遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい緑の地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。
今日も配下の怪獣たちへと向けて、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。
またしても恐るべき侵略の魔手が、地球へ向けて伸びるのだ！
イフ「にっくき宙マンを倒せ！ 地球を攻め落とせ！
ゾネンゲ博士、そのための研究は進んでおろうな……！？」
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「は、ははっ……魔王様っ！」
ゾネンゲ博士「研究に関して言えば、一定の成果は出たような……
……或いは、そうでないような……つまり、その……」
イフ「ん、どうした？ そなたにしては歯切れが悪いではないか」
イフ「季節も季節だし、宇宙風邪にでもかかったか、博士？
だったら栄養のあるものを摂って、ちゃんと暖かくして……」
ゾネンゲ博士「あぁ、いえいえ魔王様、ご心配には及びません！（汗）」
ゾネンゲ博士「確かに研究の結果は出て、実験台を務めた怪獣も
既に地球に向かっていることは確かなのですが。
話せば色々長くなるのですが……えぇと、あのその……」
イフ「わはは、よいよい、分かった分かった。
そうまで勿体つけるなら、わしも楽しみにさせてもらうまでよ！」
ゾネンゲ博士「は、ははっ……恐縮です（汗）」
珍しく煮え切らない、ゾネンゲ博士の態度はさて置き……
とにもかくにも、またまた地球に怪獣軍団の魔手が迫っているのは
もはや疑いようのない事実であった。
危うし地球、危うし宙マン！
が、ひとまずそれはさて置き。
日に日に、寒さが深まってきて……
いよいよ、秋から冬への境目がくっきり見え出してきた北海道。
ここ・千歳市ほんわか町５丁目も、その例外ではなく……
来たるべき冬本番に臨んだ諸々の支度を淡々と進めながら
午後のひと時にちょっと一息、というところであった。
落合さん「お殿様、それに皆さん、ちょっと見て下さいな！」
ピグモン「はうはう～、なになに～？」
ビーコン「どれどれ……（覗きこんで）」
宙マン「おおっ、これはまた見事なタラコだねぇ！
……と言うことは、今年もまた……？」
落合さん「（頷き）虎杖浜の若竹様が、今年も贈って下さいましたの」
ビーコン「やー、毎年毎年、ほんと有難いスねぇ！」
宙マン「あぁ、あとでお礼の電話を差し上げないとね――」
宙マン「それにしても、虎杖浜産のタラコは本当に見事だよね！
色と言い、艶と言い、太り具合と言い……」
ピグモン「見てるだけで、おなかすいてきちゃうの～」
落合さん「えぇ、こうまで見事なタラコですと……
調理する身としても、ワクワクして腕が鳴りますわ！」
ビーコン「ヒヒヒ、どんな料理でも旨いと思うっスけど……
でも、まずはありのまま、生のままカブりつきたいスね！」
落合さん「確かに、それはひとつの真理ですわね」
ビーコン「そう、落合さんのカラダと同じっスよ！」
落合さん「……って！
既成事実みたいに言わないでもらえません！？（赤面）」
平和な日常の象徴、何気ない軽口の応酬。
……そんな穏やかな時間を破って、事態は急変した！
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ！
落合さん「……ちょっ、何ですの、急に！？（汗）」
ビーコン「どひ～っ、こいつァひょっとして……」
宙マン「むむっ、ひょっとしたら……」
ピグモン「はわわ、ひょっとするかもしれないの～！」
そう、残念ながら……
今回もまたまた「ひょっとして」しまうのだ。
大地を割り、噴き上がる土煙と共に迸るのは……
稲妻！
ビーコン「ど、ど、どひ～っ！！」
落合さん「（身構え）……来ますわねっ！」
電光を放ちながら立ち上がる、今日の登場怪獣は！？
「ギシャシャシャぁぁ～っ！！」
ピグモン「きゃああんっ、やっぱり怪獣だったの～！（涙目）」
落合さん「あの姿は、確か……」
宙マン「（頷き）ピット星の……宇宙怪獣・エレキング！」
「ギシャシャ……だが、ただのエレキングってわけじゃないんだぜ。
見ろ、この神々しいばかりのギンギラボディー！」
「今の俺様は……
宇宙怪獣・プラズマエレキング！」
宙マン「プラズマエレキング、だと……！？」
ビーコン「どひ～っ、いかにもパワーアップしてる響きっス！」
ピグモン「えう～、ピグちゃん怖いの～！」
イフ「おおっ、いかにも強そうではないか！
して博士、プラズマエレキングは如何なる強化が？」
ゾネンゲ博士「は、はぁっ、誠に申しあげにくいのですが……」
ゾネンゲ博士「結論から申しますと……何 も ！」
イフ「（目がテン）はぁっ……“何も”だと……！？」
ゾネンゲ博士「プラズマ実験によって、見た目はとりあえず派手にはなりましたが……
能力面では……その、特に……（汗）」
イフ「な、何という……！（思わずズタこけ）」
ゾネンゲ博士「（慌てて）……で、ですが魔王様っ！
見た目が派手になり、エレキングがやる気を出しているのも
また、厳然たる事実にございますッ」
イフ「むむむっ…… やる気を出しているなら、それはよしとせねば……な！？」
ゾネンゲ博士「何卒このまま、エレキングめを。
……いえ、プラズマエレキングをお見守り下さい！」
イフ「……ようし、分かった。
とにかく暴れろ、プラズマエレキング！ お前は無敵だ！」
Pエレキング「ギシャァァ～っ、やりますぜ、魔王様ぁ！」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するプラズマエレキング！
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
落合さん「あらあら、全く騒がしい方ですこと！」
ビーコン「怪獣らしいっちゃ、らしいんスけどね～！？」
ピグモン「はわわ、いいからとにかく逃げるの～！（汗）」
おお、早くも千歳の大ピンチ！
だが、そんなプラズマエレキングのド派手な進撃を阻むべく……
航空防衛隊の精鋭たちが、直ちにスクランブルをかけた。
ビーコン「おおっ、またまたいいタイミングぅ！」
落合さん「今回こそは、本気で期待したいです！（汗）」
ピグモン「はうはう～、おじさんたち、がんばってなの～！」
「ようし、やるぞ……全機、一斉攻撃開始っ！」
戦闘機編隊、ロケット砲による一斉攻撃！
だが、その凄まじい弾着にも怯まないプラズマエレキング。
Pエレキング「ギシャ～っ、格が違うぜ、格がよぉ！」
「……ど、どわぁぁぁ～っ！？」
エレキングの口から吐き出される放電プラズマ光線！
その威力に、一機、また一機と撃墜されていく戦闘機である。
落合さん「あぁ……やっぱり、こうなっちゃいますのねぇ！」
ビーコン「……頑張ってくれてんのは判るんスけどね～！」
などとボヤいている間にも、プラズマエレキングは大暴れ。
平和な街は、今やすっかり破壊と混乱に支配されつつあった！
Pエレキング「ギシャシャ～、俺様は強いだろう……！？」
ビーコン「このままじゃ、タラコ尽くしの晩飯どころか……
オイラたちの方が、一家揃って焼きタラコっスよ！（汗）」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの～」
宙マン「（頷き）おのれ、もう許さんぞ！
宙マン・ファイト・ゴー！！」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、プラズマエレキングの前へと舞い降りる！
宙マン「トゥアーっ！ 宙マン、参上！
宇宙怪獣エレキング、これ以上はもう容赦しないぞ！」
ズ、ズーンっ！！
ビーコン「出たっス、アニキの十八番！」
落合さん「お殿様、今日も頼もしい限りですわ！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
Pエレキング「ギシャシャシャ……出たな、宙マン！
輝くボディの俺様にかかりゃ、お前も敵じゃないぜィ！」
宙マン「いいや、今日も返り討ちにあうがいいさ！」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ！
宙マン「さぁ来い、エレキング！」
Pエレキング「“プラズマ”をつけろよ、デコスケ野郎ッ！」
激突、宙マン対プラズマエレキング！
落合さんたちが見守る中、早くも白熱する攻防戦。
猛然とパンチ攻撃のプラズマエレキング！
能力的には、通常のエレキングと何ら変わらないとは言え……
とりあえず見目が派手になったものだから、当の怪獣本人的には
何となく新鮮な気分で、普段以上に気合も入ってしまうのである。
Pエレキング「ギシャシャ～、どうだ、どうだっ！」
宙マン「なんの、調子に……乗るなッ！」
だが、そこはそれ、歴戦の勇者たる宙マン……
プラズマエレキングのケバケバしいハッタリに惑わされることなく、
的確な打撃をそのボディへと炸裂させていく。
土砂を高く巻き上げ、大地を揺るがす巨大戦！
徐々に、徐々に、格闘戦でプラズマエレキングを圧していく
我らが宙マン、さすがの貫録である。
宙マン「どうだ、参ったか！」
Pエレキング「ギシャシャ～、参ってたまるかよォッ！」
怒り、電撃プラズマ光線を吐き出すプラズマエレキング！
宙マンの周囲に炸裂し、凄まじい爆炎を巻き起こし……
グワーン！ ズガガガガーンっ！
「う、うわぁぁぁぁ……っ！！」
ピグモン「はわわわ……ちゅ、宙マンっ！？」
ビーコン「こ、このままじゃマジでアニキが！」
落合さん「そんな……そんな事は、絶対に！」
ゾネンゲ博士「おおっ……思いのほか、エレキングはやりますな！？」
イフ「（頷き）ハッタリと思いこみで、あれだけやれば大したものよ。
……さぁ、あと一息だぞ、プラズマエレキング！
お前の底力で、宙マンにとどめを刺してしまうのだ！」
宙マン「（苦悶）うう……う、ううっ……！」
Pエレキング「ギシャシャ～、死んでもらいやすっ！」
「なんの……そうは、いくものかッ！」
宙マン、パワー全開！
プラズマエレキングの光線をかわして、大空へ舞い上がる。
Pエレキング「（驚き）ぎ、ギシャシャッ！？」
宙マン「行くぞ、エレキング！」
Pエレキング「だから“プラズマ”をつけろっての！」
跳躍とともに、プラズマエレキングの頭上を飛びこえざま……
すぐさま、高層ビルの壁面を蹴って空中反転！
「せいやぁぁぁーっ！
宙マン・ミラクル反転キック！！」
華麗なる反転キックが、怪獣の首筋に炸裂！
たまらず、プラズマエレキングが倒れたところへ――
「とどめだ！
宙マン・エクシードフラッシュ！！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、プラズマエレキングを直撃！！
Pエレキング「ぎゃいいんっ……美しさって、儚いものねぇぇ～っ！」
やったぞ宙マン、大勝利！
ビーコン「いえっふ～、さっすがアニキ、そうこなくっちゃっス！」
落合さん「お見事でしたわ、お殿様！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、かっこよかったの～♪」
仲間たちの歓声を受け、すっくと立つ宙マンの巨体。
陽の光を浴びた精悍なる雄姿は、どこまでも頼もしかった。
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが！
だが、この次こそはお前を必ず倒してやるからな！
覚えておれ、覚えておれ～っ！！」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍によって、プラズマエレキングは撃退され……
千歳には再び、過ごしやすい平穏が戻ってきたのであった。
ピグモン「はうはう～、宙マン、おつかれさまなの～♪」
ビーコン「にしても、とんだお騒がせ怪獣だったっスね～」
落合さん「せっかく、タラコを味わおうとしていた矢先でしたのに……」
宙マン「はっはっはっ、なぁに……
虎杖浜のタラコは逃げやしないさ、何てことないよ。
これからうんと味わって、埋め合わせしようじゃないか！」
ビーコン「いえっふ～、さっすがアニキ、良いコト言うっスねぇ。
まずは生を味わいたいっスよね、タラコも落合さんも！」
落合さん「（困惑＆赤面）……は、はぁっ！？」
ビーコン「ちょ、「はぁ？」じゃないっスよ、「はぁ？」じゃ！
さぁモタモタしてねぇで、いつものようにパンツを脱いで……」
げ し っ ！
落合さん「ねーい、だから既成事実化しないで下さいっ！（怒）」
ビーコン「どひ～っ、毎度毎度の様式美っスぅぅ～」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も本当にありがとう、宙マン。
だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……
さて、次はどんな活躍を見せてくれるかな？
