遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

『ウルトラマンブレーザー』10話、見ました!

これまで設定こそ公表され、第2話でのゲント隊長のロッカー内の写真というかたちで

その存在こそ示唆されてはいたものの、なかなか本編にその姿を見せないものですから

一部の口さがないファンの間では「ゲントの幻覚・妄想説」とかのあらぬ噂(笑)も

まことしやかに語られていたヒルマ家のお母さんと息子さんの存在。

 

今回ようやく、その実在が証明されてほっと一安心です(笑)。

と、そんなヒルマ家のとある休日の光景と重ね合わせる形で、出土した卵から孵化した

生まれたばかりの赤ちゃん怪獣・ベビーデマーガと、それを守るために姿を現した

巨大な親デマーガとの絆をも描いていこうと言う意図は、今回のサブタイトルからも

むしろ露骨すぎるくらいに(笑)明快なのですが……

 

それだけに相互のテーマをシンクロさせすぎて、ドラマの展開が変に湿っぽくなったり

ラストが悲劇的なものになってしまったら、朝からメンタルと胃腸に悪いなぁ……と

実は密かに危惧したりもしてたんですが、その辺は絶妙のバランス感覚と言いますか

流すべきところはさらりと流して描く取捨選択の巧みさのおかげで、今朝も安心して

「怪獣事件も絡んだヒルマ家の休日の一ページ」を堪能させてもらえました。

 

や、過去に円谷は『ファイヤーマン』第29話で思い切りやらかしてますんでね、

出現した罪なき怪獣の子どもが人間世界の無理解のために射殺され、その仕打ちに

怒り狂った母怪獣も、ヒーローとの格闘戦の果てに無残な死を遂げる……と言う

悲しい余韻と言うよりは半ばヤケクソのごときヘビー&鬱展開を(苦笑)。

ウルトラ怪獣シリーズ 202 ベビーデマーガ

ウルトラ怪獣シリーズ 202 ベビーデマーガ

 

そんなベビーデマーガも、必要以上に人間臭すぎたり媚びた芝居になり過ぎず

一定の節度を持って「怪獣と言う一個の生物のかたち」のひとつの在り方として

抑制の効いた演出とともに描写がなされていたのは、リアリティ重視な方向性の

ブレーザー』らしさの顕れと言う感じで、非常に嬉しくなりましたし……

そんな幼体の「自然な演技の中から醸し出される愛らしさ」があってくれるからこそ

同族(恐らくは自身の子なのでしょう)を守るために巨大な姿を見せたデマーガの

時に荒々しいぐらいの勢いで進撃する一途でひたむきな姿と怪獣らしいパワフルさも

実に分かりやすく、魅力的なものとして映ろうと言うもので。

BANDAI ウルトラ怪獣シリーズ 74 デマーガ

BANDAI ウルトラ怪獣シリーズ 74 デマーガ

そう、そもそもの『ウルトラマンX』第1話での鮮烈なるデビュー時にしてからが

このデマーガと言うのは非常にプリミティブな魅力にあふれた怪獣像で……

そんなパワフル・ファイターとしての印象を崩すことなく、今エピソードで示された

「動物としての親子の情」と言う新要素が加わり、豊かなドラマを織りなす様は

ある意味、ニュージェネレーション・ウルトラを創り、支えてきた現スタッフ陣から

本当に「愛されている怪獣」だからなのだな、としみじみ実感させてもらえます。

フィギュアライズスタンダード ウルトラマンブレーザー 色分け済みプラモデル

フィギュアライズスタンダード ウルトラマンブレーザー 色分け済みプラモデル

 

で、その一方で、体内に一体化したブレーザーとの「融合」が更に進む形で

九かできた期中のゲント隊長が、前回に続いての不可解な挙動を垣間見せたり

デマーガに対する処遇を巡って、ゲントとブレーザーの意識が激しく衝突して

ブレーザーもまた不可解な挙動に走ってしまったり(ここはスーツアクターたる

岩田氏のパントマイムが光る!)と、従来の『ウルトラ』では有り得なかった

”言葉が通じない、未知の相手とのコミュニケーションに四苦八苦させられる様”を

よりにもよって(笑)ヒーロー側の描写として、こうまで具体的に見せてしまうのが

すっごく新鮮で、正直毎回目が離せません。

 

……そもそもアレですよ、ゲントの腕にブレーザーブレスが出現するタイミングが

完全にブレーザー側からの主導で、ゲントの意志や現在の彼がおかれた状況などを

いささかも考慮せず、忖度もしないと言うのが面白すぎなんですよね。

 

鉄腕バーディー』かっ!! って(笑)。

S.H.フィギュアーツ ウルトラマンブレーザー 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

S.H.フィギュアーツ ウルトラマンブレーザー 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

 

あとはアレですね、デマーガめがけて発射された防衛隊のミサイル第三次攻撃の雨を

「雄叫び」が生む衝撃波によって無効化してしまうブレーザー

 

2017年放映の『ウルトラマンジード』では最終回のみ使用となったヒーローのレア技

”レッキングロア(ヒーローの方向が衝撃波となって敵にダメージを与える”を思い出し

異色の出自の持ち主たるジード同様、ヒーローと言うより一箇の異質な「存在」で

ブレーザーだからこそ、この描写も許されるようになったんだろうなぁ……などと

こんなところでもシリーズの積み重ねてきた歴史の重さとスタッフ陣の意識の深化を

しみじみ実感でき、うんうんと頷いてしまえる……と言うのも、長く『ウルトラ』に

付き合い続けて来た人間に許された、ささやかな贅沢なのかもしれません(笑)。

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

 

そんな中で描かれるヒルマ家サイドのキャラクター描写、妻や息子に対して寄せる

ゲント隊長のあたたかな思いや、対する家族サイドの思いのこまやかさの描写も

デフォルメし過ぎず、終始抑えめながらも嫌味がなくて心地よく……

 

そんな家族にゲント隊長が「特殊部隊に所属していることを秘密にしている」と言う

今回初公開の要素ともども、これからのストーリー展開の中にきちんと織り込まれて

今話限りの「死に設定」にならないよう切に願いたいですね、一ファンとしましては。