渦巻く暗黒星雲の奥深く、怪獣軍団の本拠地では……
今日も今日とて、地球征服のための悪企みが進行中。
イフ「うぐぐぐっ、それにつけても憎むべきは宙マンよ。
……奴さえおらなんだら、ワシらはとっくに地球など征服して
美しく、青いあの惑星の支配者となり君臨できていたものを！」
イフ「今度こそ、地球を我が怪獣軍団のものにする……
その輝かしい第一歩を示す、悪の勇者はいないのか！？」
「俺に任せてもらうぜ、叔父貴！」
どこか嘲るような怒号とともに、ずいっと前に進み出てきたのは……
怪獣軍団の幹部候補生「ダークネスファイブ」でも屈指の武闘派、
イフ「おおっ、ヴィラニアス、その口ぶりは既に……」
ヴィラニアス「ああ、もうとっくに動き出してるぜ、次の怪獣は。
俺の見こんだアイツこそ、まさに怪獣の決定打……
今度と言う今度こそは、宙マンだって敵じゃねぇ！」
イフ「おおっ、いつにも増して自信満々じゃの！」
ヴィラニアス「（頷き）ガハハハッ、まァ見ててくれや、イフの叔父貴！」
イフ「よかろう、ワシも何だかワクワクしてきたぞ！」
ヴィラニアス「ガハハハハハッ……！」
おお、何ということであろう？
新たなる地球の危機は、もうすぐそこまで迫りつつあったとは！
が、ひとまずそれはそれとして。
こちらは毎度お馴染み、北海道千歳市ほんわか町５丁目。
「宙マンハウス」の住人たちと、そのご近所さんたちはと言えば
そんなこととは露知らず、春先の午後を満喫中であった。
お隣さんこと、コロポックル姉妹からのお裾分け……
春先ならではの美味、今が旬のフキノトウである。
落合さん「嗚呼、堪りませんわねっぇ、フキノトウ！
この緑色を見ると、当地の春を心底より実感致しますわ」
ビーコン「天ぷらも良いスけど、フキノトウ味噌がまたね。
酒のつまみにも、飯のおかずにももってこいで……っかー！
オイラもう、想像しただけで口ン中に唾が沸いて止まんないっスよ！」
ピグモン「えう～、ビーコンちゃん、お上品に。なの～」
宙マン「はっはっはっ、でもビーコンの気持ちも分かるよ。
……落合さん、今夜はとびきり旨いフキノトウ料理、頼んだよ！」
落合さん「お任せ下さいお殿様、腕によりをかけまして。
みくるん様たち、このたびは結構なものを有難うございました！」
みくるん「いえいえ～、いっぱい採れたからお裾分けですぅ」
ながもん「美味しく、食べてくれたら……私たちも、うれしい」
ビーコン「やー、持つべきものは気配り上手のご近所さんスねぇ。
んじゃオイラ、料理が出来るまでのんびり昼寝でもしてるっス～」
落合さん「（ジト目）ちょっと、ビーコンさんったら。
調理の準備を手伝おうとか、そういう殊勝な気持ちはございませんの？」
ビーコン「いやいや～、アナタ作る人、オイラ食べる人。
役割分担ってのは何気に大事っスよねぇ、ヒッヒッヒ～♪」
落合さん「（呆れ）ンーまっ、いけしゃあしゃあとッ！」
宙マン「（苦笑）たはは、まぁまぁ、二人とも……」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ！
みくるん「きゃ、きゃああああんっ！」
落合さん「こ、これはまた……例によって、いつもの展開ですかしら！？（汗）」
ビーコン「……な～んかネェ、猛烈にそういう予感がするっスよ！（汗）」
のどかな、平穏な時間を破るかのように……
不意の局地的大地震が、またまた千歳の街を襲った。
大量の土砂を天高く撒き上げ、舗装道路をも容易く引き裂いて
今また新たに、その姿を現わさんとしている邪悪な影。
……果たして、それは！？
「ギャルルルゥゥ～ンっ！！」
ピグモン「ああっ、怪獣が出て来たの！」
ながもん「春先だから……元気……いっぱい」
みくるん「って、それで済む問題じゃない気がするよ～！？（汗）」
重厚な足音を響かせ、のっし、のっしと突き進んでくる巨体。
怪獣軍団の一員、暴れん坊怪獣ベキラである。
落合さん「で、その暴れん坊さんとやらが……
今日はまた、一体どのようなご用向きで！？」
ベキラ「ギャルゥ～、そりゃ聞くだけ野暮ってもんだぜ、メイドさん。
……破壊、ぶっ壊し、それ以外になにがあるよ！？」
ビーコン「ほらぁ……要はいつも通りってことっスよ、落合さぁん！」
落合さん「う～ん、僅かな可能性に賭けてみたかったのですが……
結局は、いつも通りの流れってことですのねぇ！（汗）！」
ヴィラニアス「ガハハハ、そして……
その慣れ親しんだ流れも、惜しまれつつ今日で終了だぜ。
何せベキラがこれから、千歳を徹底破壊するからな！」
イフ「そうだ、そうとも、頼んだぞベキラよ！
千歳の街を地図から消し去り、怪獣軍団のものにするのだ！」
ベキラ「ギャルルゥゥ～、万事この俺にお任せを～っ！」
怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始するベキラ！
荒々しく迫る巨体を前に、なすすべもなく逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ～っ、毎度とは言え、参るっスねぇぇ～っ！」
落合さん「せっかく、フキノトウ料理の腕を奮おうとしてましたのに！」
みくるん「はわわわ、そんなコト言ってる場合じゃないですよぉ～！」
宙マン「いいから逃げるんだ、早くこっちへ！」
暴れん坊怪獣の出現で、混乱の巷と化した千歳市！
だが地球人とて、ただ座して見ているだけではない――
怪獣の進撃を阻むべく、航空防衛隊がスクランブルをかけた。
ビーコン「おおっ、今日もまたまたお出ましっスよ！」
ピグモン「はうはう～、かっこいいの～！」
落合さん「今日こそは……今回こそは、何とかなりますかしら！？」
「これ以上、怪獣による市街地への被害を広げてはならん――
全機、攻撃開始っ！！」
最新鋭戦闘機からのロケット砲攻撃！
怪獣のボディや周囲に直撃するたび、激しく火花が飛び散るが……
その威力をもってさえも、ベキラは全くびくともしない。
ベキラ「ギャルルゥ～、邪魔するな、蚊トンボめらっ！」
「……う、うわぁぁぁぁ～っ！？」
ベキラが吐き出す、火花状の破壊熱線！
その威力の前に、一機、また一機と撃墜されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったですぅ！」
ながもん「流石に、これは……相手が……悪い」
ピグモン「これじゃほんとに、千歳の大ピンチなの～！」
……などと言う、人々の嘆きと落胆の間にも。
戦闘機隊を全滅させて、完全に勢いに乗り……
調子に乗って、ここぞとばかりに大暴れするベキラ。
平和な街・北海道千歳市の運命は、今まさに風前の灯であった！
ベキラ「ギャルルゥ～、ど～んなもんだィッ！」
落合さん「何てことでしょう、あの勢い……
ちょっとやそっとで、容易に止められるものではないですわ！」
ビーコン「どひ～っ、もうダメっス、おしまいっス！」
宙マン「いいや、まだまだだよ……千歳にはまだ、この私がいる！
宙マン・ファイト・ゴー！！」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、暴れるベキラの前へと舞い降りる！
宙マン「トゥアーっ！ 宙マン、参上！
怪獣軍団の手先め、もう好き勝手はさせないぞ！」
ズ、ズーンっ！！
ビーコン「ああ、やっぱ頼りになるのはウチのアニキっスよねぇ！」
落合さん「えぇ、安心の度合いが段違いですわ！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
ベキラ「ギャルルゥ～っ、怖気づかずによく出てきたな、宙マン！
そいつは褒めてやるぜ、だが今日がお前の命日だ！」
宙マン「なんの……正義は必ず勝つものさ！」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マンーー
バトルのテンションは、一気呵成にヒートアップ！
宙マン「さぁ来い、暴れん坊怪獣ベキラ！」
ベキラ「ギャルルゥ～っ、上等だァ！！」
激突、宙マン対ベキラ！
人々が固唾を呑んで見守る中、豪快に華開く巨大戦。
破壊こそ我が生きがいと嘯く、怪獣軍団屈指の凶状持ち……
鋭利な爪と両腕の怪力は、そんなベキラの強力な武器だ。
両手の爪を縦横に奮い、猛然と襲いかかるベキラ！
さしものヒーローとて、この一撃を食らえば只ではすまない――
パンチをかいくぐりつつ、冷静に相手の隙を伺う宙マンである。
猛烈なパンチ攻撃で宙マンを攻めまくるベキラ――
だが、それにも怯まず、果敢に立ち向かっていく宙マン！
それ行け、我らのヒーロー！
ベキラ「ギャルルゥ～っ、やるじゃねぇの！？」
宙マン「あぁ、まだまだ老けこむつもりはないんでね！」
大地を揺るがし、砂をまきあげ……
更なるダイナミックさで展開される、両者の巨大バトルである。
走り、跳び、跳ねる！
宙マンとベキラ、気迫とともに幾度も交錯する巨体。
ベキラ「ギャルルっ、ちょこまかと！」
宙マン「そぅれっ、とどめだ！
宙マン・エクシードフラッシュ！！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線。
エクシードフラッシュの一閃が、ベキラを直撃……
……したかと、思いきや！？
ベキラ「ギャルル～、な～んじゃ、そりゃア！？」
宙マン「（驚愕）……何っ！？」
面の皮がまるで鉄でできているように、恥知らずで厚かましい輩を
俗に「鉄面皮」と称する。
そして、このベキラの場合はと言えば……
上記の意味に加え、頑健なボディであらゆる攻撃の直撃に耐える
二重の意味での「鉄面皮」だったのである。
ベキラ「ギャルルゥ～、わかったかなァ！？
（ニヤリ）……わかったところで、こいつを食らえ～ッ！」
咆哮とともに、ベキラの口から吐き出される破壊熱線。
恐怖の一閃が、宙マンの周囲に凄まじい爆発を生じさせた！
ズガーン！ グワーンっ！
「う、うわぁぁぁぁ……っ！！」
みくるん「ふぇぇぇ……ちゅ、宙マンさんっ！？」
落合さん「あぁっ、何て事でしょう……お殿様っ！」
ビーコン「トボけた顔して、とんでもないヤリ手っス！」
ながもん「怪獣は……見かけに……よらぬもの」
ピグモン「はわわわ、感心してる場合じゃないの～！（汗）」
イフ「おおっ、いいぞベキラよ、やるではないか！」
ヴィラニアス「おうさ、それでこそ俺の見こんだ暴れん坊怪獣だぜ。
さぁ、いけるぜベキラ、一気にとどめだ！」
宙マン「（よろめきつつ）……くううっ！」
ベキラ「ギャルル～、悪いが死んでもらうぜ、宙マン！
暗黒星雲の魔王様たちの、絶大な期待がかかってるんでな！」
よろめく宙マンにとどめを刺すべく、突進してくるベキラ。
だが、これしきでやられるような彼ではない――
立ち上がりざまに素早く呼吸を整え、反撃に転じたのであった！
宙マン「トゥアーッ！」
気合一閃、宙マンの大ジャンプ。
ベキラの頭突きをひらりとかわし、そのまま華麗な空中回転を見せ
怪獣の頭上を飛び越えて行く！
ベキラ「（驚愕）……なンだとぉっ！？」
宙マン「驚くのはこれからだぞ、ベキラ！」
俊敏な跳躍とともに、暴れん坊怪獣の頭上を飛びこえざま……
すぐさま、高層ビルの壁面を蹴って空中反転！
「せいやぁぁぁーっ！
宙マン・ミラクル反転キック！！」
電光石火の一撃が、ベキラの背中に炸裂！！
ベキラ「ひ、ひギィィィッ……こりゃたまら～んっ！」
傍若無人なまでの突進戦法は、己の背中を庇わんがため……
すなわち、ベキラの急所は背中にある！
とっさの判断の的確さは、長年「銀河連邦」の英雄であり続けた
宙マンの豊富な経験値の賜物に他ならなかった。
やったぞ宙マン、大勝利！
落合さん「ああんっ、やっぱり素敵です……流石はお殿様♪（うっとり）」
ビーコン「っスよねぇ、やっぱそうこなくっちゃっス！」
ピグモン「はうはう～、宙マンが勝ってよかったの～♪」
みくるん「宙マンさん、どうもありがとうですぅ！」
ながもん「（ボソッと）……グッジョヴ」
人々の笑顔と歓声が、宙マンの勝利を讃える――
千歳の街に立ちつくす巨体は、どこまでも雄々しく、逞しかった。
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしてもやってくれたな！
だが宙マンよ、ワシらはこれしきで諦めはせんぞ……
次こそ必ず、お前に吠え面かかせてやるからな！」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍によって、千歳市を急襲した怪獣ベキラは
見事に撃退され、街に再び平和が蘇ったのであった。
落合さん「どうもお疲れ様でした、お殿様！」
ビーコン「やっぱこのテの荒事は、アニキに任せるに限るっスね～」
ピグモン「はうはう～、宙マン、かっこよかったの～」
宙マン「いやぁ、みんなが応援してくれたおかげだよ。
……と、怪獣退治も済んでホッとしたら……
何だかこう、無性にお腹が減ってきちゃったねぇ」
みくるん「ハードワークですもんねェ、怪獣退治って」
ながもん「と、なると……改めて……フキノトウ、料理」
ビーコン「ヒヒヒ、それそれ、待ってましたっスよ！
天ぷらにフキ味噌、フキノトウ料理をたっぷり楽しんだあとは
オイラと女性陣、ベッドルームで更なるお楽しみを……ねッ☆」
みくるん「……へっ（顔中真赤）」
ながもん「……（無表情）」
ピグモン「……？（きょとん）」
落合さん「…………（ぶ ち っ ！）」
げ し っ ！
落合さん「ねーいっ、同意を求めるんじゃありませんっ！（怒）」
ビーコン「どひ～っ、春は名のみの風の冷たさっスぅぅ～」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も賑やか、宙マンとその仲間たち。
次回はどんな活躍を見せてくれるかな？
](https://m.media-amazon.com/images/I/31noYdn3iyL._SL500_.jpg "超動α ウルトラマン2 [5.ウルトラマンレオ](単品)")
![Ultraman Leo: Complete Series [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51NNtRW3yuL._SL500_.jpg "Ultraman Leo: Complete Series [Blu-ray]")
