北海道の空の玄関口、千歳市……
この平和で自然豊かな街は、地球征服を狙う怪獣軍団の魔手から
常に狙われ続けている。
今日もまた、この和やかな時間を破り……
恐るべき悪の尖兵は、今まさに行動を開始しようとしている。
おお、親愛なる読者諸賢よ。
「それ」が来るのは……もう間もなくのことなのだ!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
そして「それ」は、何の前触れもなく……
突然すぎるほどの局地地震とともに、千歳を急襲した。
大地を割り、次々と出現する大怪獣……
めきめきと音を立てて割れ裂ける大地。
土砂を激しく巻き上げ、地上にその姿を現したのは!?
「ヴぁうぅあぉ~んっ!」
ピグモン「あっ、また怪獣なの!」
落合さん「例によって、例のごとく……」
ビーコン「こっちの都合は、全然省みてくれないんスよねぇ!」
宙マン「全く、これからランチを食べに行こうって時に!」
「ヴぁうぅあぉ~んっ、そりゃ残念だったなぁ……
だが、お前さん方にゃ悪いが、そのランチは永久にお預けさぁ」
宙マン「何っ!?」
「そう、ここからはこの俺……
スモッグ怪獣・モッグス様のオン・ステージだからなぁ。
飯なんて食ってる場合じゃねぇし、食わせねぇぜぇ!?」
ビーコン「どひ~っ、抜け抜けと言ってくれるっスねぇ!」
落合さん「あなた、性格悪いってよく言われますでしょう!?」
モッグス「ヴぁうぅあぉ~んっ、精々わめいてろ!
もうすぐ、そんな減らず口も叩けなくなるからなぁ!」
ピグモン「えう~、今日も大変なことになりそうなの~(涙目)」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「わはは! その意気だモッグス、怪獣はそうでないとな!
存分に暴れて、千歳をメチャクチャに破壊せよ!」
モッグス「ヴぁうぅあぉ~んっ、任しといて下さい、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するモッグス!
迫り来る巨体を前に、右往左往しながら逃げ惑う人々。
落合さん「あぁもう、毎度毎度懲りもせずに……!」
ビーコン「オイラたちゃもう、いい加減うんざりなんスけどねぇ!?」
モッグス「ヴぁうぅあぉ~んっ、ま~だまだ……
よーく見とけ、これがモッグス様の奥の手だ!」
口から勢いよく、有毒成分を含んだスモッグを吐き出すモッグス!
それは濃霧のように、みるみる千歳市内へと広がっていく。
落合さん「うっ、ぷ……げほ、ごほっ……!」
ピグモン「なんか、目がしょぼしょぼしてきたの~」
ビーコン「胸が……胸がムカムカしてきたっス!」
落合さん「(よろめき)どうしたと言うんでしょう、急に……」
宙マン「いかん、このスモッグを吸ってはダメだ!」
スライ「んーふふふ、いかがでしょうか魔王様!
モッグス君の体内で濃縮されたスモッグ・ガスにかかれば
北海道の澄んだ空気も、たちまちこの通り」
イフ「ううむっ、なるほど……」
イフ「数多の怪獣の中から、モッグスを選んだ理由はこれか!」
スライ「このままモッグス君が、スモッグを吐き続けてくれたなら
千歳市民はその毒素で、なす術もなく倒れていくでしょう」
スライ「そこへすかさず、我々が解毒剤をプレミア価格で売りつければ
千歳も征服でき、おゼゼも儲かって一石二鳥!」
イフ「うむっ、流石の悪知恵よの、“魔導の”スライ!」
……などと言っている間にも。
千歳の怪獣モッグスは、いよいよ勢いに乗っての大暴れ!
落合さん「(咳こみ)けほ、こほっ、このままでは……」
ビーコン「ひぇぇ、マジで千歳がおしまいっス~!」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「ようし、やるぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うモッグスの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
怪獣軍団の手先、好き勝手にのさばらせないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いえっふ~! 出たっス、アニキの十八番!」
落合さん「お殿様、やっぱり素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
モッグス「ヴぁうぅあぉ~んっ、やっぱり出やがったな、宙マン。
邪魔する気なら、腕ずくで叩き潰してやるぞ!」
宙マン「その言葉、そっくりそのままお返しだ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
モッグス「しゃら臭ェッ!」
怒り、口から有毒スモッグを吐きだすモッグス!
が、それは宙マン・プロテクションで見事に無力化される。
モッグス「ヴぁうぅあぉ~んっ、コンニャロォッ!
どこまでもムカつかせてくれる奴だぜ!」
宙マン「さぁ、どこからでもかかって来い!」
激突、宙マン対モッグス!
人々がハラハラと見守る中、巨大な正邪の死闘が展開される。
怪力でパンチ攻撃を繰り出してくるモッグス!
その攻撃をかわし、受け流しつつ、宙マンも軽快なフットワークで
油断なく、相手の隙を伺い続ける。
モッグス「どうだ、コンニャロめ、これでもかっ!」
宙マン「なんの、それしき!」
モッグスの猛攻を冷静に見切り、猛然と反撃に転じて行く宙マン。
相手の内懐に飛びこんで、パワー技を次々に炸裂させていく。
モッグス「ぐっ……この野郎めぇぇっ!」
怒りに任せ、宙マンを払いのけるモッグス――
だが、大怪獣の反撃もそこまでであった。
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュイィィーン!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、モッグスのボディで激しい爆発が起こる。
宙マン「――どうだっ!?」
モッグス「どうもこうも……こりゃ、かなわ~んっ!」
火花を散らして崩れ落ち、大爆発とともに吹っ飛ぶモッグス。
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、今日も宙マンの勝ちなの~♪」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキっスよねぇ、鮮やかっス!」
落合さん「えぇ、本当にお見事でしたわ、お殿様!」
イフ「おのれ! またしても、またしても宙マンめ!
だが、怪獣軍団の真の威力を知るのはここからだ。
よいか、次こそお前の最期だぞ……!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、スモッグ怪獣モッグスは敗れ去り
千歳の街に、再び平和が蘇ったのであった。
落合さん「改めて……どうもお疲れ様です、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、今日もかっこよかったの~」
ビーコン「いえっふ~、流石っスよアニキ!」
宙マン「いやぁ、そう言ってもらえるのは嬉しいけど……
毎度毎度、一歩間違えばやられていたかもしれないからねぇ」
落合さん「いえいえ、だからこそ……
そんな中から勝利を掴みとる、お殿様のご活躍ぶりもまた
ひときわ輝こう、というものですわ」
宙マン「いやぁ、そんなそんな、テレるなぁ――」
宙マン「……でも、本当に嬉しいよ、ありがとう。
落合さんのその言葉が、私には何より嬉しい名誉の勲章さ」
落合さん「あらまぁ、お殿様ったら……❤(ぽっ)」
宙マン「(微笑)さぁ、それじゃ改めて、みんなでランチを食べに……」
ビーコン「だーっ、タンマタンマ、タンマっ!
ちょ~っと待って欲しいっス、アニキ!」
宙マン「ん? どうしたんだい、ビーコン?」
落合さん「ここまでの流れ、何か問題ございましたかしら?」
ビーコン「(頷き)きわめて重大、おまけに深刻……
でもって、このシリーズの根幹にまつわる大問題っス。
そう、つまりそれは――」
落合さん「(ごくりと息を呑み)……それは!?」
ビーコン「ずばり、下 ネ タ が な い っ !!
これはねー、やっぱ看過できない重大な事態っしょー。
……ってなわけで
こっからは、オイラのノンストップ・お下劣トークがもう
ビッシバッシと縦横無尽に炸裂……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、そんなのなくっていいんですっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、別のモンが物理的に大炸裂っスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
ひとつの危機は去った……
だが、怪獣軍団の野望は未だ尽きない。
さぁ、次回はどうなるかな?