませ!」
ビーコン「ヒデェっス! そこまで言うっスか、落合さん!?
そんなこと言うと、落合さんに向かって性欲を全面開放……」
げ し っ !」
落合さん「ねーい、しなさんなっ!(怒)」
宙マン「はっはっはっはっ……まぁまぁ、二人とも」
落合さん「あ! 私としたことがはしたない……(赤面)。
ささ、お蕎麦が伸びないうちに、みんなで頂きましょう♪」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ……
落合さんの容赦ない一撃で、オイラはとっくにノビてるっスよぉぉ~」
落合さん「ねーい、いいから黙ってらっしゃいな!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもうおなかペコペコなの~。
いっただっきま~す、なの~☆」
宙マンファミリーの賑やかなランチタイム、かと思われたその時!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!
激しい震動、その煽りを受けて裂ける道路、崩壊するビル。
平和な昼下がりの千歳を襲った、突然の局地的大地震!
落合さん「こ、これは……まさか、また!?」
ビーコン「どひ~っ、めっちゃイヤな予感がしてきたっス~」
みくるん「ふぇぇん……宙マンさん、宙マンさ~んっ!」
ながもん「めっちゃ、大変……大事件、発生」
宙マン「大事件って……何かあったのかね!?」
ながもん「みくるんと一緒に……、山で、木の実を採ってたら……」
みくるん「山の向こうから、なんか大きくてヘンなものが見えたんですぅ~(涙)」
ビーコン「大きくて、ヘンなもの……っスか」
落合さん「もしや、今のこの地震と関係があるのでは!?」
宙マン「その可能性は高いね、とにかくまずは現場に――」
「ギニャァァァ~ッ……
おおっと、わざわざの御足労にゃ及ばないぜぇ!?」
落合さん「ちょっ、何ですのビーコンさん、急に変な声出して!」
ビーコン「お、オイラじゃないっスよ!」
みくるん「じゃあ、今の声は……一体!?」
……と言う、一同の疑問に答えるかのように!
再び起こった大地震とともに、音を立てて大地が裂けていく。
その中から……勢いよく、地上に躍り出てきた怪物体!
みくるん「ふぇぇん、あれです宙マンさん、あれなんですぅ~(涙目)」
ビーコン「どひ~っ、やっぱり今回もまた怪獣の仕業だったっスか!」
落合さん「ですが、あの姿かたち、以前にもどこかで見覚えが……」
宙マン「ううむっ……これは、一体!?」
噴火のごとき猛烈な勢いで、大きく舞い上がって空中に飛び散る土砂。
濛々たる土煙を伴って、地底から立ち上がった巨体は!?
「ギニャァァァ~ッ!!」
おお、見よ! 驚愕せよ!
出現したのは、二ヶ月ものあいだ行方不明になっていた三つ首竜。
今、極めて唐突に……再び人類の前に、その恐るべき姿を現した!
ピグモン「あっ! あの怪獣さん、前にも見たことあるの!」
ビーコン「間違いないっス、二ヶ月前に出てきた三つ首竜っス!」
落合さん「一度、お殿様がコテンパンに叩きのめしましたのに……
ホントにもう、なんて懲りない方なんでしょうね!」
三つ首竜の再出現に、戦々恐々の宙マンファミリー+2。
だが、その驚きは彼らだけにとどまらず、暗黒星雲でも……。
「た、大変です魔王様っ!」
「三つ首竜の奴が、千歳市の地底から姿を現しましたぜ!」
イフ「何と、三つ首竜が!?……
こら、貴様っ、今まで一体どこで油を売っておったのだ!?」
三つ首竜「ハァ、話せば長~いコトになるんですが……」
イフ「要約せい、なるべく手短にな!」
三つ首竜「あの時、地球へ向かったまではよかったんですけど……
調子に乗って、超空間ワープのスピードを上げすぎちゃいまして。
地球は地球でも、一億年前の地球に着いちゃったんですよね~」
三つ首竜「暗黒星雲へ帰る前に、ちょっと軽く昼寝でもしておこうと思ったら
……いつの間にか、仮眠が本眠になっちゃってまして」
三つ首竜「ついうっかり、一億年もガチ眠りしちゃいました~。
……その間に、何か体質変化までしちゃうっておまけつきで!」
三つ首竜「や~、お恥ずかしったらありゃしません。てへぺろっ☆」
イフ「こ、この……この、大バカ者めが~っ!!」
イフ「まったく、ほんとにまったく、お前と言う奴は……
ワシらの気持ちも知らずに、なにを呑気に寝こけておった!」
イフ「このバカ者めが……
ワシに、ワシらに、今までさんざん心配かけさせおって!
クーッ! ク、ク、ククククぅっ……(涙)」
サンドロス「あらあら、あ~たったら……。
を~、よしよし、良い子良い子ドロス~♪(なでなで)」
ゾネンゲ博士「これ三つ首竜!
魔王様は、本気でお前の身を案じておったのだぞ。
他の怪獣たちにも、さんざん心配をかけた罰だ……
今からでもしっかり暴れて、その分の埋め合わせをせんかい!」
三つ首竜「ヘイヘイホ~、お任せ下さいな!」
猛然、進撃開始の三つ首竜!
迫り来るその巨体に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、なんつーハタ迷惑な爬虫類っスか!(汗)」
落合さん「全くもう、怪獣軍団の方々はコレだから……!」
ピグモン「はわわ、ボヤいてる場合じゃないの~!(汗)」
だがしかし、そんな三つ首竜を阻むべく!
陸上自衛隊駐屯地からは、二両編成の70式メーサー殺獣光線車が
三つ首竜撃退のために出動した――
パラボラ式の砲塔が鎌首をもたげ、怪獣へと狙いを定める。
「一号車、二号車、光線照射準備完了!」
「撃てッ!」
迸る稲妻状のメーサー光線!
だが、その洗礼を受けても三つ首竜は全くびくともしない。
「ば、バカなっ……直撃だぞ!?」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、シャラ臭いぜっ!」
三つ首竜・中央の口から吐き出される“三つ首ファイヤー”!
灼熱の閃きが、メーサー車を一撃のもとに吹き飛ばし……
それだけにとどまらず、街全体を紅蓮の炎に包みこんでいく。
燃えあがる街、逃げ惑う人々……
それらを傲然と見下ろしながら、勝ち誇ったように笑う三つ首竜!
三つ首竜「ギニャァァァ~、どんなもんだ~!」
ビーコン「ひぇぇ、このままじゃ街が焼け野原っス!」
ながもん「それは、困る……いろいろと」
みくるん「ふぇぇん、宙マンさん、何とかして下さいですぅ~(涙目)」
宙マン「おのれ、今度こそ許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
さぁ、今日もまた正義の味方のお出ましだ!
宙マン「どうやら、前に据えたお灸では足りなかったようだな。
三つ首竜、徹底的に懲らしめてやるぞ!」
三つ首竜「ギニャァァァ~ッ、ナメんな宙マン!
この俺を、二ヶ月前の……
いや、一億年と二ヶ月前の俺だと思うなよ!?」
ビーコン「アニキ~、頼んだっスよ~!」
落合さん「お殿様、この落合がついておりますわ!」
ピグモン「宙マン、がんばってなの~!」
恐怖の大怪獣・三つ首竜……
一億年の長き眠りより今、目覚める。
果たして、宙マンとの戦いの決着は!?