

静かに夕焼けが、大地を包んでいく……
何時もと変わらぬ、師走の日暮れ。

家路を急ぐものあり。
過ぎゆく一日にしみじみと思いを馳せるものあり。
そして……今夜の夕食に、早くも胸をときめかせるものもあり。

と言うわけで今回もまた、暮れなずむ千歳市・ほんわか町5丁目の
毎度おなじみ「宙マンハウス」から物語を始めよう。
宙マン「やぁ、いい匂いをさせてるなぁ!」

落合さん「うふふ、この匂いで既にお気づきかと思いますが……
今夜はお好み焼きにしてみましたのよ、お殿様」
宙マン「うんうん、いいじゃないかお好み焼き!」

宙マン「粉もんと言うと、若干イージーな印象もあるけれども……」
ビーコン「でも、それはそれで……っスよね、アニキ?」

宙マン「(頷き)そう、「それ」なんだよねぇ。
香ばしい焼け具合、胸のすくソースの薫りと甘さ……」
ビーコン「そーそー、胃袋へダイレクトに「クる」っスよね!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもお好み焼きだいすきなの~♪」

ビーコン「ヒヒヒ、そしてお好み焼きを味わった後には……
お好みソースよりコクのある、オイラの濃密な接吻が……♪」
落合さん「だーっ、もう、何で隙あればイヤらしいんですっ!」
宙マンハウスの「いつもの会話」。
だが、そんな平穏を破るかのように、突如!

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
ピグモン「は、はわわわわわっ!?」
落合さん「この揺れ方……只事ではございませんわね!」
ビーコン「どひ~っ、ってコトは、またっスかぁ……!?」

そう、その通り!
街を揺るがし、地を裂いて、今度もまたまた怪獣軍団の刺客が
夕陽に染まった千歳市のド真ん中へその巨体を現した!

「ぐばばばば~っ!!」
夕餉時の穏やかさを破る、野太い咆哮。
怪獣軍団の一員、プラスチック怪獣ゴキネズラだ!

ゴキネズラの巨体を目の当たりにして、街は大パニック。
そんな人々の混乱と悲鳴を嘲笑うかのように、怪獣ゴキネズラは
巨体を揺らし、我が物顔での進撃を開始する。

ゴキネズラ「ぐばばば~、驚け、騒げ、人間ども!
この千歳は、間もなく怪獣軍団のものになるんだ――
ゴキネズラ様のパワーで、そいつを思い知らせてやるぜ!」
ピグモン「えう~、乱暴は嫌~んなの~!」

落合さん「全くですわ、こちらの迷惑も考えて下さいな!」
ビーコン「よりにもよって、夕方の飯時に……!」
ゴキネズラ「ぐばば~、だからいいんじゃねェか!」

ゴキネズラ「キッズアニメが子どもの目をくぎ付けにするのは、
決まって夕方、五時~六時台の夕飯時……
ぐばばば、そういうもんだろォ!?」
ビーコン「う~ん……言われてみりゃ、確かにっス!」
落合さん「……納得してる場合ですかっ!(汗)」
……などと、やっている間に。

そんなわけで、出動してきたのは東千歳駐屯地の精鋭たち……
響き渡るキャタピラ音も勇ましく、大怪獣の前に陣を構えるは
陸上防衛隊の誇る、最新鋭戦車部隊である。

イフ「ぬふふふ……ちょこざいな!
それしきの火力に怖れを成す者など、怪獣軍団にはおらんわッ。
さぁやれゴキネズラ、お前の力をとくと見せてやれ!」
ゴキネズラ「ぐばば~、任しといて下さいよ、魔王様っ!」

ゴキネズラの進撃を阻まんものと、一斉砲火の雨あられ。
が、却ってそれは逆に、大怪獣の闘争本能を熱く呼び覚ました!
ゴキネズラ「ぐばばば~っ、チョロチョロすんな!」

ゴキネズラの口から吐き出される、恐怖の「プラゴキネック怪液」!
その溶解力の前にはひとたまりもなく、次々に破壊されていく戦車部隊。
紅蓮の炎に包まれて、今や千歳市の運命は風前の灯……!

ビーコン「ひぇぇぇ、もうだめっス、おしまいっス!」
落合さん「こうなってはもう、お殿様だけが頼みの綱ですわっ」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、暴れるゴキネズラの前へ舞い降りる!

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
ゴキネズラ、ヤンチャ放題はそのくらいにしておくがいい!」

ズ、ズーンっ!!

宙マン「これ以上、お前の好き勝手にはさせないぞ!」
ゴキネズラ「ぐばばば~、出たな宙マン! 返り討ちだぜ!」

ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

ゴキネズラ「宙マン! 勝負だ! ぐばばばばぁ~っ!」
宙マン「いいだろう、受けて立ってやる!」

真っ向からぶつかりあう巨体!
宙マンとゴキネズラの激闘が、千歳を舞台にその幕を開けた。

ゴキネズラの野生と、宙マンの技巧……
両者とも、熱い闘志を燃え立たせながらの激突。

宙マン「むむっ、やるな!?」
ゴキネズラ「ぐばばば~、まだまだ、ここからがお楽しみよ!」

出た、恐怖のプラゴキネック怪液!
自然劣化のないプラスチックをも腐食させ、栄養分にしてしまう
ゴキネズラの体液の危険度は、生半可な有機溶剤の比ではない。
……まともに浴びれば、宙マンとて無事で済む保証もない!

宙マン「……う、うわぁぁぁぁっ……!!」
ビーコン「あ、アニキッ!?」

落合さん「まずいですわね……あの液体はかなり厄介です!」
ピグモン「はわわわ、宙マン、負けないでなの~!」

宙マン「(苦悶)うう……うっ!」
ゴキネズラ「ぐばばば~、とどめ刺しちゃるぜぃ、宙マン!」

「なんの……やられは、しないぞッ!」

宙マン、飛燕のごとき大ジャンプ!
ゴキネズラの頭突きをひらりとかわして、大空へ舞い上がる。

抜群の跳躍力で、ゴキネズラの頭上を飛びこえざま……
すぐさま、高層ビルの壁面を蹴って空中反転!

ゴキネズラ「(驚き)ぐ、ぐばばばっ!?」
宙マン「これを受けてみるがいい、ゴキネズラ!」

「せいやぁぁぁーっ!
宙マン・ミラクル反転キック!!」

華麗なる反転キックが、怪獣の首筋に炸裂!
たまらず、ゴキネズラがブッ倒れたところへ――
「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ゴキネズラを直撃!!

ゴキネズラ「ぐばぁぁっ……もーいや、こんな生活ぅぅ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!

ビーコン「さっすがアニキ、今日も冴えてるっスねぇ!」
落合さん「お見事ですわ、お殿様。鮮やかの一語です!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

イフ「ま、またしても……
またしても宙マンの奴にしてやられたわい!
だが覚えておれ、これしきで諦める怪獣軍団ではないぞ――
この次こそ、必ずお前をギャフンと言わせてやる!」
……などと言う、毎度毎度の負け惜しみはさて置いて。

かくして宙マンの活躍により、大怪獣ゴキネズラは撃退され
千歳市には再び、夕餉時の穏やかさが戻ったのであった。
落合さん「改めましてお殿様、大変お疲れ様でした!」

宙マン「いやぁ、怪獣退治で一汗かいたら……
すっかりお腹ペコペコで、もう目が回りそうだよ」
落合さん「……ええ、そうでしょうとも。
あれほどのお働き、地球の命運をかけた大勝負でしたものねぇ!」

ピグモン「はうはう~、さっそく帰って晩ごはんなの~。
焼きたてこんがり、美味しいお好み焼きが待ってるの~!」
宙マン「うんうん、ソースたっぷり、マヨネーズと紅生姜も……
そして鰹節と青のりも、ケチケチせずドバーッといきたいね!」

ビーコン「ウヒヒ、いいっスよねぇ、ソースたっぷり!
そして食後のデザートも、ドボドボで行きたいっスねェ」
落合さん「(表情が引きつり)……はァ!?」
ビーコン「具体的には落合さんに、オイラ謹製のホワイトソースを……。
や、デザートだけに「絡める」ソースの方が良いっスかねぇ!?

げ し っ !

落合さん「ねーいっ! ほんとにまったく、この怪獣(ひと)はっ!!
よっくも真顔で、そんな下らないことをッ!」
ビーコン「どひ~っ、今のオイラにゃ冬の夕陽が眩し過ぎるっスぅぅ~」」
宙マン「はっはっはっはっ」

ひとつの危機は去った……
だが、怪獣軍団の野望は未だ尽きない。
さぁ、次回はどんな冒険が待っているのかな?





