春から初夏へ、そして来たるべき夏へ。
確実に季節が移り変わっているのを実感できる、6月の北海道。
ピグモン「はうはう~、とってもいいお天気なの~!」
宙マン「ここ数日は雨続きだっただけに、晴れ間がひときわ嬉しいねぇ」
落合さん「お出かけするもよし、家でのんびりするもよし……」
ビーコン「そしてそして、何つっても平和そのものっス!」
みくるん「ほ~んと、凄く良い一日になりそうな予感ですぅ」
ながもん「今日は、みんなで……のんびり、まったり」
みくるん「のんびり、ゆったり。
こういう時間を過ごせるのが、何より幸せなんだなって思いますぅ~」
落合さん「えぇ。全くもって、平和こそは得難い何よりの宝物ですわ」
ビーコン「いやいや~、でも、適度に刺激もなくちゃ世の中つまんないっスよ。
とりあえず景気付けに、ドカーンと一発ド派手な花火でも……」
ズゴゴゴグワーンっ!!
おお、見よ! 驚愕せよ!
何の前触れもなしに……
突如、落合さんたちの背後に上がった巨大な火の手!
落合さん「ほらっ、ビーコンさんが余計なこと仰るから……!」
ビーコン「ちょ、オイラのせいになっちまうんスかぁ!?(汗)」
みくるん「い、一体どうなってるんでしょう!?」
宙マン「ううむっ、こいつは只事じゃないぞ!」
「フォッフォッフォッ、あぁ、そうとも――
こんなのは、まだほんの序の口さ!」
突如として天から響いてきた、嘲るような声。
そして……次の瞬間、宙マンたちの眼前に姿を現した「もの」は
正に驚異的としか言いようのない代物であった!
みくるん「て、手のひら……!?」
ながもん「上下、左右……どこから、どうやって……どう見ても」
ピグモン「はわわ……お、おっきな手のひらなの~!(汗)」
そう――
まさにそれは、金属製の巨大な「手」そのものであったのだ。
ながもん「こんな、ものを……作れるのは……」
ビーコン「……つーか、こんなモンを作りたがるのは!(汗)」
落合さん「宇宙広しと言えども、あの方たちぐらいのものですわ」
宙マン「(頷き)……今日もまたまた、怪獣軍団か!」
「フォッフォッフォッ……ご名答だ、その通り!」
「それこそ、この僕……バルタン星人Jrの優れた頭脳と科学力の結晶。
その名も素晴らしき……巨腕・ガンガーだァ!」
巨腕ガンガーを遠隔操作しているのは、怪獣軍団の幹部候補生として
将来を嘱望されている若きエリート、バルタン星人Jrであった。
宙マン「なぁるほどねぇ……やっぱり、そう言う事か」
落合さん「……あぁ、でも、それはひとまずさて置きまして。
貴方様ご自慢の、何とか言うそのメカニック……
巨「腕」と言うよりは、完全な「手」じゃございませんこと?」
ビーコン「そーそー、看板に偽りありっスよ!」
バルタン星Jr「(赤面)……う、うるさいうるさい、うるさーいっ!!
僕が気に入ってる名前なんだから、これでいいんだよ!
断固として巨腕、あくまでもガンガーは巨腕っ!」
ビーコン「や、そこまでムキになんなくっても……(苦笑)」
バルタン星人Jr「おのれ地球人ども、よくものっけからこの僕に屈辱をっ!
この恥を雪ぐには、もう徹底的な破壊しかないッ。
……魔王様、どうぞ僕に進撃の許可をお与え下さい!」
イフ「おうっ、与えようぞ、バルタン星人Jr!」
イフ「栄えある幹部候補生の誇りを胸に、勇ましく戦え!
巨腕ガンガーの力によって、まずは千歳を徹底的に破壊せよ――
そして地球を、ワシら怪獣軍団のものとするのだ!」
サンドロス「をほほほ、張り切ってるドロスわねぇ、バルタンJrちゃん。
次代の幹部候補生たるもの、こうでなくてはいけないドロス!」
怪獣魔王の命を受け……
バルタン星人Jrのコントロールで、進撃開始するガンガー!
空から迫る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
落合さん「あらあらまぁまぁ、何てことでしょう!」
ビーコン「どひ~っ、こんな賑やかさはゴメンっスよ~!(汗)」
宙マン「とにかく逃げるんだ――さぁ、早くこっちへ!」
巨腕ガンガーの猛襲により、たちまち千歳は大混乱!
だが、こんな緊急事態を、航空自衛隊は放置などしない。
直ちに空の精鋭が、最新鋭の戦闘機でスクランブル!
落合さん「あらまぁ、今日も来て下さいましたのね!」
ビーコン「活躍とか成果は置いといて……
やっぱ来てくれると、それなりに嬉しいもんっスねぇ!」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~♪」
「う~ん、なんか微妙にひっかかる気もするが……
まぁいい、とにかく攻撃開始だっ!」
雨あられと叩きこまれる、戦闘機隊のロケット弾!
だが、宇宙金属製の重装甲で覆われた巨腕ガンガーに対しては
その凄まじい攻撃さえも全く通用しない。
バルタン星人Jr「フォッフォッ、愚かな!」
「……う、うわぁぁぁ~っ!」
ガンガーの指先から放たれる破壊光線!
その直撃を受け、一機、また一機と撃墜されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「(ボソッと)あの手……すごく……強い?」
バルタン星人Jr「フォッフォッ、当たり前! 当然! そして常識!
僕が全精力を注いで開発した、巨腕ガンガーは無敵だ!」
指先からの破壊光線を乱射し、猛威を奮うガンガー。
爆発! 炎上!
平和だった千歳の街は、今や大混乱の極みと言ってよかった。
ビーコン「どひ~っ、えらいこっちゃっス!(汗)」
ながもん「ここは、一発……ヒーローの……出番」
ピグモン「はわわ……お願い宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「よしきた、任せろ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、巨腕ガンガーの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
これ以上のヤンチャは、さすがに度が過ぎるってものだぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いえっふ~、出たっス、アニキの十八番!」
落合さん「あぁ、まさしく安心と信頼のシンボルですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ、大見得など切りおってからに……
どうやら勝てるつもりでシャシャり出てきたらしいな、宙マン。
だが、そんな甘い幻想はすぐに消え去るさ――」
バルタン星人Jr「そうとも、僕のこのガンガーの強さの前ではね!」
宙マン「面白い、ならば試してみるかね!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マンーー
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
バルタン星人Jr「戦闘開始! 蹂躙してやれ、ガンガー!」
宙マン「なんの、簡単にやられはしないぞ!」
激突、宙マン対ガンガー!
人々が固唾を呑んで見守る中、攻防戦が大地を揺るがす。
メカニックならではの重装甲と、疲れ知らずのパワー。
五本の太い指とロケット噴射で、野獣の獰猛ささえ感じさせるほどの
巨腕ガンガーの突進の前には、さしもの宙マンも苦闘は避けられない。
バルタン星人Jr「フォッフォッ、どうしたどうした!
もうへばっていたか、息が上がってきてるぞォ!?」
宙マン「……うヌッ!」
相手のパワーに真っ向からぶつかり、呑まれては不利だ。
とっさの判断で素早く後ずさり、何とか反撃のチャンスを掴むべく
敵との間合いを測りにかかった宙マンである。
バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ、バカな宙マンめ!」
バルタン星人Jr「お前がそう来ることぐらい、僕はとっくに予測済みさ。
……それっ、今度はこいつを受けてみろ!」
ガンガーの指から放たれる破壊光線!
得意の回転戦法で、これを回避にかかる宙マンであったが……
連射される破壊光線は、それをも上回る勢いで次々と炸裂。
宙マンの周囲に、凄まじい爆発を生じさせた!
グワーン! ズガガガガーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
ピグモン「はわわわっ……ちゅ、宙マン!?」
ながもん「連続、攻撃……敵ながら……お見事?」
みくるん「って、感心してる場合じゃないよぉ!?(汗)」
ビーコン「あの光線、次にまともに食らった日にゃあ……」
落合さん「いかに、百戦錬磨のお殿様であっても……!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」
バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……いよいよだな、いよいよだぞ。
文字通り、この僕の「手」で地獄へ落ちろ、宙マン!」
「なんの、これしき……やられてたまるかッ!
怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!」
ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!
宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!
まばゆい閃光と共に、ガンガーを直撃したボルトサンダーが
怪兵器の内部メカを猛然と駆け巡り、機能を麻痺させる。
バルタン星人jr「し、しまった、コントロールがっ!(汗)」
宙マン「受けてみろ!
宙マン・フラッシュボンバー!!」
シ ュ ッ パ ァ ァ ー ン ッ !!
右手に集中した闘気を、裏拳とともに勢いよく解き放ち……
赤いエネルギー弾として、敵めがけて叩きこむ荒技。
フラッシュボンバーの一撃で、木っ端微塵に粉砕されるガンガー!
バルタン星人Jr「お……おのれぇぇっ、宙マン!」
バルタン星人Jr「よっくも、よくも、僕の開発した巨腕ガンガーを……
パーよりグーが強いなんて、それ反則だろう!?」
地上めがけて、怪光線を発射する円盤!
だが、慌てず騒がず、プロテクションでこれを無効化する宙マン。
宙マン「どれ、きついお灸を据えてやろうかね!」
上空めがけて、エクシードフラッシュ!
虹色の一閃によって撃墜され、空飛ぶ円盤は空中で大爆発。
バルタン星人Jr「ひょ、ひょえぇぇぇ~っ!
ちゅ、宙マンめぇぇっ……今に見てろよ、覚えてろ~っ!!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
ながもん「やっぱり、宙マン……任せて、安心」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキの手際は鮮やかっス!」
落合さん「えぇ、本当にお見事でしたわ、お殿様!」
イフ「おのれ! よくもガンガーを破壊してくれたな!
だが見ておれ、怪獣軍団の芯の強さと怖さを知るのはこれからだ。
よいか、この次こそ必ずお前をギャフンと言わせてやるぞ、宙マン……!」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
かくして、怪獣軍団の幹部候補生・バルタン星人Jrからの挑戦は
巨腕ガンガーもろとも退けられ、千歳に平穏が戻ったのであった。
みくるん「うふふ、宙マンさん、どうもお疲れ様でした!」
宙マン「いやぁ、これにて一件落着……
……と思ってホッとすると、途端にお腹が減るもんだねぇ!」
ながもん「おお、わかる……すごく、わかるっ」
ビーコン「あれだけの鉄火場のあとっスもん、無理ないっスよ。
まずはとにかく飯っスよ、うーんと旨いもん!」
宙マン「同意をもらえて嬉しいけれど、今度はアレだ……
北海道は旨いものが多すぎて、何にするかがまた悩ましいねぇ」
みくるん「(苦笑)……あは、宙マンさんったら♪」
落合さん「あれこれ迷ったその時は、結局定番に落ち着くものですわ。
……と言うわけで、北の定番・ラーメンはいかがでしょう?
濃厚なコクあるスープが評判のお店、近場にあることですし」
宙マン「んー、濃厚なコクかぁ、有難いねぇ!
一戦交えたその後は、特に「体が求める」って感じだよ」
ピグモン「はうはう~、そんじゃラーメンで決まりなの~♪」
ビーコン「ヒヒヒ、定番いいっスよねぇ、定番!
てなわけでオイラも、滾る愛欲のままに「定番」のアレを……」
むにゅん、ふにふにっ
落合さん「(赤面)……きゃ、きゃあああああっ!?」
げ し っ !
落合さん「ねーい、どうして隙あらばいやらしいんですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~、このオチまで含めての「定番」、ごちそうさまっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
どんな敵でも、超兵器でも……
正義の味方のミラクルパワーにゃかなわない。
今日も有難う、次回も頼んだぞ宙マン!