遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

『ウルトラマンブレーザー』第6話、見ました!

山を砕き、ビルを蹴散らし、地鳴りとともにやって来る……

怪獣、怪獣、新怪獣。

バザンガ、ゲードス、タガヌラー、レヴィーラ、ドルゴ……と、ここまでの五回に渡り

切れ目なく新怪獣を登場させ、その魅力と存在感をアピールし続けて来た本作における

過去キャラクター登場の一番手となったのがカナン星人。

 

初登場となった『ウルトラセブン』ではほぼチョイ役的な存在だった彼らのチョイスは

正直意外でもあり、それだけにいろいろ「弄る」余地があるだろうなとも思い……

それだけに「ニュージェネ以降」のウルトラマン演出の方法論が、かつてのイメージを

変な形で矮小化してしまったり、脚本・演出の「遊び」の口実に利用されたりなど

そういうのはなんかヤだなー、と思っていたのもまた事実でしたので、オンエアまでは

期待半分、不安半分だったと言うのも正直なところでして(汗)。

ウルトラ怪獣シリーズ 200 カナン星人

ウルトラ怪獣シリーズ 200 カナン星人

 

で、今回でまさかの「復活」となったカナン星人。

休暇中のヤスノブ隊員がいたコインランドリーへ、衣服の洗濯のために現れると言う

何だか東映コメディ路線とか『快獣ブースカ』チックな神秘性の欠片もない登場や

ダジャレを好むと言う(あまり良くない意味での)人間臭い卑近な描写が続いて

「あ゛ー、ここにきていつものニュージェネ的キャラ弄りになっちゃうかぁ……」と

正直ちょっと頭を抱えかけたのですが、それが後半パート、彼らのアジト内における

カナン星人本来の冷徹・冷酷なスタイルを見せ、強調されるAパートとのギャップで

先の道化ぶりと言うかフランクさもまた、侵略者の上から目線による余裕の産物であり

本性を隠す「擬態」でしかなかった、と思い知らされた際のクールな怖ろしさ!

 

この辺はニュージェネ路線の蓄積を踏まえ、過去作へのリスペクトをも大事にした上で

ブレーザー』ならではの新たな切り口を絶えず模索し、常に掲示もしてくれている

現在のウルトラ撮影スタッフらしい姿勢の一貫ぶりで、本格SFドラマをも志向している

本作の基本姿勢を大きく崩すこともなく好感の持てる要素でした。

超動αウルトラマン6 10個入りBOX (食玩)

超動αウルトラマン6 10個入りBOX (食玩)

 

ただ、ちょっとだけ腐すような換装になってしまいますけど……

過去話数の時点ですでに暗躍を開始していたカナン星人が、アースガロンの

戦いぶりを観察するシーンにおいて「地球人の双眼鏡を使用していた」くだりは

少々……いえ、かなりズッコケてしまったのも事実で。

 

君ら、地球人とは異なる進化を遂げた生命体で、そもそも「目」の形状からし

人間のそれとは大きく異なっているわけなんだから、その大前提を踏まえた上での

演出面でのセンス・オブ・ワンダーとか何とか……

 

もっと、こう……あるだろう!?」と(苦笑)。

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

 

で、そんなカナン星人が自らの侵略兵器として使用するのが、よりにもよって

オーロラ光線の照射で昏い自我を引き出され、暴走したアースガロン」。

 

来たる次回のニジカガチ前後編に備えて予算・特撮パートカロリーの双方を

節約・温存しておこうと言うペース配分に配慮したがゆえの展開なのは明確ですし

実際、今回は特撮セットの「飾り付け」も比較的簡素に抑えられていましたが、

そんな流れの中でアースガロンとブレーザーが戦い、戦術機甲獣の威力と実効性を

皮肉な形で証明してみせることとなる展開は、主力商品として好評発売中である

DXアースガロンの販促と言う点においても、またかつカプセル怪獣・ウインダムの

電子頭脳を狂わせ、操ってウルトラセブンと戦わせた経歴の持ち主でもある

カナン星人登場回ならではのファンサービスとしても心憎く、淀みありません。

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー

でもって今回、作戦が失敗して逃げるカナン星人の宇宙船を撃墜する際に見せた

ブレーザーの体の「捻り」が、完全に想定外でまたまたびっくりですよ――

DCコミックスのプラスチックマンか(爆笑)!!

 

……そうそう、今回カナン星人に操られた「赤目のアースガロン」。

これ、これからリリースされる予定の「S.H.フィギュアーツ」版アースガロンには

オプションパーツとして。しっかりこの赤目ヘッドがついてくるんだそうですね。

 

くーッ、この商売上手め(爆笑)!!

S.H.フィギュアーツ ウルトラマンブレーザー 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

S.H.フィギュアーツ ウルトラマンブレーザー 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

 

そして、忘れてはならないのが、今回スポットを当てられることとなった

ヤスノブ隊員のキャラクター性を軸として展開され、より掘り下げられていく

SKaRD隊員たちの相互コミュニケーションと「絆」の描写。

機械好きで人が好いがゆえにオーバーワーク気味になりがちなヤスノブに対して

何とか肚を割った話に持ち込もうとして果たせないゲント隊長の四苦八苦ぶりや

その「上手くいかなさ」について逐一ツッコミを入れるテルアキ副隊長の姿が

なんかこう「ミョーに「難しい」お年頃の息子を抱えた家族の縮図」のようで

そこがまた何とも可笑しかったり……

 

と言いますか、SKaRD自体が一種の疑似家族でもありますもんねぇ(しみじみ)。

[バンダイ] ウルトラマンブレーザー DXブレーザーストーン03 レインボー光輪セット

[バンダイ] ウルトラマンブレーザー DXブレーザーストーン03 レインボー光輪セット

 

そんな田口監督までもがカメオ出演する(笑)コミカルさの翼を得ることによって

店舗を損なわずに活写される登場人物の個性が本当に良いですし、それをまた今回は

「自我を持ったあらゆる機械が反乱を起こす」と言う、うっかり匙加減を間違えたなら

ウルトラシリーズではなく、往年の「東映不思議コメディ」路線になりかねないお題を

「そうはならないように踏みとどまる」節度と適切なバランス感覚で仕上げたあたりも

現行の『ブレーザー』スタッフ陣の大人の良識がしっかり感じ取れましたね。

 

ああ、そして蛇足中の蛇足ではありますが、やはり触れずにはおれません――

ヤスノブ君、マッチョにも程があるでしょう(爆笑)!!