遊びをせんとや生まれけり

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『ウルトラマンブレーザー』第2話、見ました!

ニュージェネ路線の単純な継承でも、「温故知新」と言う名の過去退行でもない……

もっとこう、得体のしれない「何か」だったウルトラシリーズ最新作。

その全編をバザンガ攻略の夜戦描写に費やし、あれよあれよと言う情報の洪水によって

半ば視聴者を置き去りにする形で展開された(笑)第1話のあとを受け……

前回のバザンガ戦で嫌と言うほど示された指揮系統の混乱や従来型の組織の限界で

頻発する怪獣対策が後手、後手に回っている現状を受け、特殊機動団の隊長として

臨機応変の指揮ぶりを見せた主人公、ヒルマ・ゲントが指揮する、通常の枠を超え

より臨機応変な対応と独自判断での行動を可能たらしめる「ウルトラ」的特捜チーム、

特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の創設へと繋がっていく構成。

 

この「従来組織の枠を超えた新組織」の誕生を促す前フリにこそ、まずは第1話での

従来型システムの限界を描いておく必要があった、と言うわけで……

この辺の段取りを丁寧に描いていくのは、個人的には『帰ってきたウルトラマン』の

新番組企画書における「怪獣出現に手も足も出ない自衛隊~MAT創設」と言う流れを

彷彿させるところがあったりもしますね。

 

ウルトラマンブレーザーとあそぼう! (講談社 Mook(テレビマガジン))

ウルトラマンブレーザーとあそぼう! (講談社 Mook(テレビマガジン))

 

さて、地球防衛軍の参謀長として、腹に一物、ひとくせもふたクセもありそうな

ハルノ・レツ参謀長の肝いりで、ゲントを隊長とし、メンバーを厳選するかたちで

新たに結成された特捜チーム・SKaRD。

そのメンバーをひとりひとり招集していくと言うかたちで、SKaRD隊員たち個々人の

キャラクター性が改めて視聴者に示され……全体的な俳優陣の演技のテンションは

むしろ一般向けドラマを思わせるような抑え目なかたちにディレクションをしつつ

それぞれのコミュニケーションに伴う微妙な意識の「ずれ」を適度なユーモアとして

物語にメリハリとテンポの良さを生みつつ、そんな適度な肩の力と息の抜け具合が

プロフェッショナルとしての在り方と同時に、無味乾燥な戦闘マシーンではない

人物像としての「らしい」手ごたえに繋がっているのがまた好印象。

 

ウルトラ怪獣シリーズ 197 ゲードス

ウルトラ怪獣シリーズ 197 ゲードス

 

そんな風にして、それまでのニュージェネ枠ウルトラシリーズよりも意識的に

漫画的な飛躍や極端にデフォルメされた人物演出などを抑えめにしている

本編カラーに歩調を合わせ、今回のゲスト怪獣であるゲードスの特撮演出も

やや後方に引いた形ながら、七条島の伝説として江戸時代から語られ続けてきた

その出自が本編中でさりげなく(ここ重要!)語られたり、食欲を充たすために

地上に上陸して工場内のカマボコを貪り食ったり、地球防衛隊の攻撃によって

食事の邪魔をされて怒り狂ったり……と言った、カードなどのコレクションアイテムで

必要に応じて召喚されるダミー、単なる「ヒーローに倒されるための標的」ではない

一個の「生物」なのだ、と言うことがしっかりと示され、本作『ブレーザー』での

怪獣重視の方向性は実に明確で嬉しくなります。

 

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー

ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンブレーザー

 

で、そんなゲードスを迎え撃つのは話題の新ヒーロー……

野獣めいたワイルドな殺陣で我々の度肝を抜いたウルトラマンブレーザー

前回・第1話の池袋戦に特撮演出と予算面のリソースを注ぎまくった直後だけに

今回はかなり簡素なミニチュア配置……ではあったものの、CG合成の力も借りて

しっかり見映えのする演出にできると言うのは2023年のデジタル特撮ならではで

その辺の技術の進歩には素直に刮目せざるを得ません――

 

それにしても今回、ブレーザーがスパイラルバレード(光の槍)を釣り竿にして

深海に逃げたゲードスを文字通り「釣り上げる」とは思っていませんでしたし、

とどめを刺されたゲードスが爆散される直前、串焼きの魚介類みたいな色合いで

こんがり「焼きあがる」とも思わなかった(賞賛)!

 

恐らくは必殺技描写の自由度の高さを示すべく、メイン監督たる田口氏が率先して

他の演出陣に「お手本」を示してくれた、って事なんでしょうね~。

 

ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

ウルトラマンブレーザー DXアースガロン

 

そしてそして、次回……いよいよ「コイツ」が来るッ!