地球は狙われている!
今……
幾千もの星から、恐るべき侵略の魔手が伸びようとしているのだ。
そして、今日もまた。
遥かな宇宙の彼方から、地球を目指して一直線に飛んでくる
怪獣軍団からの使者の姿があった。
「クァカカカ……聞け! 愚かな地球人どもよ!
我輩こそは、怪獣軍団にその人ありと恐れられた勇者。
宇宙一の嫌われ者、レギュラン星のヅウォーカァ将軍である!」
自ら「嫌われ者」の異名を誇らしげに名乗る宇宙人……
裏を返せばそれもまた、彼の絶大な自身の顕れと言うべきか。
かくして、またたく間に地球の引力圏に入り、大気圏を突き抜け
レギュラン星人の円盤は、千歳上空にその姿を現した。
その円盤から、地上へと向けて放たれる一条の光線。
緑色の怪光とともに、一瞬で円盤内から地上へと転送され……
そして、みるみるうちに巨大化を遂げるヅウォーカァ将軍!
「クァカカカカカ……ッ!!」
と、ちょうどその現場に遭遇していたのは……
毎度お馴染み、落合さん&ビーコンの極楽コンビ。
落合さん「あらまぁ、今日もまたまた怪獣さんですわ!」
ビーコン「うんにゃ、あのスタイルは宇宙人っスよ!」
ヅウォーカァ「クァカカカ~、ご名答である!
いかにも我輩は宇宙人、そしてその名は――」
ビーコン「あぁ、皆まで言わなくても大丈夫っスよ、判るっスから!」
落合さん「えぇ、有名な方ですものね♪」
ヅウォーカァ「有名! 我輩が!?
(相好を崩し)……むふふ、そうであろう、そうであろうが!」
落合さん「そう、貴方様こそはあの有名な!」
ビーコン「誰もが知ってる超メジャー宇宙人――」
ヅウォーカァ「グァカカ、もっと言って、もっと言って❤」
ビーコン「そう、バルタン星人っ!!」
ヅウォーカァ「……(思わずドタこけ)」
落合さん「……あら? どうなさいました、バルタン星人さん――」
「(激怒)レギュラン星人だッ!!」
ヅウォーカァ将軍、大激怒!
怒りのままに、人々を追い散らしながら進撃を開始する。
ヅウォーカァ「おのれ、言うに事欠いて……バルタンだとっ!?
よりによって、一番間違えられたくない奴らと……!」
イフ「そうだ、もっと怒りを燃やすのだ、ヅウォーカァ将軍!
それらをまとめて、地球の奴らに叩きつけてやれ!」
ヅウォーカァ「クァカカ、言われるまでもございませんぞ、魔王様!」
ビーコン「どひ~っ、押しちゃいけないスイッチ入っちまったっス!」
落合さん「だからって、ここまで怒らなくっても……」
ビーコン「今となっちゃ、もう後の祭りっス~!(汗)」
早くもテンション最高潮な、ヅウォーカァ将軍の大暴れ!
だが、その暴挙に対して、決して地球人も見て見ぬふりはしない。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊の戦闘機っスよ!」
落合さん「今回は……期待しても、大丈夫かしら!?」
「よし、目標を確認――全機、攻撃開始っ!」
ヅウォーカァ将軍めがけて、雨あられと叩きこまれるロケット弾!
戦闘機隊の猛攻撃を受けてなお、星人の勢いは止まらない。
ヅウォーカァ「クァカカカ~、ちょこざいなっ!」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!?」
レギュラン星人の指先から、勢いよく放たれる破壊光線!
戦闘機編隊は、勇戦空しく次から次へと撃墜されていく。
ビーコン「……あらら~、やっぱ大丈夫くなかったっスねぇ~!」
落合さん「やっぱりと言いますか、何と申しましょうか……(汗)」
ヅウォーカァ「そこ! 何をゴチャゴチャ言っておるっ!」
ビーコン「どひ~っ、そりゃないっスよ~!(汗)」
落合さん「三十六計、逃げるにしかずですわ!(汗)」
爆発! 炎上!
街を炎の海に変え、得意げに立つヅウォーカァ将軍の憎らしさよ。
……と、そこへ。
ピグモン「はうはう~、ただいまなの~」
宙マン「一体全体、これは何の騒ぎだい!?」
落合さん「ああっ、お殿様、いいところへ!
あのですね、話すと色々長くなるのですけれど……」
ビーコン「今の様子を見てもらうのが、一番早いと思うっス!」
宙マン「ああ、どうやらそのようだね。……
ようし、やるぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
まばゆい光に包まれながら、颯爽と巨大化する我らが宙マン。
さぁ、正義の味方のお出ましだ!
ヅウォーカァ「(驚き)な、何とっ!?」
レギュラン星人めがけて急降下していく宙マン。
激しい空中きりもみ回転とともに、繰り出すその技の名は!
「エイヤぁぁぁーっ!
宙マン・回転フルキック!!」
高速回転の勢いを加え、両足で蹴り込む正義のキック!
硬く鋭い足先の打撃を食らい、ブッ倒れるヅウォーカァ将軍。
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「っしゃ、まずはアニキが一点先取っス!」
落合さん「これでもう、戦いの流れはお殿様のものですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~♪」
宙マン「悪質宇宙人・レギュラン星人。
傍迷惑な悪さはやめて、さっさと宇宙に帰るがいい!」
ヅウォーカァ「(感激)おおっ、ちゃんと正しく呼んでくれた!?
……それには感謝するが、我輩にも使命があるのでな!」
宙マン「あくまでやる気か……ならば、やむを得ん!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日も世紀のビッグファイト開幕だ!
ヅウォーカァ「クァカカカ、宙マン、我輩が叩き潰してくれよう!
怪獣軍団の地球征服には、お前がどうしても邪魔なのさ!」
宙マン「なんのッ、来るなら来てみろ!」
激突、宙マン対ヅウォーカァ将軍!
落合さんたちが見守る中、ダイナミックに展開される巨大戦。
チョップ攻撃で、果敢に接近戦を仕掛けてくるレギュラン星人。
しかし、宙マンも慌てず騒がず……
身に着けた技の冴えで、冷静にこれと渡り合う。
ヅウォーカァ「クァカカカ、どうだ宙マン!
この我輩・ヅウォーカァ将軍の必殺技、宇宙地獄突き!」
宙マン「なんの、それしき!」
ヅウォーカァ将軍の爪をかわし、逆にチョップ一閃!
宙マンの的確な攻撃に、ダメージを受けてよろめく星人。
宙マン「はっはっはっ……どうだい、参ったかね!?」
ヅウォーカァ「おのれぇぇ……図に乗るなっ!」
ヅウォーカァ将軍・怒りの破壊光線が一閃!
不意を突かれ、その直撃をまともに受けてしまう宙マン。
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
落合さん「ああっ……お、お殿様っ!?」
ビーコン「どひ~っ、何か雲行きが怪しくなってきたっスよ!?(汗)」
ピグモン「はわわわ、宙マン、まけないでなの~!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
ヅウォーカァ「クァカカカ、さぁ宙マン、我輩が引導を渡してくれる!」
勝利を確信し、とどめの光線を放たんとするヅウォーカァ将軍。
……だが、宙マンは、その一瞬に生じる隙を待っていた!
宙マン「タァァーッ!」
気合一閃、大ジャンプ!
ヅウォーカァ将軍の破壊光線をかわして、空に舞う宙マンの巨体。
ヅウォーカァ「……むむぅーッ、何と!?」
宙マン「これでとどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、空中から悪質宇宙人を直撃!!
ヅウォーカァ「わ、我輩はレギュラン星のヅウォーカァ将軍……
バルタンじゃないよ、お間違えなくぅぅ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「やったやった、アニキの勝ちっス!
いや~、オイラ、最初からこうなるって信じてたっスよ!」
落合さん「(苦笑)……んまっ、調子良いんですから」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「ぐぬぬぬっ……またしても、またしても宙マンめが!
だが忘れるな、最後に笑うのはワシら怪獣軍団なのだという事を。
貴様の最期は近いぞ、首を洗って待っているがよい!」
……と、いつも通りの負け惜しみはさて置いて。
かくて宙マンの活躍で、レギュラン星のヅウォーカァ将軍は撃退され
千歳市に、再び平和の歌声が蘇ったのであった。
ピグモン「宙マン、おつかれさまなの~」
宙マン「いやぁ、ありがとう、ありがとう!」
ビーコン「しっかしまぁ、何つーか……
名前と認識の間違いは、結構深刻な問題っスねぇ?」
宙マン「ああ、今度のように思わぬ大騒ぎにもなりかねないからね。
そこは失礼のないように、私たちも気をつけないと」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんも気を付けるの~」
落合さん「ビーコンさんは特にお気を付け下さいましね?」
ビーコン「オイラに限って、もうそんな間違いはないっスよ。
例えば落合さんの胸元にあるふくらみ、コレはおっぱいと書いて
敢えて“ユメノカタマリ”と振り仮名を……」
落合さん「(ワナワナ震えて)……ッ!!……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、一から十まで大間違いですっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、認識の違いは悲しいコトっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
宇宙に轟く、正義のその名……
その人こそは、平和を愛する千歳市民。
がんばれ宙マン、次回も頼んだぞ!