極端に漫画チックな誇張に走り過ぎず、抑制をきかせた手堅い演出……
どちらかと言えば海外の一般ドラマを思わせるクール&ドライな作風の中で
随所に盛り込まれるユーモアやウィットにとんだ台詞の応酬などが
テンポを損なわせず軽快な筋運びを可能ならしめる絶妙の潤滑油として機能。
……そしてそれは、これまでのニュージェネ路線とは全く真逆の方法論であり
同時にまた、旧来の『ウルトラ』を愛してやまないファンにとってはむしろ
懐かしくも嬉しい、歓迎すべき舵取りでもあると思います。
と、早くもそんな手放しのベタ褒め状態になってしまっている拙感想文。
や、それもこれも現在放送中の『ウルトラマンブレーザー』が面白いからこそで、
上記の美点は回を重ねるごとにこなれ、際立っているのがひしひし感じとれますので。
バンダイ(BANDAI) ウルトラマンブレーザー DXアースガロン
と、そんなSKaRD(スカード)隊員たちの個性が、訓練やミーティングなどの
「日常」描写の中で軽快に、かつさりげなく語られ……その丁寧さがあるからこそ
今回より初登場となるSKaRD最大の戦力、23式特殊戦術機甲獣アースガロンも
よりその存在感が強調され、魅力的に映ろうというもの。
そのアースガロンの(ほぼイコールSKaRDの)初出動において、既に出撃していた
航空部隊との、指揮系統においての軋轢や齟齬が改めて示されることによって
SKaRDと言う新組織の現時点における立ち位置や、ゲント隊長のやり手ぶりなど
多くの情報量をさりげなく、物語のテンポを損なうことなく明快&軽快に、
煩雑さを感じさせることなく視聴者に伝える手際も淀みなく、流石でしたね~。
そんな堅実かつ「当たり前のことが当たり前に行われる」物語世界において
「怪獣事件」という形で大きな動きを与えてくれたのが、今回のゲスト怪獣たる
甲虫怪獣・タガヌラー君。
様々な昆虫の特徴が盛り込まれ、不思議な愛嬌さえ感じさせる独特のフォルム、
新エネルギーを餌として世界各国を渡り歩く、と言う特徴と生体の明快さ、
体内におけるエネルギー臨界がいつ大爆発を起こすか、と言う危険性が
格闘戦による対応が可能なアースガロンの初出撃を促す……と言った具合に
「怪獣の生態系に対する調査と理解、そして独自対応」と言うSKaRD本来の
職務と使命をしっかりと見せ、その対策こそがドラマであると規定する……
そう、まさしくそれは空想特撮シリーズたる『ウルトラマン』における
本来の物語展開そのものであり、そのプリミティブな魅力を思い切って
現代へと呼び戻してくれたスタッフ陣の姿勢は拍手喝采ものです。
そんな「必要以上にはしゃぎすぎない」誠実なストーリー展開なればこそ
クライマックスでゲント隊長が変身し、怪獣と戦うウルトラマンブレーザーの
「異物っぷり」もまた、尚のこと際立とうと言うもので。
1話めでのビル登り威嚇、2話めでのスパイラルバレード一本釣りに続きまして
今回は体内温度が1万度を超えているというタガヌラーの甲羅に素手で触れた際に
(当然ながら)「アヂッ!!」と声を上げて思い切り熱がると言う、神秘的な
宇宙のヒーローと言うよりは、やはり野生動物的な挙動(笑)を披露。
一部では「うるさい!」と言われがちな、あの巻き舌込みでの咆哮ともども(笑)
毎回ブレーザーが怪獣戦で「何をやらかすか」が大きな楽しみになって来まして
今までも、これからも目が離せません。
ウルトラマンブレーザーとあそぼう! (講談社 Mook(テレビマガジン))
適度に肩の力と息を抜き、けれどやる時はやる「職業人」的な登場人物像。
ダミーの召喚物ではなく「自然界のサイクルの一部」として躍動する怪獣たち。
そして、何をしでかし、何やらかすか全く予測不能の新ヒーロー(笑)!
番組も三話目にしてカードが出揃い、いよいよ「あったまって」きました――
『ウルトラマンブレーザー』、コレかなり良いんじゃないですか!?