日に日に、秋の気配も深まりを見せ……
耳を澄ませば、冬の足音が間近に聞こえてくるかのような北海道。
毎度おなじみ北海道千歳市、ほんわか町5丁目のあちこちでも
今やすっかり、木々の紅葉がはらはらと散り出していた。
と言うわけで、今日もスタートする『宙マン』のお話。
毎度お馴染み、「宙マンハウス」の庭先から物語を始めよう。
♪たまらん たまらん たまらんぜ
たまらんこけたら みなこけた~~♪♪
落合さん「……ふぅ。ひとまずは、これでよし……っと!」
ビーコン「いえっふ~! 落合さん、今日もご精が出るっスねぇ」
落合さん「(眉をひそめて)……んーまっ、ビーコンさんったら。
エロ画像だ何だとうつつを抜かして、ブラブラほっつき歩く暇があるなら
少しは家事を手伝うとか、そう言う殊勝な発想は浮かんできませんの?」
ビーコン「チチチ、わかってないっスねぇ、落合さん!」
ビーコン「オイラは根っからの自由人、誰もオイラの心を縛れないんスよ。
ただひとつ、そんなオイラを虜に出来るモンがあるとしたら……
それはきっと、「愛」と言う名の切れない鎖っスかね?(ポッ)」
落合さん「(ジト目)いけしゃあしゃあとッ。警察呼びますわよ!?」
ビーコン「だーっ、なんたるヒドい言い草! ツンデレにも程があるっス!」
落合さん「ツンはともかく、デレた覚えなどありませんっ!!」
ピグモン「(呆れ)えう~、落合さんとビーコンちゃん、またやってるの~」
宙マン「(苦笑)たはは……あの二人にも、困ったものだねぇ」
そんな、騒々しくも賑やかな「宙マンハウス」の日常風景。
だが、そんな他愛なくも和やかな時間は……
何の前触れもなく起こった局地地震によって、唐突すぎるほど唐突に、
そしてある意味「いつも通り」に破られた!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
落合さん「あらあらまぁまぁ、例によってまた来ましたわね!?」
ビーコン「どひ~っ、そんな「いつも通り」ご勘弁っス~!」
激しく揺れる大地、割れ裂ける舗装道路。
土砂を吹きあげながら、地中より姿を現した巨体とは!?
「ピュルルゥゥ~ッ!!」
ピグモン「あっ、おっきな怪獣なの!」
ビーコン「ずげっ、一番ヤな方向に予想的中っス~!(汗)」
落合さん「お殿様、これはもしや……」
宙マン「(頷き)今日もまたまた、怪獣軍団の指金なんだろうなぁ!?」
千歳市のど真ん中に姿を現した巨体の主は……
怪獣軍団の一員、暴腕怪獣ダイゴラス。
ビーコン「……ありゃ、エレキングじゃなかったんスか?」
ダイゴラス「ビュル~ンっ、それねェ……
会うやつ会うやつに言われ続けて、もう慣れっこになっちまったよ。
だからその件はサラッと流して、俺は俺の仕事をするんでヨロシクぅ!」
ピグモン「(きょとんとして)はう~、おしごとぉ?」
ビーコン「……破壊活動ってことっスよぉ!(汗)」
宙マン「それにしても……なかなかせっかちさんだね、君は!」
落合さん「もう少し詫びさびと言いますか、前置きと言いますか。
とにかく、もっとこう……あるでしょう!?」
ダイゴラス「ビュルル~っ、まだるっこしい話は全部抜き!」
ダイゴラス「世はまさに、スピード命の情報化社会。
ちんたらやってると、置いていかれちまうぜ!?」
落合さん「あらまぁ、これって……」
ビーコン「オイラたち、逆に説教されてる流れっスか!?」
ダイゴラス「そう言うワケだ、グズグズしねーでテキパキ進めるぜぇ。
とりあえず手当たり次第にぶっ壊すんで、アー・ユー・オーケィ!?」
ピグモン「えう~、そんなのにOKしたくないの~(涙目)」
落合さん「せっかく平和な時間を楽しんでおりましたのに……」
ダイゴラス「へへ~んだ、所詮は日常パートなんて大破壊の前振りよォ。
なんたって怪獣路線だモン、な~んつって、なんつって!!」
ビーコン「ひぇぇ、しかもこんな形でサブタイ要素の回収っスかぁ!?」
宙マン「……うぬっ、何て大胆不敵な奴なんだ!」
イフ「わははは! いいぞダよ、その意気だ!
ワシが許す、この際だから徹底的に千歳を叩き壊せ!」
ダイゴラス「ビュルルル! 待ってましたぜ、そのご命令!
ダイゴラスの大暴れ、とくとご覧あれ魔王様ァ――
もう誰にも、ドマイナーとかパチモンとか言わせなーいっ!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始の大怪獣ダイゴラス!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げまどう千歳の人々。
ビーコン「どひーっ、やっぱこうなっちまうんスねぇ!」
ピグモン「ふぇぇん、こんなのピグちゃん嫌なの~!(涙目)」
落合さん「ここはもう逃げの一手ですわ、皆様お早くっ!」
おお……北海道千歳市、絶体絶命の大ピンチ!
だが、そんな危機を、ただ黙って座して見ている人類ではない――
直ちに航空防衛隊の空の精鋭たちが、怪獣ダイゴラス迎撃のために
ビーコン「おおっ、航空防衛隊の戦闘機っスよ!」
落合さん「いつもながら、良いタイミングで来て下さいますこと!」
ピグモン「はうはう~、がんばってなの、おじさんたち~!」
大空に花開く、空の精鋭たちの迎撃フォーメーション!
戦闘機隊が猛禽のごとく、ダイゴラスへと向かって急接近。
ババババババッ、矢継ぎ早やに叩きこまれていくロケット弾!
だが、それらの相次ぐ直撃にも、ダイゴラスの猛りは止まらない。
「なっ……
これだけの火力だぞ、何故効かないんだ!?」
ダイゴラス「ビュルル~、俺が強いからに決まってるだろ!」
「……にょ、にょわぁぁぁ~っ!?」
ダイゴラスの口から吐き出される破壊光線!
その直撃を受け、勇戦空しく次々に撃墜されていく戦闘機。
ピグモン「ああんっ、やられちゃったの!」
落合さん「あの怪獣さんが強いのか、それとも……」
ビーコン「……落合さん、そっから先はお口チャックっスよ!(汗)」
ダイゴラス「ビュルル~、ノッてきたぜぇ~!」
爆発! 炎上!
ダイゴラスの大暴れによって、みるみる炎に包まれていく千歳。
ビーコン「どひ~っ、アイツ完全にチョーシこいてるっスよ!」
落合さん「勢いに乗っている分、いろいろ厄介で面倒ですわっ!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うダイゴラスの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
これ以上の悪辣な真似は、この私が許しておかないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっ! 出たっスよ、アニキの十八番!」
落合さん「この頼もしさ、今日もハートが甘く疼きます……♪」
ピグモン「宙マン、頑張ってなの~っ!」
ダイゴラス「ビュルル~、噂通りに大口を叩きやがる奴だぜ。
面白ぇ、だったら腕ずくで止めてみな――
この場で返り討ちにして、ダイゴラスの名を上げてやる!」
宙マン「あぁ、いいだろう、やってやるとも。
怪獣ダイゴラス、お前のやんちゃな乱暴狼藉もここまでだ!」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティング・ポーズをとって、敢然と身構える宙マン。
ダイゴラス「ビュルル~、勝負だ勝負だ、勝負だぁっ!」
宙マン「やり合うからには、徹底的にやるぞ!」
激突、宙マン対ダイゴラス!
人々がハラハラと見守る中、巨大なる正邪の死闘が展開される。
持ち前の獣性を全開にして、荒々しく宙マンに迫るダイゴラス。
その頭突きを、爪をかいくぐり、宙マンは務めて冷静さを保ちながら
相手の隙を伺い、果敢に敵の懐へと飛びこんでいく。
ダイゴラス「ビュグルル~、なかなかやるなぁ!?」
宙マン「まだまだ、ここからが本番さ!」
怒り、破壊光線を吐くダイゴラス!
その一閃をジャンプでかわし、敵との距離を縮めていく宙マン。
炸裂、宙マンのストレートキック!
怪獣の腹部に炸裂し、ダイゴラスの勢いを削いで後退させる。
ダイゴラス「(むせて)ゲボォォッ……ゴホ、ゴホッ!」
宙マン「どうだダイゴラス、正義のパワーを思い知ったか!?」
ダイゴラス「ビュグルル~、調子に乗るなっ!」
ドガァァッ!
ダイゴラスの固い爪が、宙マンの体へめり込むように炸裂!
そのダメージによろめき、ドドーッと倒れる宙マンの巨体である。
落合さん「……お、お殿様っ!?」
ビーコン「今の一撃はヤバいっス、完璧に「入った」っス!」
ピグモン「はわわ、宙マン負けちゃうの!?」
落合さん「いいえ……お殿様に限って、そんなことは!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ!」
ダイゴラス「いいザマだな宙マン、一気にひねり潰してやるぜ!」
ズシーン、ズシーンッ……
重々しい足音を響かせ、宙マンへと迫るダイゴラス。
宙マン「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!」
宙マン、パワー全開!
気力を振り絞って素早く立ち上がるや、ダイゴラスの破壊光線を
軽快な回転戦法でひらり、ひらりとかわしていく。
ダイゴラス「ビュグルル~、ちょこまかとッ!」
宙マン「どぉれ、お返しさせてもらおうか――」
宙マン「 くらえ! 宙マン・閃光波!」
ピッキュイィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、ダイゴラスのボディに連続爆発が起こる。
ダイゴラス「(よろめいて)ぐ、うううっ……!」
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ダイゴラスを直撃!!
ダイゴラス「あぎゃぎゃぎゃ……そりゃないぜセニョールっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「ああんっ、やっぱり素敵です……流石はお殿様♪(うっとり)」
ビーコン「っスよねぇ、やっぱアニキはこうじゃなきゃっス!」
ピグモン「はうはう~、宙マンが勝ってよかったの~♪」
イフ「おのれェェ……またしても。またしても宙マンめが!
だが見ておれよ、最後に笑うのは怪獣軍団なのだ……
ダイゴラス以上の強豪が、すぐにお前を倒しに行くぞ!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍により、恐るべき怪獣ダイゴラスは
その野望もろとも撃退され、平和は守られたのであった。
ビーコン「いえっふ~、アニキアニキ、どーもお疲れさまっした!」
落合さん「お殿様のおかげで、また安心して午後の時間を過ごせますわ」
ピグモン「はうはう~、みんな好きなことができるの~」
宙マン「そうとも、それこそが平和の賜物、かけがえのない宝物さ」
ビーコン「ん~、やっぱりアニキはいいこと言うっスねぇ!」
ビーコン「ヒヒヒ、だからこそみんなして好きなことやって……
でもって、みんなで好き者になっちまえばいいんスよ!!
ほら、何ボヤボヤしてるんスか落合さん、早くパンツを脱いで……」
落合さん「(ジト目で)……はァ!?」
げ し っ !
落合さん「ねーい、当然のように私を巻き込まないで下さいっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、それじゃ皆さん、また次回までっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も本当にありがとう、宙マン!
だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……
さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?