遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

『ウルトラマンブレーザー』第8話、見ました!

怪獣たちの生態研究を通じて、その純粋さに心から惹かれ……

と同時に、人類とその文明の傲慢に厳しい眼差しを向け、真摯に憂いていた

怪獣学の権威・横峯教授

そんな教授の妄執……と言うよりは、どこまでもひたむきで真摯な現状への危機感と

そこから導き出された確固たる信念とが再び現代に目覚めさせてしまった太古の荒神

天弓怪獣ニジカガチがもたらす凄まじい暴風雨……

全国各地で同時多発的に発生した「それ」が一か所に寄り集まり、ひとつになることで

もはや想像もつかない威力となり、人類への審判を下そうとしている!

ウルトラ怪獣アドバンス ニジカガチ&アースガロン Mod.2ユニット

ウルトラ怪獣アドバンス ニジカガチ&アースガロン Mod.2ユニット

 

前回において、ほとんど微動だにせぬままアースガロンを、ブレーザーさえをも

ことごとく退けてしまった強豪ぶりのニジカガチだっただけに、それらの描写を受け

今回示された絶対の危機的状況もまた、「台詞だけなら何とでも言える」では済まない

切実な切迫感と説得力に満ちていて、最後までシリアスな緊張感を保ち続けてくれた

演出の締まり具合ともども、人知の及ばぬ強大な力の象徴としての存在感たっぷり。

 

……で、基本的にどっしりと構えて微動だにしない重厚さがウリの怪獣であるだけに

ひとたびスイッチが切り替わって(比喩的表現・笑)「静」から「動」へと転じて

自らアクティブに敵へ襲い掛かって来る姿のパワフルなこと、怖いこと!

巨大なちからと敵意の「塊」が自分たちの方へ向かってくるのって、それだけでもう

とんでもなく怖ろしいことなんだ、と改めて再確認できた気がします。

 

ただアレだなぁ、尻尾から飛び出す「剣」の描写については、もっとしつこく

ハッタリの効いた演出でアピールしてくれてもよかった気がするなぁ、とも。

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

 

そんなニジカガチの暴威を止めるべく、テストなしのぶっつけ本番と言うかたちで

いきなり実践運用されることとなったアースガロンの新たな力、砲撃戦特化型の

Mod.2(モッド・ツー)ユニット」。

テスト運用前と言うことで、虎の子たるレールキャノンの威力が大きすぎるゆえに

なかなかニジカガチへの照準が定まらないと言う描写で視聴者を手に汗握らせつつ

多目的レーザーの威力で、それまで微動だにせず悠然と構えていたニジカガチを怯ませ

攻勢へと転じさせて戦いの「流れ」を劇的に変えてみたり、最後にヤスノブが発射した

レールキャノンの一撃が、見事にニジカガチの額のクリスタル破壊に成功するなど

新モードのアピールとしては実に申し分なく、しかも「リアル」の側に軸足を置いた

ブレーザー』らしい見せ方でキメてくれました。

フィギュアライズスタンダード ウルトラマンブレーザー 色分け済みプラモデル

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そんな巨大戦の一方で、この事態を引き起こした「首謀者」たる横峯教授

説得と身柄確保に向かったテルアキ副隊長こそ、この後編におけるもう一方の肝で

かつての師弟同士でもあったと言うゲント隊長と京樹との間柄や、そこに紐帯する

様々な人間的「情」をさりげなく汲んで、教授のもとには自らが向かうことを

申し出る姿や、その役目を自らが王に足るだけの確かな知識と勉強量、

ゲントの意を的確に汲み、信頼へ的確に応える「副官」としての在り方……

 

それらがしっかり土台となっているからこそ、ラストでのご実家トマト畑における

ゲントとの肩の力が抜けた、フランクで人間臭い(その上で大人としての距離感を

お互いにしっかり保った)やりとりも、事態終息直後、放心する横峯教授に対して

思わず著書へのサインをおねだりしてしまう(笑)距離感のバグりっぷりもまた

全体の調和を乱すことなく、ドラマと物語展開における絶妙なアクセントとして

ピリリとイイ感じに「効いて」くれるんですよねぇ。

 

そうそう、そんな作戦前のブリーフィング&ディスカッション描写の中において

ゲント隊長が(あくまで最終手段であると前置きしたとは言え)事件の首謀者である

横峯教授を「倒す」ことをも選択肢に入れ、それをさらりと言葉にする描写からも

一隊員とは異なる「隊長」としての立場の重さ、「それ」をも選択肢にできると言う

最前線のプロとしての在り方が感じられ、気楽な一視聴者としての僕でさえも

思わず身の引き締まる思いがしましたね~。

S.H.フィギュアーツ ウルトラマンブレーザー 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

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そしてアースガロンの逆転の一撃により、ニジカガチの額からあふれ出た虹の光を

文字通り「掴む」ことによって新たに生成した新必殺技、レインボー光輪!

SKaRDの面々が言うように、この技名がダサいなどとは決して思わない僕ですが

虹色の光が巨大な光輪となって飛んでいく描写のダイナミックさ、一閃でニジカガチを

実に気持ちよく(語弊あるかな? 笑)真っ二つにしてしまう描写の迷いのなさは

さながら『ジャンボーグA』の”必殺・風車”のようで、第二次怪獣ブーム時代の

「首ちょんぱ描写」を楽しんできた身にはしっかりジャストミート(笑)。

 

……なお、その力の源となるブレーザーストーンの新既生成時において、本作では

それまでずっと封印してきた、所謂「インナースペース」描写が復活しましたが

それもまた過剰で奇抜な音声を避けたり、あくまでゲント隊長視点と言うことで

彼の両腕以外を映さないようにするなど、本作のこれまでの在り方を守った上で

きちんと描写の節度を保ってくれているので、これはまだ許容の範疇かな、と。

[バンダイ] ウルトラマンブレーザー DXブレーザーストーン03 レインボー光輪セット

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そしてラストは、一時身柄を拘束されるも、怪獣事件との因果関係を立証できず

釈放(!)となった横峯教授が、穏やかな表情で釣りをしている姿で終了――

怪獣大暴れ・ヒーロー&防衛隊大活躍の娯楽編要素と、テーマ性あるドラマとの

見事な両立っぷり、余韻嫋々たる確かな視聴の「手ごたえ」。

 

これこれ、これこそ『ウルトラ』ですよ。くぅぅ~っ(笑)!