道内某所、荒涼たる“魔境岬”において……
今まさに、我らが宙マンと怪獣軍団との死闘が繰り広げられている。
宙マンの前に姿を見せた挑戦者、二番手はどくろ怪獣・レッドキング。
その比類なき怪力無双に苦戦を強いられた宙マンだが、燃える正義の魂は
窮地の中でも決して怯むことはない。
「トゥリャァァーッ!
宙マン・エネルギッシュ・ボンバー!!」
宙マン「――どうだっ!」
レッドキング「……こんな筈じゃ、なかったんだけどなぁぁ~!?」
やったぞ宙マン、大勝利!
……だが、魔境岬での戦いは、まだまだ終わらなかったのである。
宙マン「(安堵)うん、やった。……やったぞ!」
イフ「ぬふふふ……愚かなり宙マン、お前の眼は節穴か!
ワシら怪獣軍団の此度の挑戦、生半可ではないと言ったはずだぞ!」
宙マン「――何ッ!?」
虚空から不気味に響き渡る、怪獣魔王・イフの声……
その言葉の正しさを証明するように、ゴボゴボと不気味に泡立つ海面!
「ガルッ、ガルルルゥ~ンッ!!」
宙マン「(驚愕)うおっ!?」
イフ「わははは、驚いたか宙マン!」
イフ「ワシらの誘いに応えてくれたお前だ……
怪獣軍団の名にかけ、とことん丁重にもてなさぬ訳にはいくまいて。
「ガウルル~! サイパン島出身の暴れん坊、海底怪獣レイジゃ様だ!
さぁ宙マン、いさぎよくこの場で死んでもらうぜよ!」
宙マン「なんの、そうはいくか!」
宙マン「私にも私の都合があるし、やりたい事だってある。
残念だが、お前たち怪獣軍団の思惑通りにはいかんよ」
レイジャ「ガウルル、だったら腕づくだぁ!」
宙マン「いいだろう、この際とことん受けてやる!」
ファイティングポーズをとり、颯爽と身構える宙マン。
さぁ、世紀のスーパーバトル、第三ラウンドのゴングが鳴った!
激突、宙マン対レイジャ!
魔境岬の岸壁に激しく波が叩きつける中、押し寄せる波音にも負けない力強さで
両者の戦いの打撃音が周囲に響き渡る。
水陸両生だけあって、海岸沿いでの戦いはお手の物。
勢いに乗って襲ってくるレイジゃに対し、宙マンも怯まず立ち向かう。
宙マン「怪獣レイジャ、正義のために貴様を打ち砕いてやる!」
レイジャ「ほざくな宙マン、レイジャ様の爪を受けてみな!」
鋭利な爪を、宙マンめがけて振り下ろすレイジャ!
その一閃を腕でブロックして、すぐさま反撃へと転じる宙マン。
出た、宙マンのローキック!
地味ながらも堅実、そして抜群の威力に、思わず声を失い悶絶するレイジャ。
レイジャ「ぐ、ううっ!?」
宙マン「まだまだ、お次はこれだ!」
ダメ押しとばかりに、宙マンが繰り出すストレート・パンチ!
鉄拳が見事にレイジャの頬桁を捉え、海底怪獣は大きな後退を余儀なくされる。
宙マン「どうだ、参ったか――まだやるか!?」
レイジャ「ガウルル……おんどりゃ~、なめるな~っ!!」
怒りの咆哮とともに、大きくジャンプするレイジャ!
そのまま空中を滑るように舞い、猛スピードで宙マンめがけて突進していく。
宙マン「(驚き)何っ!?」
レイジャ「ガウルル~、これでもくらえッ!」
グワッシャァァ~ンっ!
出た! レイジャの奥の手、メガトン体当たり!
全体重と加速度が相まったその一撃に、たまらず吹っ飛んだ宙マンである。
宙マン「(苦悶)う、うっ……!」
レイジャ「オラオラ、おねんねするには早いぜぇ~!?」
勝ち誇り、口からの破壊光波で攻撃するレイジャ!
宙マンの周囲に光波がうねり、迸り、次々と凄まじい爆発を生じさせる。
迸るレイジャの破壊光波、魔境岬に閃く殺意のエネルギー。
その猛攻を右に、左に、身軽な体捌きで巧みにかわしていく宙マン。
レイジャ「(焦って)チィィッ……ちょこまかと!」
怒りにまかせて破壊光波を吐きまくるレイジャ。
だが、そのパターンを見切った宙マンは、破壊光波の恐るべき一閃をかわして
そのまま一気に大空へとジャンプ!
レイジャ「な、何っ!?」
宙マン「さぁて、今度はこっちがお返しさせてもらう番だな!」
出た! 宙マンの大技、「合掌打ち」!
脳天めがけて炸裂した鉄拳の威力に、レイジャが目を回してぶっ倒れたぞ。
宙マン「でりゃあーっ! 宙マン・ショット!!」
気合とともに、不可視の破壊衝撃波を放つ宙マン!
腹部めがけて炸裂したその一閃が、レイジャへの決定打となった。
レイジャ「ガウ、ガウルルッ……こ、こりゃタマラ~ンっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
宙マン「(安堵)……ようし! 今度こそは……」
イフ「わはははは、そう思うのが貴様の浅はかなところだ、宙マンよ。
さぁ、今こそいでよ――宙マン打倒を為す戦士、必殺の四番手よ!」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
虚空から不気味に響き渡ってきた怪獣魔王の声……
その言葉の正しさを裏付けるかのように、突如として激しく揺れる地面。
ガラガラと山を崩し、岩を吹き飛ばして、地中からその姿を現した者は!
「ギチギチギチギチ……ギッギッギィィ~!」
「……ま た か !!」