爽やかな陽気に包まれている北海道。
ここ・千歳市もまた、清々しい青空の下で平和の時を満喫中であった。
まだ6月だと言うのに、早くも風は夏の気配。
そんな大前提のもと、今日もまたお馴染みのあの場所……
千歳市ほんわか町5丁目、『宙マンハウス』から物語は始まる。
落合さん「ふぅ~、お部屋のお掃除もこれにて終了、っと!
あとは夕飯の支度まで、少しゆっくりさせてもらいますわね」
ピグモン「はうはう~、いつもありがとうなの、落合さん!」
宙マン「私たちがこうして、いつも楽しく暮らせるのも……
よく気が付く落合さんが、我が家にいてくれるおかげだよ」
落合さん「あらっ……あらあら、どうしましたの、お殿様ったら。
改まって言われると、私も何だか面はゆいですわ(ぽっ)」
ビーコン「いやいや~、いいんスよ、ホントのことっスから!」
ビーコン「でもって、毎日の家事もさることながら……
落合さんにはもっと大事な使命があるのを忘れちゃだめっスよ。
そう、オイラとの間に子を設けると言う神聖な義務が……」
げ し っ !
落合さん「ねーい、タチの悪い冗談をっ!」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ、本気だったんスけどねぇ……」
落合さん「っがー、なお酷いですっ!!(怒)」
宙マン「(苦笑)……たっはっはっはっ」
そんな軽口の応酬も、平和な日常を彩るアクセント。
だが、そんな穏やかな時間を破るかのように……!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
ピグモン「きゃ、きゃああああんっ!」
落合さん「こ、これはまた……例によって、いつもの展開ですかしら!?(汗)」
ビーコン「……な~んかネェ、猛烈にそういう予感がするっスよ!(汗)」
のどかな、平穏な時間を破るかのように……
不意の局地的大地震が、またまた千歳の街を襲った。
大量の土砂を天高く撒き上げ、舗装道路をも軽々と引き裂いて
地の底から今また、姿を現わさんとしている邪悪な影。
……果たして、それは!?
「ごっごぉぉ~んっ!!」
ピグモン「ああっ、おっきな怪獣が出てきたの!」
落合さん「あらあらまぁまぁ、あのルックスにこの現れ方……」
ビーコン「どう考えても、好意的とは言えない感じっスねぇ!」
宙マン「ってことは……今日もまたまた、怪獣軍団かな!?」
陥没した地面から、低い唸り声とともに出現する巨体。
怪獣軍団の一員、Q星出身の砂地獄怪獣・サイゴだ!
サイゴ「ごっごぉ~ん、なんだ、分かってんじゃねぇか!」
宙マン「くううっ、やっぱりか、やっぱりだったか~!」
ピグモン「えう~、こういうクイズは当たっても嬉しくないの~」
サイゴ「思いっきり暴れまくって、名をあげて……
見てろよ、今に俺だってメジャー怪獣の仲間入りだぁ!」
ビーコン「どひ~っ、シンプルで分かりやすい理由っスけど……」
落合さん「それだけに、厄介さも分かりやすいですわねぇ!(汗)」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「おおっ、いいぞ! サイゴめ、張り切っておるではないか!」
スライ「んー、ふふふふ、でしょうでしょう、そうでしょう。
だからこそ、彼を此度の地球攻撃に抜擢したのです。
さぁサイゴ君、君の心意気を魔王様に見せてあげて下さいな!」
サイゴ「ごっごぉ~ん、おうさ、やらいでか~っ!」
奮い立ち、進撃開始するサイゴ!
迫り来るその巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う千歳の人々。
ビーコン「どひ~っ、せっかくのんびり、まったりしてたのに!」
落合さん「どうして毎度毎度、こうなっちゃうんでしょうねぇ!?」
ピグモン「きゃああん、ピグちゃん怖いの~!(涙目)」
などと言う、人々の悲鳴やボヤきをよそに……
ガッと開いた口から、勢いよく砂煙を吐き出すサイゴ。
おお、見よ! 読者諸氏も、極楽コンビと同様に戦慄せよ――
千歳の街を覆いつくし、視界を奪うほどの勢いで吹き荒れる砂嵐。
これこそがQ星の暴れ者、怪獣サイゴの本領発揮なのだ!
サイゴ「ごっごぉ~ん、ザッとこんなもんさぁ!」
凄まじい勢いで、みるみる市内に広がっていく巨大な砂嵐!
街を覆い、ビルを押し崩し、人々をも容赦なく巻きこみ――
平和な街は、今や破壊と混沌に呑みこまれんとしていた。
砂地獄怪獣の暴虐、許すまじ!
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」
ビーコン「頼んだっスよ~、航空防衛隊!」
落合さん「頑張って下さいませ、応援しておりますわ!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
激しいアタックをかける戦闘機隊!
持てる火力の全てが、怒濤のごとく大怪獣へ叩きこまれる。
サイゴ「ごっごぉ~ん、チミらと遊んでるヒマ、ないの!」
「ど、どわぁぁぁ~っ!?」
げに恐るべきは、怪獣サイゴの吐き出す砂嵐!
戦闘機隊は勇戦空しく、一機、また一機と撃墜されていく。
サイゴ「ごっごぉ~ん、このまま千歳だけじゃなく……
北海道の隅々まで、俺の砂で埋め尽くしちゃお~、っと!」
ビーコン「どひ~っ、明るい口調でンなこと言われてもぉ!(汗)」
落合さん「いけませんわ、千歳の大ピンチです!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うサイゴの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
砂地獄怪獣め、悪ふざけはそのくらいにしておくがいい!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっしゃ! アニキの十八番が出たっスよ!」
落合さん「ああ、やはり素敵ですわ、お殿様っ!(うっとり)」
ピグモン「宙マン、よろしくおねがいなの~!」
サイゴ「ごっごぉ~ん、出たな宙マン!
今日こそは俺の力で、仲間の分までリベンジだ!」
宙マン「おぉっと、そう上手くいくかな……!?」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。
宙マン「平和を乱す無法者め、私が打ち砕いてやる!」
サイゴ「ごっごぉ~ん、お前こそ砂地獄の餌食になっちまえ!」
激突、宙マン対サイゴ!
落合さんたちが見守る中、ダイナミックに展開される巨大戦。
猛然、怪力で押しまくってくるサイゴ。
その攻撃をかわしつつ、宙マンも素早い連続技で反撃だ。
サイゴの張り手パンチ攻撃を、右に、左にと軽快にかわしながら
油断なく、冷静に相手の隙を伺い続ける宙マン。
そしてチャンスと見るや、素早い動きで繰り出すパンチにチョップ。
相手の急所を的確に突く、その打撃は俊敏にして正確!
宙マン「どうだサイゴ、正義のパンチに怖れをなしたか!?」
サイゴ「ごっごぉ~ん、なめるなっ!」
サイゴの口から吐き出される砂煙!
凄まじい勢いが宙マンに覆い被さり、瞬く間に視界を封じてしまう。
宙マン「ゲホ、ゲホっ……う、うううっ!」
サイゴ「どーだい、サイゴ様の砂嵐の味は極上だろう!
このままお前を、じわじわといたぶって殺してやるぜ!」」
ピグモン「ああっ、宙マンがあぶないの!」
落合さん「あの砂嵐が曲者ですわ、あんな風に視界を遮って……」
ビーコン「……あれさえ何とか出来りゃあ、ねぇ!?」
スライ「んー、ふふふ、いいですよサイゴ君!
これで宙マンの命運は尽きたも同じ、我々の勝利です!」
サイゴ「ごっごぉ~ん、俺も同じ意見だぜィ!」
「……と思うのが、怪獣の浅はかさだよ!」
おお、見よ!
宙マン・プロテクションが、サイゴの砂嵐を完全無力化していた!
サイゴ「(驚愕)な、ナヌッ!?」
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、サイゴを直撃!!
サイゴ「ごっごぉ~ん、メジャー怪獣入りの夢、叶わずっ!
くそぅ、悔しいなァ、悔しいなぁぁっ……」
サイゴ「い、いつかまた、必ず仕返ししてやるぞぉぉ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いえっふ~! 今日もアニキがやってくれたっスよぉ!」
落合さん「お見事ですわ、やはりお殿様です!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!
覚えておれよ、次こそ必ずお前に赤っ恥をかかせてやるからな!
よいか、必ずだぞ! 必ずだからな!?」
……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして、今回もまた宙マンの活躍により……
大怪獣サイゴは倒され、千歳に再び平和が蘇ったのであった。
宙マン「やぁ、みんな、どうもお待たせ!」
落合さん「ああ、お殿様、今日もお疲れ様でした!」
ビーコン「ヒヒヒ、どうにかこうにか一件落着したことっスし……」
ピグモン「時間も時間だし、おやつにするのがいいの~♪」
宙マン「おおっ、ナイスな提案だね、ピグモン!
それじゃ今日は、とびきり美味しいアイスクリームを所望したいな!」
ビーコン「ひぇぇ、アイス!
これから夏場にかけて、いよいよアイスの旨い季節っスよねぇ!」
宙マン「ふふん、アイスクリームはいつ食べたって旨いけどねぇ。
その上で、今日みたいな一仕事の後でのクールダウン……
我が郷里・北海道の濃厚ミルク味は格別の上にもまた格別さ!」
落合さん「えぇ、流石はお殿様です♪」
ビーコン「っかー、なんたる熱弁!
アニキの話聞いてたら、なんかオイラまでアイスな気分っスよ!」
ピグモン「はうはう~、みんなでアイスクリームに突撃なの~♪」
とか何とか言いながらも、この後……
評判の喫茶店で注文したチーズ味のソフトクリームに舌鼓を打ち、
舌もココロも大満足の宙マンファミリーであったとさ。
北海道の空の玄関、千歳市に……
今日も輝く、正義の星ひとつ。
次回も頼むぞ、我らが宙マン!