遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている怪獣軍団。
今日も配下の怪獣たちへと向けて、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。
またも恐るべき侵略の魔手が、我らの地球に伸びるのだ！
イフ「うぐぐぐっ、それにつけても憎むべきは宙マンよ。
……奴さえおらなんだら、怪獣軍団はとっくに地球を征服して
あの美しく、青い星の支配者として君臨できていたものを！」
イフ「にっくき宙マンを倒せ！ 地球を攻め落とせ！
……ゾネンゲ博士、そのための新たな作戦は進んでおろうな……！？」
ゾネンゲ博士「勿論でございますとも、魔王様！」
ゾネンゲ博士「既に新手の怪獣を選出し、地球へ向かわせてございます」
イフ「グフフ、それでよい、それでよいのだ怪獣軍団は。
怠惰な平和を貪り続ける地球の者どもに、真の恐怖を教えこんで
たっぷりと冷や汗をかかせてくれるわ！」
ゾネンゲ博士「ははァーッ、全て魔王様の仰せのままに！」
イフ「（哄笑）ぐふふふ……わははははは……！」
地球に住む人々の都合など、お構いなしで魔の手を伸ばすは怪獣軍団。
またも恐怖の爪と牙が、我々の平和な日常めがけ突き立とうとしている！
……と、ひとまずそれはそれとして。
場面は変わって、こちらは毎度お馴染み北海道千歳市……
そして、これまたお馴染み・ほんわか町５丁目の「宙マンハウス」。
家の中をちょっと覗いてみれば、今日も今日とて見知った顔ぶれ……
宙マンファミリーの面々が、のんびりした時間を満喫中なのであった。
落合さん「……とまぁ、そんな次第でございまして。
こと食べ物に関して言えば、本当にどのお店も外れなしで
実に有意義でしたわねぇ、先日のドライブは」
ピグモン「はうはう～、食べ物以外もすごく楽しかったの～」
みくるん「わぁっ、いいなぁ～、羨ましいですぅ」
ながもん「楽しい、思い出……盛りだくさん」
宙マン「ああ、行ってよかった、正に悔いなしだよ。
家族のみんなと一緒に巡れて、余計に楽しく嬉しかったねぇ」
落合さん「うふふ、お殿様……♪」
ビーコン「いーや、待った待った、ちょ～っと待った！
いい話っぽくまとめようとしてるけど、チョイ待ちっス。
確かに楽しい遠出で、旨いもんもいっぱい食えたけど……
オイラ的には、結構悔いが残ってたりもするんスよ！？」
落合さん「まぁ、ビーコンさんは何がご不満ですの？」
ビーコン「ヒヒヒ、そりゃもうアレっスよ！
ご当地のアニメショップ巡りとか、風俗店巡りとか……」
落合さん「（ゲンナリ）……聞かなきゃよかったですわ！」
宙マン「（苦笑）……たっはっはっはっ」
そんなこんなで、軽口混じりの楽しいひととき。
だが……その団欒の和やかな空気を破るかのように！
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ！
ビーコン「（慌てる）お、おろろろっ！？」
ピグモン「きゃあああんっ、揺れてるの、おっきいの～！」
落合さん「こっ、これはもしかして……」
宙マン「……もしかするのかな、また今回も！？」
突如として起こった局地地震が大地を揺さぶり、ビルを崩壊させる。
そして……
地面を真っ二つに引き裂いて、巨大な姿を現したのは！？
「グァグ、グァググググゥ～ッ！！」
みくるん「ああっ、やっぱり何か出てきたですぅ！」
ピグモン「か、怪獣なの、怖いの～！（涙目）」
ビーコン「あ、あいつは……」
宙マン「大戸島の……伝説怪獣・サソリンガじゃないか！」
落合さん「伝説なら伝説らしく、神棚に祀られていればよいものを……」
サソリンガ「グァグググ、今また新たな伝説を創るんじゃ～いっ！」
落合さん「（げんなり）……上手いこと言ったおつもりですかっ！」
ながもん「それで、その「伝説」って……」
サソリンガ「グェググ、もちろん破壊の伝説じゃ～っ！
その瞬間に立ち会えるのを、光栄に思うがいいんじゃ～っ！」
ビーコン「……全然有難くないっスよ～！？（汗）」
ゾネンゲ博士「ふふ、ご覧下さい魔王様、あの勇ましき晴れ姿！」
イフ「怪獣軍団きっての強豪、伝説怪獣サソリンガ。
お前の働きぶりには、ワシも大いに期待しておるのだぞ！」
ゾネンゲ博士「しっかり頼むぞ、サソリンガよ！」
サソリンガ「グァグググ、やりますぜ、やっちゃいますぜ～！」
傍若無人な進撃開始！
迫り来るサソリンガの巨体を前に、千歳の街は大パニックと化す。
大怪獣の暴虐、許すまじ！
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊が来てくれたっス！」
落合さん「頼みましたわよ、皆様っ！」
ピグモン「がんばってなの、ピグちゃんたちがついてるの～！
「ようし……全機、攻撃開始っ！」
戦闘機編隊から叩きこまれる、ロケット砲の一斉攻撃！
だが、サソリンガの強靭な外殻には全く通用しない。
サソリンガ「グァグググ、効かんのじゃ、そんなもん～！」
「ど、どわぁぁぁぁ～っ！？」
咆哮とともに、口から無数のニードル熱線を吐き出すサソリンガ！
灼熱の「針」が叩きこまれた戦闘機は、みるみる蜂の巣状になって
木っ端微塵に爆発四散する。
みくるん「あぁっ、やられちゃったですぅ！」
ながもん「これは……相手が……悪すぎた」
ビーコン「ひぇぇ、どうしましょったら、どうしましょ！？」
ピグモン「このままじゃ、ホントに千歳の大ピンチなの～！」
落合さん「……お殿様っ」
宙マン「（頷き）おのれ、もう許さんぞ！
宙マン・ファイト・ゴー！！」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うサソリンガの前に舞い降りる！
宙マン「トゥアーっ！ 宙マン、参上！
怪獣サソリンガ、お前の伝説はここが最終ページだ！」
ズ、ズーンっ！！
ビーコン「いえっふ～、出たっス、アニキの十八番！」
落合さん「ああ、やっぱり頼れるのはお殿様ですわねぇ！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
サソリンガ「グァグググゥ～、出たな宙マン！」
宙マン「あぁ、正義に呼ばれちゃ黙っておれないさ！」
サソリンガ「グァグググ、同じ"伝説怪獣"でもな……
前回のウーとは、伝説怪獣としての出来が違うんじゃぁぁ～っ！」
宙マン「そうかね、だったら試させてもらおうか！？」」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ！
真っ向激突、宙マン対サソリンガ！
人々がハラハラと見守る中、ダイナミックに展開される巨大戦。
サソリンガ「グァグググゥ～、オラオラオラぁっ！」
宙マン「なんの、それしきの攻撃！」
サソリンガの鋏の一撃を、クロスガード態勢で受け止め……
怯むことなく果敢に、積極的な攻勢を仕掛けていく宙マン。
怪獣とヒーロー、お互いに一歩も引かないガチンコ勝負。
力と力、技と技……人知を越えた超人戦が繰り広げられ……
宙マン「ぬうっ、なかなかやるな！」
サソリンガ「まだまだ、サソリンガ様の真の威力はここからじゃ！」
シュボボボボボッ！
サソリンガの巨大な口から、勢いよく吐き出される無数のニードル熱線！
宙マンの周囲に次々と炸裂し、ヒーローの巨体を大きくよろめかせる。
ズガーン！ グワーンっ！
「う、うわぁぁぁぁ……っ！！」
みくるん「ああっ、宙マンさんが！」
ながもん「威張るだけ、あって……やっぱり……強いッ」
ビーコン「さすが、怪獣とは言え九州男児って感じっス！」
ピグモン「んも～、感心してる場合じゃないの～！（汗）」
落合さん「（ハラハラと）……お殿様っ！」
ゾネンゲ博士「おお！
ご覧下さい魔王様、あの目覚ましい働きを！」
イフ「ううむっ、見事だサソリンガ！
そのまま一気に、恨み重なる宙マンへとどめを刺すのだ！」
宙マン「（苦悶）う、ううっ……」
サソリンガ「悪運もこれまで！ 今度こそ最期じゃ、宙マン！」
「なんの……負けて、なるもの、かぁぁっ！」
宙マン、起死回生のパワー全開！
水平キックを見事に炸裂させ、サソリンガを大きく怯ませる。
ビーコン「おおっ、やったっス！」
落合さん「今こそ絶好のチャンスですわ、お殿様！」
サソリンガ「うっ、ぐ……野郎ッ！」
宙マン「とどめだ！
宙マン・エクシードフラッシュ！！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、サソリンガを直撃！！
サソリンガ「め、面目ねぇ……
ウー、ウーよぉぉっ、俺もダメだったよぉぉ～っ！」
やったぞ宙マン、大勝利！
みくるん「やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ！」
ながもん「（ボソッと）……お見事っ」
ピグモン「はうはう～、やっぱり宙マンは頼りになるの～☆」
落合さん「いつもながら、なんて素敵なんでしょう、お殿様……
嗚呼、心のスタンプカードに、また大量のハンコがっ！（うっとり）」
ビーコン「（ジト目）……こっちはこっちで、絶賛通常営業中っスね～」
イフ「うぐぐぐっ……おのれ、またしても宙マンめが！
だが、ワシらの威力はまだまだこんなものではないぞ。
見ておれ、必ずや悪の伝説、不滅の神話を築いてくれるわ！」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍により、大怪獣サソリンガは撃退され
千歳の平和は無事に守り抜かれたのであった。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした！」
宙マン「やれやれ、怪獣騒ぎも一段落したところで……
また、道内の小旅行とシャレこみたくなっちゃったねぇ」
ピグモン「今度は、みくるんちゃん・ながもんちゃんも一緒なの～♪」
ながもん「おう、それは……光栄」
みくるん「情報集めて、じっくり計画練りましょう！」
宙マン「ああ、勿論だとも！」
ビーコン「ヒヒヒ、落合さん落合さん……
旅行ならね、オイラがいつでも連れてってあげるっスよ！」
落合さん「まぁ、万年金欠のビーコンさんが、ですか？」
ビーコン「ベッドルームで男と女、愛と言う名の道連れ旅っス！
生まれたお国さえ忘れるほど、目くるめく甘い快楽の彼方へ……」
げ し っ ！
落合さん「だーっ、どうせそんな事だと思ったら案の定……！（怒）」
ビーコン「どひ～っ、ソッチ方面の期待は裏切れないオイラっスぅぅ～」
宙マン「はっはっはっはっ」
ひとつの危機は去った……
だが、怪獣軍団の野望は未だ尽きない。
さぁ、次回はどんな冒険が待っているのかな？
