遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

甘い蜜の恐怖、みたいな? の巻

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北海道における「空の玄関」……

国際空港を擁することで知られる、北海道千歳市

本シリーズの舞台ともなっている、豊かな自然に恵まれた美しい街。

そんな千歳市の一角、ほんわか町5丁目……

毎度おなじみの「宙マンハウス」から、今回もまた物語を始めよう。

落合さん「まぁ……“幻のジュース”ですって?」

 

 

みくるん「はいっ、そうなんです~」

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ながもん「何故か、千歳の……郊外の、自販機でだけ……

 密かに、こっそり……出回ってた……ジュース」

みくるん「甘さも酸味も絶妙で、そのくせ全然しつこくもなくって……」

ながもん「偶然、飲んだ……人たちの……口コミで、密かな……大評判」

みくるん「私たちも、たまたま偶然そのジュースの自販機を見つけて……

 それで、試しに飲んでみたら、ほんとに美味しかったんですぅ」

宙マン「ふぅむっ、私は水出しコーヒー党なんで視界から外れていたが……

 それほど評判だと言うのなら、是非一度飲んでみたいもんだねぇ」

みくるん「ですよね、私たちもそうしたいのはやまやまなんですけどぉ。

 でも、ついこの前、用事のついでに買いに行ってみたら……」

ながもん「ジュースの、自販機……影も、形も……なかった」

ピグモン「……ええっ、消えちゃったの!?」

ながもん「……(コクリと頷き)」

ビーコン「なぁるほど……それで“幻のジュース”ってワケっスか」

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落合さん「それにしましても、夏場から冬先にかけてのこんな短期間で……

 試験販売だけならともかく、自販機ごと引き払ってしまうだなんて」

宙マン「何というか、せっかちと言うか……いや、むしろ殺生な話だよねぇ。

 ああ、私も一度飲んでみたかったなぁ、その“幻のジュース”!」

落合さん「(苦笑)……ですわねぇ~」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんも激しく同意なの~♪」

 

素性不明の“幻のジュース”と、忽然と姿を消した郊外の自動販売機。

ここまで聞いて、「もしや?」と感じた賢明なる読者諸氏も多かろう――

そう、諸賢のご推察通り!

結論から先に言うなれば、消えた“幻のジュース”と、その自販機の裏側で

密かに手を引いていたのは、他でもない怪獣軍団なのであった。

これを飲んだ人間たちの理性を奪い、凶暴化せしめるように特殊な調合がされた

恐怖の液体を、ジュースと称して売りさばいていたのはメトロン星人

 

千歳市郊外の地下に秘密工場を設け、夏場より千歳に潜伏して密かに進めていた

彼の実験とデータ採集であったのだが……。

メトロン星人「……誠にもって申し訳ありません、魔王様。

 地球人凶暴化の実験は、残念ながら完全なる失敗でございます!」

イフ「うぬぬっ……どういう事だ、説明してみよ!」

メトロン星人「今夏の猛暑が影響し、薬品配合のバランスが狂ったと見え……

 地球人を凶暴化させるはずだった液体は、結果的に爽やかで美味しいだけの

 単なる清涼飲料水と化してしまったのでございます」

イフ「ううむっ……何と!」

イフ「望み通りの実験結果が得られなかったのは、残念ではあるが……

 だがしかし、ジュースの売上好調と高収益はよしとせねばな。

 ご苦労であったメトロン星人、直ちに暗黒星雲へ戻り――」

メトロン星人「(決意をこめ)……いいえ、魔王様……

 そう言うわけには、いかんのですっ!

イフ「……な、何とっ!?」

メトロン星人「このままおめおめと、暗黒星雲へは帰れませんッ。

 せめて別の形で、その埋め合わせをしなければ――

 こうなれば我が手で千歳を制圧し、地球侵略の拠点を築くことで!」

イフ「お、おい待て! 何もそう早まるでな(い)――」

怪獣魔王の静止も聞かず……

その場で一気に巨大化して、メトロン星人は天を衝く大巨人となる。

イフ「全く、メトロン星人のやつめ……

 真面目で、研究熱心で、実に得難い貴重な人材なのだが……」

「ただ、ちょっと思い込みが激しくて……」

「怪獣(ひと)の話を聞かないってのが……ねぇ?」

イフ「……(苦々しげに頷く)」

 

千歳のド真ん中に、忽然とその姿を見せた巨大メトロン星人

騒ぎを聞いて家から飛び出してきた宙マンたちも、これには驚かされた。

みくるん「ああっ、怪獣……ううん、宇宙人ですぅ!」

ながもん「(頷き)幻覚宇宙人……メトロン、星人」

ピグモン「何でもいいけど、とにかくおっかないの~!(涙目)」

メトロン星人「はっはっはっはっ……いかにも、私はメトロン星人

 ……と言うわけで、これからひと暴れさせてもらうんで、よろしくね!」

ビーコン「どひ~っ、えらくザックリした説明っスねぇ!?(汗)」

落合さん「それ以前に、何の説明にもなってない気が致しますわ!(汗)」

宙マン「……確かなのは、とにかくあいつを野放しに出来ないってことだよ!」

ピグモン「はわわわ、千歳の大ピンチなの~」

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イフ「ようし、分かった……

 こうなったら、思う存分に力を奮うがよい、メトロン星人

 ワシも肚をくくって、お前の暴れっぷりを見届けてやるわ!」

メトロン星人「ハハァーっ! 有難うございます、魔王様!」

怪獣魔王の檄を受けて奮い立ち、進撃開始するメトロン星人

迫り来るその巨体を前に、悲鳴をあげて逃げまどう千歳の人々。

だが、そんなメトロンの傍若無人に歯止めをかけるべく……

防衛隊の戦闘機が、千歳基地から次々にスクランブルをかけた。

「な、何て奴だ……レーザー光線がまるで通用しないぞ!?」

メトロン星人「フンッ……

 ちょこまかと、小うるさい蚊トンボどもめが!」

「う、うわぁぁぁーっ!?」

星人の指先から迸る破壊光線の直撃を受け、一機、また一機……

防衛隊の戦闘機は、勇戦空しく撃墜されていく。

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みくるん「ああっ、また……やられちゃったぁ!」

ながもん「シーッ、みくるん……「また」は……禁句」

ビーコン「そうっスよ、パイロットさんたちだって頑張ってるんスから……

 ……って言うか、いよいよシャレんなんなくなってきたっスねぇ~!?(汗)」

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爆発! 炎上!

人々の悲鳴が幾重にも交錯する中、勝ち誇りつつ進撃する星人。

千歳が、北海道が……いや、我らの地球が大ピンチである!

ながもん「ここは、一発……ヒーローの、出番」

ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「(頷き)ようし、やってやるとも!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、メトロン星人の眼前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

 平和を乱す宇宙の侵略者、この私が決して許しはしないぞ!」

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ズ、ズーンっ!!

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ビーコン「いえっふ~、今日もまた頼んだっスよ、アニキ!」

落合さん「いつ見ても、本当に頼もしいお姿ですわね……♪(うっとり)」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

メトロン星人「やはり出てきたか宙マン。容赦しないぞ!」

宙マン「なんの、それはこちらの言う台詞さ!」

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全身にみなぎる怒りを力に変え……

ファイティングポーズをとって、敢然と身構える我らが宙マン。

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ。

真っ向激突、宙マン対メトロン星人

落合さんたちが見守る中、ふたりの宇宙人が戦いの火花を散らす。

両手を槍のように突き出し、激しく攻めたててくるメトロン

その猛攻を見切りつつ、宙マンも果敢に挑んでいく。

メトロン星人「うぬっ、やっぱりやるな!」

宙マン「当然さ、伊達に戦いの場数は踏んでいないとも!」

まずは小手調べとばかりの格闘戦はほぼ互角。

そして、両者の間合いが離れたその瞬間を待っていたとばかりに……

組み合わされたメトロンの両手から、まばゆい破壊光線が放たれた!

宙マン「う、うおおっ!?」

メトロン星人「そうら、死ね死ね、消え失せろ宙マン!」

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グワーン! ズガガガガーンっ!

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「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

 

みくるん「ああっ、宙マンさんが!」

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ながもん「あの、メトロン星人……なかなか、やる」

ビーコン「だーっ、おかげでこっちはハラハラしっ放しっスよ!(汗)」

落合さん「(手に汗握って)……お殿様……」

ピグモン「(必死に)はわわわ、宙マン、負けないでなの~!」

宙マン「(苦悶)う……ううっ……!」

メトロン星人「ははは……

 ギャラリーの目の前で、お前に究極の赤っ恥をかかせてやろう。

 これで終わりだ、地獄へ落ちろ宙マン!」

大きく腕を振りかぶり、とどめの一撃を叩きつけんとするメトロン星人

だが、宙マンはよろめきつつも立ち上がり……

咄嗟の気力を振り絞って、起死回生の一撃を放ったのだ!

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宙マン「どりゃあーっ! 宙マン・ショット!

メトロン星人「(悶絶)ぐ、ぐぬぅぅっ……!」

不可視の衝撃波が、メトロン星人の胸板に炸裂!

さしもの幻覚宇宙人も、これをまともにくらっては戦闘態勢が崩れてしまう。

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ビーコン「いよっしゃ! 上手いっスよ、アニキ!」

みくるん「今がチャンスですぅ、宙マンさーんっ!」

宙マン「ああ!(笑顔で頷き)」

メトロン星人「やむを得ん……ここは、戦略的撤退だ!」

 

なんとか態勢を立て直して、ジャンプ一閃!

持ち前の飛行能力によって、ぐんぐん大空へ舞い上がっていく星人。

メトロン星人「はははは、また会おう宙マン! この仕返しは、いつか必ず……」

宙マン「させるか!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、上空のメトロン星人を直撃!!

メトロン星人「うハァァッ……今に見ていろ、リベンジだぁぁ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンが勝ったの~!」

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ながもん「さすが、宙マン……そう、こなくっちゃ」

みくるん「宙マンさん、ありがとうございましたぁ!」

イフ「ぐぬぬぬっ……おのれ、おのれおのれ、おのれぇぇっ!

 またしても宙マンめが、ワシらの邪魔をしおってからに!

 覚えておれ……覚えておれよ、この仕返しは次こそ必ずっ!」

 

……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。

かくして宙マンの活躍により、メトロン星人は倒され……

千歳市はまたも、悪魔の手による大破壊を免れたのであった。

 

落合さん「お殿様、本当にお疲れ様でした!」

ビーコン「ヒヒヒ、今日もかっこよかったっスよ、アニキ!」

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宙マン「はっはっはっじゃっ、なんの、なんの。

 ……いやぁ、しかしアレだね、一戦交えたら何だか喉が渇いちゃってねぇ」

みくるん「そんな時こそ、アレがあったらよかったんですけどね~。

 あの自販機さえ消えてなければ……

 宙マンさんにも飲んでもらって、ご感想お聞きしたかったんですけどぉ」

宙マン「ああ、あの“幻のジュース”だね。

 そうだねぇ、私も是非飲んで見たかったもんだねぇ……(しみじみ)」

夏から秋口にかけての一時期……

千歳市近郊で密かな噂になった“幻のジュース”。

 

それがメトロン星人の産物であったことを知る者は、誰もいない。

今も、そしてこれから先も、ずっとずっと……。

甘く、優しいその人当たり……

そして、スッキリ爽やかな千歳市民・宙マン。

さぁて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?