遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

年の終わりに殺陣をどうぞの巻

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月日が過ぎ、季節が流れ行くのは本当に早いもので……

今年・2021年も、残すところあとわずか。

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今年最後のエピソードとなる、今回の『飛び出せ!! 宙マン』。

年末だからと言って、特に何も変わることはなく……

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師走ならではの慌ただしい空気の中にある、ここ・北海道千歳市の街中から

例によって物語を始めることとしよう。

 

 

さてさて、毎度おなじみ宙マンファミリー。

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「年の市」での買い物と、諸々の雑貨の買い出し、ちょっとした挨拶などの

こまごまとした用事を済ませ、小さいながらも市内で評判の中華料理店

来々軒」に足を運んできたところであった。

 

ビーコン「いえっふ~、どもども、おこんつわっス~!」

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ピグモン「わぁ、今日もすっごく混んでるの~」

落合さん「ひとえに、こちらのお料理の美味しさの賜物ですわねぇ」

ビーコン「ほんと、年の暮れまでお疲れ様っス~」

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アギラ「わはは、なんのなんの……

 忙しくて目が回る~、なんて言えてるうちが華って言うしね、この商売は。

 ……宙マンさんたちは、いつも通り炒麺でいいのかな?」

宙マン「勿論!」

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ここ、北海道千歳市において……

炒麺(チャーメン)」と言えば、もっぱら塩味のあんかけ焼きそばを指す。

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そんな炒麺を扱っている千歳市内のラーメン屋の中でも、ひときわ高い知名度

飽きの来ない味わいでもって、千歳市民から愛され続けている老舗がこちら、

宙マンファミリーもすっかり顔なじみな「来々軒」なのである。

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落合さん「と、言う訳ですので……」

ビーコン「ずるずると貪り食いつつ、しみじみ今年を偲ぶっス~!」

宙マン「(苦笑)その前に未だ、家の大掃除が残っているけどね……」

ピグモン「はうはう~、まずはとにかく、炒麺食べてからなの~♪」

 

……と、その時である!

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ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

 

落合さん「あらあら、まぁまぁ……!」

ビーコン「お、おろろろっ……こ、この揺れ方、只事じゃないっスよ!?」

ピグモン「(怯えて)きゃああん、怖いの~!」

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宙マン「済まないアギラさん、炒麺は後回しってことで頼むよ!」

アギラ「火の元用心、足元用心……宙マンさんたちも、気ぃつけてね!」

宙マン「ありがとう!」

 

突如、年末の千歳を襲った局地的大地震

すわ何事と「来々軒」から飛び出してきた宙マンたちの眼前で、土砂を巻き上げ

濛々たる砂煙の中から、地上にその姿を現したのは!?

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「わぎゃぎゃぎゃぎゃ~んっ!!」

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落合さん「あの年甲斐もない派手なファッション! と、言う事は……」

宙マン「……怪獣酋長、ジェロニモン

ビーコン「(頷き)あんな悪趣味なスタイル、それ以外に考えられねっス!」

ジェロニモン「うがーっ、黙って聞いておれば……

 悪趣味だの年甲斐もないだの、好き勝手言いおってからに!

 いかにも吾はジェロニモン、怪獣軍団きっての妖魔力の使い手である!」

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その特徴的な容貌と妖魔力から、「怪獣酋長」とも「地獄の司祭」とも呼ばれ

怪獣仲間からも一目置かれる怪獣界のシャーマンキング、ことジェロニモン

そして、その目的は――!

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ジェロニモン「わぎゃぎゃぎゃ、愚問!

 地球侵略の手始めに千歳の街を徹底破壊、それ以外の何があろうぞ!?」

ビーコン「(頭を抱えて)あーっ、やっぱりっスよ、やっぱりぃ!」

落合さん「この年末の忙しい中、何て迷惑な話でしょう!?」

宙マン「……ううむっ、全くだ!」

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イフ「わはは! さぁ行けジェロニモン、大いなる地獄の司祭よ!

 妖魔力を自在に操る“怪獣酋長”の力で、一気に千歳を征服せよ!

 ここで一気に帳尻を合わせて、この2021年をワシら怪獣軍団にとっての

 大いなるアニバーサリー・イヤーにするのだ!」

ジェロニモン「わぎゃぎゃぎゃ……吾にお任せ下され、魔王様!」

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怪獣魔王の命を受け、進撃開始するジェロニモン

迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげながら右往左往、人々が逃げ惑う。

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ビーコン「どひ~っ、なんかもうヤル気出しまくりっスよ、あの怪獣!?」

落合さん「ええ、しかもとことん有難くない方向のやる気ですわ!」

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ピグモン「あっ、でも見て、戦闘機が来てくれたの!」

宙マン「年末年始くらいは、防衛隊の皆さんものんびりしたいだろうにねぇ……

 こちらにも頭が下がる思いだよ、うん」

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と言うわけで、急遽スクランブルをかけた防衛隊の戦闘機編隊。

各機に標準装備されたロケット砲で、ジェロニモンめがけて一斉攻撃だ。

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ジェロニモンのボディで、その周囲で、激しく凄まじい弾着!

だが、飛び散る火花と衝撃をものともせず、その歩みを止めない怪獣酋長。

 

ジェロニモン「わぎゃぎゃ……小賢しい蚊トンボどもめ、消え失せい!

 きぇぇーいっ! あ~だら、う~だら、ぱぁぁ~っ!!

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「ぬ、ぬわぁぁぁぁっ!?」

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怪しい呪文とともに、持ち前の強大な妖魔念力を発動させ、迫り来る戦闘機を

次々に撃墜、返り討ちにしてしまうジェロニモン

この妖魔力こそ、彼が“怪獣酋長”として一目置かれる所以なのである。

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ビーコン「ああっ、防衛隊の皆さんがやられちまったっス!」

落合さん「あの念力の、あの威力……少々シャレになりませんわね!」

宙マン「“怪獣酋長”の異名は、伊達や酔狂じゃ名乗れないってことか……」

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ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「(頷き)ようし、私もいっちょうやるか! 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、荒れ狂うジェロニモンの前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 怪獣軍団、年の瀬くらいは大人しくしていたらどうだ!?」

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ズ、ズーンっ!!

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落合さん「ああ、年末にもお殿様のこの頼もしさと言ったら!(うっとり)」

ビーコン「こうなりゃもう、アニキだけがオイラたちの頼みの綱っス!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

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ジェロニモン「出たな宙マン! お前など、吾の妖魔力の敵ではない!」

宙マン「なんの……そんなまやかしなど、正義の力で叩き伏せてやる!」

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ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。

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宙マン「行くぞ、ジェロニモン!」

ジェロニモン「わぎゃぎゃぎゃ~、捻り潰してくれるわッ!」

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真っ向激突、宙マン対ジェロニモン

落合さんたちがハラハラと見守る中、両者の戦いは一気呵成にヒートアップ。

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太く力強い腕で、猛然とパンチ攻撃を仕掛けてくるジェロニモン

その猛攻をかわし、受け流しつつ、宙マンもまたパンチ攻撃で対抗――

響き渡る打撃音、小手調べの肉弾戦はまず互角と言ったところであろうか。

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宙マン「えいやっ、それっ……どうだ、これでもか!」

ジェロニモン「わぎゃぎゃぎゃ、怪獣酋長の妖魔力、侮るでないぞ宙マン!」

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「きぇぇーいっ! あ~だら、う~だら、ぱぁぁ~っ!!

 

おお、見よ! 驚愕せよ!

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ジェロニモンが唱えた怪しい呪文とともに、彼の妖魔力が発動し……

怪獣酋長の頭部や背中を誇らしげに彩る羽根飾りの一本一本が宙に舞い上がり、

それ自体が意思を持つ無数の生き物のように躍り回り始めたではないか!

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宙マン「(驚き)!?」

ジェロニモン「わぎゃぎゃ……さぁ、羽根よ舞え、そして憎き仇敵に死の報いを!」

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激しく風を切り、宙マンめがけて殺到していく無数の羽根!

その一本一本がミサイルとなって、激しい大爆発を巻き起こして市街を破壊し、

同時に宙マンの巨体を、爆風と衝撃波によって激しく揺さぶる。

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 「う、うわあぁぁぁ……っ!」

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ドッスゥゥーンっ!

 

落合さん「……ああっ、お殿様!?」

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ビーコン「あの攻撃……見た目派手なだけの、只のハッタリじゃないっスよ!」

ピグモン「はわわわ……宙マン、しっかりなの~!」

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宙マン「(苦悶)……う、ううっ……!」

ジェロニモン「これで終わりじゃ、吾の勝ちじゃ!」

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勝ち誇り、口からとどめの反重力霧を吐き出すジェロニモン

だが、宙マンはとっさに残された気力とエネルギーを振り絞り……

宙マン・プロテクションで反重力霧を受け止め、無力化してみせた!

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ジェロニモン「(驚き)な、何とッ!?」

宙マン「こんなお歳暮は受け取れないね、持ち帰ってくれたまえ――そりゃっ!

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宙マン、気合一閃――

反重力霧を増幅・反転させ、逆にジェロニモンめがけて叩き返した!

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「ど、どわぁぁぁ~っ!?」

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自らの武器の威力で、逆に自らが空中に舞い上げられてしまうジェロニモン

きりきり舞いの果てに地面へ叩きつけられ、彼が目を回したところへ――

 

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ジェロニモンを直撃!!

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ジェロニモン「ひょえぇぇ……これは色々、残念ムネン~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

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イフ「おのれおのれ、またしても……宙マンめ、よくも!

 だが覚えておれよ、この借りはきっと返してやるぞ。

 更に怖ろしい怪獣を送りこみ、来年こそ必ず息の根を止めてやる!」

 

……などという、怪獣魔王・年内最後の負け惜しみはさて置いて。

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我らが宙マンの活躍によって、地獄の司祭ジェロニモンは撃退され……

年末の千歳市には再び、せわしないながらも平和な空気が戻ったのであった。

 

ながもん「宙マン……お疲れ様」

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みくるん「さっきの戦い、私たちも見させてもらってました!」

宙マン「いやぁ、そう言われると何だか照れくさいなぁ」

ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~」

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宙マン「さてと、怪獣騒ぎも一段落したことだし……改めて、炒麺を食べに行こうか」

みくるん「あ、炒麺ってことは……「来々軒」さんですね?」

ながもん「私たちも、ちょうど……行こうと、思ってた」

宙マン「(頷き)よーし、それじゃみんなで行くとしようか。

 しっかり食べて、来年分の元気を充填しておかなくっちゃね!」

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ビーコン「いえっふ~、イイこと言うっスねぇ、アニキは!

 しっかり食って、力つけて……来年も、ますます元気にセクハラ三昧っス~!」

落合さん「だーっ、そんなトコは張り切らなくていいんですっ!(呆)」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

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今年一年のご愛顧に心からの感謝を。

皆様、どうか良いお年をお迎え下さい!