バルタン星人Jr「宙マンには、これまで幾度も痛い目に合わされました。
既にその恨みは、僕の骨髄にまで達しております――」
バルタン星人Jr「だからこそ今、この僕のために……
長年に渡った屈辱を晴らす機会を、どうぞお与え頂きたいのです」
怪獣軍団の筆頭幹部候補生として将来を嘱望される天才児・バルタン星人Jr。
これまでにも幾度となく宙マンを狙い、そのたびの失敗でプライドを傷つけられ
復讐に燃える彼は、自らの頭脳に裏打ちされた科学力・技術力を駆使することで
ついに恐怖の鉄獣メカ・スカベンジャーD3を完成させた。
猛パワーで千歳の街を破壊する鉄獣メカに、敢然と挑む我らが宙マン。
だが、スカベンジャーD3は強い、実に強い!
バルタン星人Jr「フォッフォッ……
どうだどうだ、ボクの最高傑作は凄いだろう!?
……だけど驚くのはまだ早いぞ、こんな武器だってあるんだからな!」
宙マンめがけて迸る、スカベンジャーD3のレーザービーム!
凄まじい爆炎と衝撃波が、宙マンの巨体を大きくよろめかし……
更にエネルギーの余波が、周囲にまで波及して破壊の渦をもたらす。
爆発! 炎上!
ビルが、自動車が……
そして宙マンが、ビームの威力に次々吹っ飛んでいく!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ながもん「これは……まずいっ……色々と」
ビーコン「まさか、まさかこのままやられちまわないっスよねぇ!?(汗)」
ピグモン「はわわ、そんなの嫌なの、負けないでなの~!」
落合さん「(拳を握り締め)……お殿様……っ!」
だが、その間にもますます激しさを増すスカベンジャーD3の無差別攻撃!
感傷に浸る暇も与えられず、再び逃げることを余儀なくされる落合さんたちである。
四方八方からあがる火の手、轟然たる爆発音が街を揺るがす。
破壊と混乱の中で、なすすべもなく逃げ惑う千歳市民……
もはや千歳の命運は、悪魔の前に潰え去る寸前のように見える。
ビーコン「どひ~っ、どうすりゃいいんスか、この状況!?」
落合さん「……って、私に聞かないで下さいな!(汗)」
ピグモン「ふぇぇん、もうイヤなの、こんなの~!(泣)」
イフ「わはははは! いいぞ、バルタン星人Jr!
お前のスカベンジャーD3こそ、宇宙最強の超兵器だ!
さぁ、宙マンにとどめを刺して、その証を立ててみせよ!」
宙マン「(苦悶)……う、ううっ……」
バルタン星人Jr「フォッフォッ……宙マン、死ねェいっ!」
倒れ伏し、立ち上がれない宙マンへと向かって迫るスカベンジャーD3。
鋼鉄の大顎で、宙マンの頭を一気に噛み砕いてしまうつもりなのだ!
みくるん「ちゅ……宙マンさん、危ないですぅっ!」
絶望的な状況を前に、落合さんたちの表情が凍りつく――
だが、そんな中でも宙マンの闘志は未だ衰えない。
スカベンジャーD3の構造を冷静に分析し、弱点と見做した一点へ
反撃の一撃を叩きこむチャンスを伺っていたのだ!
「ようし――今だッ!!」
のしかかって来たスカベンジャーD3の「脆い箇所」……
腹部と頭部のジョイントめがけて、宙マンの容赦ないキックが炸裂!
不意を突かれ、ダメージを受けて大きく後退する鉄獣メカ。
バルタン星人Jr「(狼狽)し、しまった!」
宙マン「さぁ、今までの分までたっぷりお返しさせてもらうぞ!」
宙マン「トゥリャーッ!」
気合とともに、抜き放ったスーパー剣を大空高く投げ上げる。
そのまま空中において、巨大な鏡へと変形するスーパー剣。
これこそスーパー・ジャンボミラーである!
バルタン星人Jr「そ……そ、それはーッ!?」
宙マン「そうら、行くぞ!」
もはや説明不要、宙マンがもっとも得意とする光線技……
虹色のエクシードフラッシュを、上空のミラーめがけて発射。
そして、その直後に。
上空に静止したジャンボミラーの鏡面が、フラッシュを受け止め……
そのエネルギーを増幅して、再度地上のスカベンジャーD3へ解き放った!
バルタン星人Jr「う、うおおおおっ……っ!」
光波バリヤーを張り巡らす暇もあらばこそ。
増幅されたエネルギーの洗礼に、たまらず大爆発を起こすスカベンジャーD3!
ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンがやったの~!」
ビーコン「さっすがアニキ、鮮やかな大逆転だったっス!」
落合さん「えぇ、本当にお見事でしたわ!」
だが、歓喜に沸く人々の一方で……
燃え続けるスカベンジャーD3の残骸を前に、未だファイティングポーズで
緊張を解く気配を見せない宙マン。
みくるん「(キョトン)ほにゃっ……宙マンさん、どうしたんですかぁ?」
ながもん「まだ、いるのかも。……あの、メカの中に……」
ビーコン「……ってことは、まさか!?」
ながもん「(頷き)……バルタン星人、Jr……!」
「フォッフォッフォッ……!!」
おお――見よ! 驚愕せよ!
スカベンジャーD3の残骸から吹き上がる、炎と煙の中から……
哄笑とともに巨大化して、宙マンの前に立ちはだかるバルタン星人Jr!
宙マン「出たな、バルタン星人Jr!」
バルタン星人Jr「よくも……僕の最高傑作を破壊してくれたな、宙マン!
お前のせいで僕の面子は丸潰れだ、赤っ恥をかかされたぞ!」
バルタン星人Jr「こうなったら、ボクの手で直接お前を……!」
宙マン「いいだろう、どこからでもかかって来い!」
激突、宙マン対バルタン星人Jr!
落合さんたちが見守る中、巨大バトルは第二ラウンドに突入。
バルタン星人Jr「えぇい、食らえっ!」
バルタンJrの鋏から放たれる目潰しフラッシュ!
だが宙マンは慌てず騒がず、クロスガード態勢で目を護る。
宙マン「下らん小細工など通用しないぞ、真っ向勝負で来い!」
バルタン星人Jr「こ、こンのォォォ……ッ!!」
宙マンの挑発に逆上し、鋏をふりかざして襲い掛かってくる星人。
だが、真っ向からの格闘戦においては宙マンの方に分があるのは明らか。
宙マン「それっ、これでもくらえ!」
敵の脳天めがけて振り下ろす、宙マン渾身の垂直空手チョップ!
痛烈な一撃を受け、バルタンJrが目を回しブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バルタン星人Jrを直撃!!
バルタン星人Jr「ひぇぇぇぇ~っ……
ちゅ、宙マンめ、覚えてろ~っ!!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「やりましたね、今度こそ宙マンさんの勝ちですぅ!」
ながもん「やっぱり……宙マンは……こうじゃ、なきゃ」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「う、うぐぐぐぐっ……あと一歩、もうあと一歩のところだったのに!
だが、これしきの事で挫ける怪獣軍団ではないぞ――
この失敗をバネにして、次こそ必ず地球を我らのものにしてみせる!」
……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくて宙マンの活躍により、恐怖の鉄獣メカ・スカベンジャーD3は
操縦者のバルタン星人Jrともども返り討ちにされたのであった。
ビーコン「ヒヒヒ、アニキ、連戦お疲れ様っした!」
落合さん「全く、バルタンの方々のしつこさといったら参りますわよねぇ」
宙マン「いやぁ、一時はどうなることかと思ったけどね~。
でも、無事に勝てたのは、みんなの応援のおかげだよ!」
みくるん「(照れて)……えへへ♪」
ながもん「宙マンの……そんな、ところが……ナイスガイ」
ピグモン「はうはう~、宙マンだいすきなの~☆」
落合さん「あらやだ、ピグモンちゃんたちったら……
その台詞は、本来私が真っ先に言うべきものでしたのに!」
ビーコン「ヒヒヒ、大人げないっスよ~、落合さん。
だいのオトナが、チビっ子の言葉にいちいちムキんなってどうするっスか?」
落合さん「(拗ねて)だってぇ……ねぇ?」
ビーコン「は~いはいはい、チビっ子相手に妬かない、妬かない。
それにそもそも、落合さんにはオイラがいるじゃないっスか――
デュフフフ、いつでもベッドの上で可愛がってあげるっスよ~!?」
落合さん「……ッ……!!(わなわな震えて)」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、貴方のしつこさもバルタン並みですわねっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、ビーコンちゃんの限りなきチャレンジ魂っスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
強敵・難敵・どんと来い!
正義と郷土愛に燃える、宙マンの前に敵はない。
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?