遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
今日も虎視眈々と、地球を狙い続けている恐怖の怪獣軍団。
今日もまた、新たなる悪の使者が地球を目指して飛び立った。
赤い光球と化して地上に激突し……
濛々たる煙と土砂の中から姿を現したのは！？
「ウキャウウウ～ッ！！」
「わはははは……ゼットン、ゼット～ン！」
名うての強豪怪獣が、今日は二匹揃ってのお出ましだ！
みくるん「ああっ、怪獣さんですぅ……しかも、二匹も！」
ながもん「おう、何という……出血、大サービス」
ピグモン「えう～、だからってちっとも嬉しくないの～（涙目）」
ゼットン「ピュポポポ、余計な前置きは抜きにして……
今日はもう、テキパキと淀みなく話を進めようじゃないか」
パンドン「さぁ宙マン、今すぐ俺たちと勝負しろ！」
宙マン「……断る、と言ったら？」
ゼットン「その時は我々が、千歳を焼け野原に変えるまでだ！」
パンドン「ウキャウウウ～、さぁ、どうするどうする！＿？」
宙マン「（頷き）いいだろう、その挑戦受けてやる！
宙マン・ファイト・ゴー！！」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、意気盛んな二大怪獣の前へ舞い降りる！
宙マン「トゥアーっ！ 宙マン、参上！
懲りずに悪さをするなら、私がしっかりお灸を据えてやる！」
ズ、ズーンっ！！
ながもん「おお。……いつもながら……頼もしい」
ビーコン「いよっしゃ、出たっス！ アニキの十八番！」
落合さん「頼みましたわ、お殿様！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
パンドン「きゃう～っ、カッコつけて大見得なんぞ切りよって……
どうやら勝てるつもりで来たみたいだな、宙マン！」
ゼットン「だが、残念ながらそうはいかん――
今の我々が、お前の知っている昔のままだと思ったら大間違いだぞ！」
宙マン「何っ！？」
ゼットン「怪獣軍団の頭脳・ゾネンゲ博士から授かった新たなる姿、
大いなる破壊の力そのものの顕現をな！」
「「フュージョン・アップ！！」」
宙マン「（眩しさに目がくらみ）！？」
おお、何という事であろう！？
宙マンらの眼前で、二大怪獣の体がオーバーラップのように重なりあい
眩い閃光の中、急速に互いの体を融合させていくではないか。
そして、光の中から現れた巨体……
最早それはゼットンでも、パンドンでもない、別種の悪しき進化を遂げた
恐るべき合体怪獣の姿であった。
「ピュポポポ……
ギシャシャァァ～ッ！！」
みくるん「ああっ、こんな……こんなことって！」
ながもん「ゼットンと、パンドンが……合体して、ひとつに……！」
ゾネンゲ博士「はははは……名付けてゼッパンドン！！
私の長年の研究、フュージョンブリード技術の輝かしい成果が生みだした
ゼットンとパンドン、二頭分以上のパワーを持つ合体怪獣なのだよ！」
イフ「むううっ、正直そのネーミングセンスはいかがなものかと思うが……
だが素晴らしい、実に見事な成果だぞ、ゾネンゲ博士！」
ビーコン「ひぇぇ～っ、二匹が一匹バロローム……っスか！？（汗）」
落合さん「それは正義のエージェントさんに失礼ですからっ！（汗）」
ピグモン「はわわ、二人とも、もっと緊張感もってなの～！（汗）」
強力怪獣二頭が融合（フュージョン）して顕現した、異形の合体怪獣！
ゼッパンドンの巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
ゼッパンドン「ピュポギシャァァ～っ、ここからは……
このゼッパンドン様が相手になってやる。
（ニヤリ）……どうだ、怖気づいたか宙マン！？」
宙マン「なんの……正義は不滅だ、だから私も負けないっ！」
勇壮たるファイティングポーズで、颯爽と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ！
真っ向激突、宙マン対ゼッパンドン！
落合さんたちが見守る中、合体怪獣と巨大超人がしのぎを削る。
両手の爪をきらめかせ、宙マンめがけて襲いかかってくるゼッパンドン！
単純な「１+１＝２」だけにとどまらない、怪獣二頭分以上のパワーで迫る
ゼッパンドンのかつてない猛威を前に、宙マンも苦戦気味だ。
ゼッパンドン「ピュポギシャ～っ！
どうしたどうした、腰が引けてるぞ！？」
宙マン「おのれ！」
山をも一撃で打ち砕く、宙マンのストレートパンチ！
が、その鉄拳をまともに受けてなお、平然たるゼッパンドン。
ゼッパンドン「ピュポギシャ～！ 宙マン、もはや怖るるに足らず！」
宙マン「むううっ、ならば！ 宙マン・エクシードフラッシュだ！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線。
エクシードフラッシュの一閃が、ゼッパンドンを直撃……
……したかと、思いきや！？
宙マン「（我が目を疑い）……何っ！？」
ゼッパンドン「ピュポギシャァ～っ、ゼッパンドン・シールドだ！」
宙マン「なんの、それしきのバリヤなど！」
ゼッパンドン「ピュポギシャァ～っ、破れると思うなよ！？」
あの光線技でも破れず！ この光線技でも破れず！
ゼッパンドン・シールドの防御力もまた、強豪同士の融合合体によって
宇宙恐竜ゼットン単体でのバリヤより格段に跳ねあがっているのだ。
みくるん「そんなっ……そんなこと！？」
ながもん「宙マンの、光線技が……ここまで、効かない……なんて」
ピグモン「はわわ、宙マン負けないでなの～！」
ゼッパンドン「ピュポギシャ、残念ながら宙マンは今日でお陀仏さ！
そぉれっ、ゼッパンドン・レーザーを受けてみろ！」
「パンドンの双頭」に当たる部分から、レーザーを同時発射！
宙マンの周囲に激しい爆発を巻き起こし、彼を大きくよろめかせる。
ゼッパンドン「まだまだ、お次はゼッパンドン・ファイヤーだ！」
「う、うわぁぁぁぁ……っ！！」
みくるん「ああっ……ちゅ、宙マンさんが！」
ながもん「合体すると、強くなる。……リクツは、単純だけど……」
ビーコン「実際の効果は、とんでもなく絶大だったっスねぇ！（汗）」
落合さん「って、そこで感心してどうするんですの！？（汗）」
ピグモン「えうぅ……宙マン、立って！ 頑張ってなの～！（涙目）」
イフ「ううむっ……素晴らしいぞ、見事だゼッパンドン！」
ゾネンゲ博士「そのまま一気に、奴へとどめを刺してしまえ！」
「お任せ下さい、ゾネンゲ博士！
ここは一発、一兆度を超えるゼッパンドン・ファイヤーで……」
「いいや、待て待て、なに勝手に決めてるんだよ！？
とどめはゼッパンドン・レーザー、これっきゃねぇって！」
「いいや、断固としてゼッパンドン・ファイヤーだ！」
「そうじゃねぇって、やっぱゼッパンドン・レーザーだって！」
「わからない奴だな、君も！？」
「そっちこそ、どうしてそう頑固頭なんだよ！？」
「何と言われようと、とどめはファイヤー！」
「うんにゃ、レーザー！」
「ファイヤー！！」
「レーザー！！」……
「……ぎ、ピュポギシャァ～ッ！？」
おお、刮目せよ！
「宙マンへのとどめ」を、どの技にするかで揉めるうち……
二大怪獣の精神統一に乱れが生じ、それはそのままゼッパンドンへの
合体を維持しきれない肉体構成のグラつきとなって顕れたのであった！
ゾネンゲ博士「だーっ！バカバカ、おバカッ、二匹とも何をやっとるか！
よりにもよって、そんな下らんことで揉めおって！」
「下らんことって……それはないでしょ、ゾネンゲ博士ぇ！？」
「そうですとも、我々にとっては極めて重要な問題――」
何はともあれ……
今のこの状況が千載一遇のチャンスであることに違いはない。
合体怪獣の隙を突き、すかさず立ち上がって大ジャンプする宙マン！
宙マン「エイヤぁぁぁーっ！
宙マン・ミラクル・キック！！」
出た、電光石火の必殺技！
ゼッパンドン「（苦悶）ぴゅ、ピュポギシャシャっ……」
宙マン「ようし、この一発で決めてやる！」
ゼッパンドンめがけて、真っ向から突っ込んでいく宙マン。
その全身が、体内から溢れ出すエネルギーによってみるみる赤く染まる！
「トゥリャァァーッ！
宙マン・エネルギッシュ・ボンバー！！」
出た！ 宙マンの肉弾戦法、エネルギッシュ・ボンバー！
真紅のエネルギーで全身を包んで、自らを巨大な光の弾丸と化し……
そのまま一気にゼッパンドンの懐へ飛びこみ、ボディを貫通してしまう。
宙マン「―どうだっ！」
ゼッパンドン「うギャうぅぅっ……あ、あと一歩だったのに～ッ！」
エネルギッシュ・ボンバーの威力に崩れ落ち、大爆発するゼッパンドン。
やったぞ宙マン、大勝利！
必殺の肉弾戦法で、ゼッパンドンを見事に打ち倒し……
華麗な空中回転とともに、かっこよく着地を決める我らが宙マン。
青空に映えるその雄姿は、どこまでも逞しく、頼もしかった。
ゾネンゲ博士「ちゅ、宙マンめぇぇっ……私の研究の成果を、よくも！」
イフ「ぐ、ぐばばばばばっ……おのれ、又してもやってくれたな！
だが覚えておれよ、ワシら怪獣軍団の奥深さには限りがないのだ。
宙マンよ、この次こそは、お前にそれを思い知らせてやる！」
……などと言う、怪獣魔王たちのいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくしてここに、恐怖の合体怪獣ゼッパンドンは撃退され……
千歳市の平和は、またしても宙マンの手で守り抜かれたのであった。
みくるん「宙マンさん、お疲れ様でした！」
ながもん「……グッジョヴ」
落合さん「合体怪獣……それにしても、怖ろしい相手でしたわねぇ」
宙マン「ああ、一時は私もどうなることかと思ったけれど……
でも、そう言う私だって、いつも一人で戦ってるわけじゃないからね。
みんなの応援で、いっぱい、いっぱいパワーをもらっているもの！」
ピグモン「はうはう～、そう言ってもらえるとピグちゃんも嬉しいの～！」
ビーコン「絆は最強っスよねぇ、熱いつながりがパワーに変わるんスよ！
てなわけで今すぐベッドルームに直行っスよ、落合さん。
ひとつにつながって、甘く淫らな“夜の”フュージョンアップを……」
げ し っ ！
落合さん「ねーい、上手いコト言ったおつもりですかっ！！（怒）」
ビーコン「どひ～っ、このメイドさんは単体でも最強っスぅぅ～」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日もホントに有難う、宙マン！
だが未だ、怪獣軍団の野望は尽きない……
さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな？
