毎回毎回、様々な能力や個性を持った新怪獣たちが登場するということのメリットは
ビジュアル面での新鮮さに加えて、そいつらが何をしでかすかが「読めない」ことで
最後までワクワク、ハラハラ、ドキドキで物語を楽しめると言うこと。
そんな「新怪獣ぞくぞく登場」の一角を成す存在として、今回また新たに登場したのが
蛇のように細長い体と、前衛彫刻のような紋様を併せ持つ汚染獣・イルーゴ。
有毒ガスを吐き出して周囲の環境を汚染していくために、迂闊な攻撃による刺激で
ガス汚染の範囲を確認するわけにもいかず、SKaRDも待機を命じられると言う
暴力的に暴れ回る怪獣とは別の意味での厄介な相手……
また、そのSKaRD出動停止を命じたヒルマ参謀長の態度が明らかに胡散臭くって(笑)
その辺はもう、かねてよりの懸案こと「V99」にまつわる防衛隊上層部の慌てぶりが
あからさますぎるほどなんですが、そうした「上」からの理不尽な押し付けに対して
表向きは了解してみせつつ、「どうせ何かあったら現場に回ってくるだから」と
お構いなしで調査の続行を隊員たちに指示してみせるゲント隊長の切れ者っぷりが
上層部と現場との間で絶えず板挟みになり続けねばならないポジションならではの
したたかな「大人」としての在り方を垣間見せてくれてよかったですねぇ。
そう、こういうのを大仰にデフォルメし過ぎた演技や演出に頼る事なしに、ドラマ内で
さりげなく、さらっと自然にやってくれるのが良いんですよ、この番組は。
バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン
で、そんな「大人」なやりとりと言えば、もうひとつ……
特殊部隊の隊長であると言う重責ゆえに、その任務を家族にも口外することができず
それが結果として、ヒルマ家に微妙な空気の冷たさをももたらしてしまうと言う
もうひとつの「在って然るべき」ドラマ展開を忘れるわけにはいきません。
最終的にはTV報道の映像で、現場で奮闘しているゲント隊長の姿をジュン君が見出し
「戦う父の背中」の頼もしさが家族にもしっかりと伝わったことで、家族内の波紋は
自然と穏やかな方向へと着地していくことで落ち着いたのですが……
それにしたって今回、趙監督のヒルマ家演出があまりに「生」な感じなものですから
別の意味でヒヤヒヤしたのもまた事実でしたねぇ、ゲント隊長の帰りが毎日遅いのを
「外にオンナがいるのかも」とか、サトコさんが勘繰ったらどうしようとか(笑)。
街中に蔓延したイルーゴ・ガスのために、街を行く人々がマスクをして歩くと言う
「2020年・コロナ禍以降のリアル」な風景で視聴者にも生々しい身近さを感じさせつつ
そんな中で決行されるイルーゴ撃退作戦……
アールガロンを巨大な空気清浄機に見立ててイルーゴ・ガスの浄化を図ってみたり
スピーカーによる直接の呼びかけによって、より明確かつ積極的な意思によっての
ブレーザーとの共同戦線を張ってみたり、果てはアースガンでイルーゴのうち一頭の
撃破に成功してみたり……今回のアースガロンは今までにも増しての好ファイトぶりで
ストレートにカタルシスを与えてくれる大活躍。
ウルトラマンガイア ポピニカ CV07 シーガルファントップ
そして防衛隊サイドの戦力描写として、オリジナル・カラーのF15戦闘機とともに
「レーザー光線車」として、1998年放映の『ウルトラマンガイア』で活躍した
シーガル・ファントップのミニチュアを久々に拝めたのも嬉しかったなぁ!
よぉ、久しぶり、元気してた? と町中でばったり再会した旧友のようで(笑)。
そんな本筋の一方で、「V99」の謎を追って単独行動し、かつての父の同僚で
三年前の事故以来、久しく行方不明になっていた西崎勉の行方をエミ隊員が
その執念によって遂につきとめ、そんな二人のコンタクトを把握しつつも
現時点では未だにその本心を明らかにしてくれないドバシ・ユウの存在が
物語に一抹の不穏な影を落としつつ……
そんな空気に呼応したかのように、倒されたとばかり思ったイルーゴたちが
今度は群れを成して、続々と大都会の真ん中に聳え立つと言うこの戦慄!
今回で垣間見えたゲバルガとイルーゴとの関連性、またそれとともに控える
ヒーローのパワーアップ劇も含めて、これはもうハラハラ、ドキドキのうちに
来週も見るしかない『ブレーザー』なのです。