遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

『ウルトラマンブレーザー』22話、見ました!

いわゆる全編を通じての連続性という「縦糸」にのみ注視しておられる向きには

年末間近、更には放映期間も終盤になって何を悠長な……などと思われる方も

もしかしたらいらっしゃるのかもしれませんが。

とは言え、1話完結・毎回読み切り形式のSF怪獣アンソロジーとして放映された

ウルトラQ』を出発点とするウルトラシリーズの歴史を鑑みてみれば、むしろこの

バラエティ豊かな作品作りを、この最終盤においてもしっかり積み重ねてくれることが

何よりシリーズ本来のかたちであり、健全なシリーズ構成のスタイルと言うことで

特に違和感や嫌悪感を感じることもなく、個人的にはむしろ好感さえ抱いた今回。

 

あぁ、思うに、これはアレだ――

全編を通じて登場し、ここ数年のニュージェネ・ウルトラでは半ば慣例化していた

「通しの悪役レギュラー(今は”ヴィラン”って言うんでしたっけ?)」が出しゃばって

あれこれと拗らせた真似をしてストーリーを引っ掻き回さない(笑)その分だけ

毎回のゲスト怪獣に製作カロリーを純粋に注ぎこむことが出来、一編の物語として

すっきり見やすくなってくれていると言う利点は間違いなくあるんでしょうね。

ウルトラマン ニュージェネレーション英雄伝 (講談社 Mook(テレビマガジン))

ウルトラマン ニュージェネレーション英雄伝 (講談社 Mook(テレビマガジン))

 

と、そんな前置きのもと、今回は……

SKaRDが日々怪獣たちと戦い、V99の得体の知れない謎に挑んでいるその足元にも

人々のささやかで、かけがえのない生活があり、哀感がある……と言う、いわば

「怪獣のいる世界で暮らす」一般市民の視点が、ひとりの冴えない保険営業員と

一人暮らしのお婆さんとのささやかな交流を軸として描かれ、その日常の一コマに

レッドキング・ギガスの二大怪獣出現と、迎え撃つアースガロン・ブレーザー

華を添えつつ絡んでいく、と言う展開に。

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー ファードランアーマーセット

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー ファードランアーマーセット

 

「ささやかな日常の中での、ささやかな小市民同士の心の交流』と言う主軸からし

最後はちょっとハートうぃーむな「いい話」でオチがついてくれなきゃ困りますし

(事実そうなってくれました!)、そう言った本筋に深く関わらないエピソードだけに

SKaRDやブレーザー、怪獣周りの描写は一歩引いた感じになりましたが、その中でも

怪獣出現がほぼ日常化している世界ならではのビジネス「日本怪獣損害保険」の存在や

ハルノ参謀長の謹慎処分に伴って、今までになかった書類上での雑務が格段に増えた

SKaRD隊員たちのぼやきなど、「怪獣のいる世界で生きる人々」の様々な営みの形を

ドラマ上でのちょっとした展開や会話のエッセンスなどで、説明過剰に陥る事なしに

さりげなく、自然に伝えてくれる本作の美点は健在で嬉しくなります。

 

……いや、それにしても、あの「日本怪獣損害保険」のCM映像において出て来た

あの名もない劇中劇怪獣スーツ、無駄に出来よくて参っちゃうな(笑)!

……と思ってたら、あの怪獣は本作のメイン監督・田口清隆氏プロデュースによる

「全国自主怪獣映画選手権」での上映作品に登場した”ガンキリュウ”と言うんですって。

[バンダイ] ウルトラ怪獣シリーズ 192 レッドキング(二代目)

[バンダイ] ウルトラ怪獣シリーズ 192 レッドキング(二代目)

 

でもって、怪獣と言えば……

初代『ウルトラマン』においてデビューした怪獣たちが、ひょっこり部室に顔を出して

後輩たちに差し入れ込みでの喝入れ(笑)と言った感のあるレッドキング(二代目)と

ギガスの再登場。

 

冒頭、日本アルプス山中におけるレッドキングとギガスとの格闘シーンにおいて

ウルトラファイト』新撮影分エピソードでも馴染み深い軽快なエレキギター曲が

選曲されていることからも察せられるとおり、むしろシリアスになり過ぎることなく

今回のハートウォーミングな人間ドラマを食い過ぎたり、塗りつぶしたりする事のない

カラッとした陽性のキャラクターこそ彼らの身上であり、そういう意味におきましては

彼らの「分」をもよく心得た、正しい怪獣再登場のスタイルとも言えましょう。

[バンダイ] ウルトラ怪獣シリーズ 191 ギガス

[バンダイ] ウルトラ怪獣シリーズ 191 ギガス

 

従ってそんな極悪(笑)怪獣タッグと、ブレーザー・アースガロン組との交戦もまた

陰湿だったり重たすぎることのない、肩の力を抜いて気楽に楽しめる仕上がりを見せ

だからこそファードラン・アーマーの力をカポーテのように使い、二大怪獣の突進を

闘牛士のごとくいなして翻弄するブレーザーの華麗な立ち回りや、アースガロンと

共同で同時に放つ合体光線技で二頭を同時に下すシーンのストレートなカタルシスなど

ドラマパートの心地よい余韻(さえない保険営業マンが人柄の良さゆえに報われ、

それを鼻で笑って小ばかにしていた同僚がしっぺ返しを受ける!)とも相まっての

所謂「怪獣プロレス」としての楽しさが一杯で嬉しくなっちゃいます。

 

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

 

ですが、そんな楽しい時間の後には……

遂にやって来てしまう、『ブレーザー』の物語の最終章!

 

ああ、こんなに毎回が楽しみで仕方ないのに、もうすぐ終わりだなんて!

ここはカタいこと仰らず、全ての謎解きとかはうっちゃって、新怪獣だけ倒して

そのまま「ブレーザーseason2製作決定!」のアナウンスでも良いんですよ(笑)!?