遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

かろやいで! 食欲の秋の巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

秋深し、隣は何をする人ぞ。

読書、スポーツ、芸術に行楽……

皆さんにも、きっとそれぞれの「秋」がおありのことだろう。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115252j:plain

こちらは暗黒星雲の奥深く、怪獣軍団の本拠地。

根っからの荒くれどもが揃った怪獣たちの「秋」はと言えば――

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115259j:plain

イフ「えぇい、おのれおのれ……

 不愉快だ、はなはだ不愉快だぞっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115412j:plain

毎度毎度プリプリ怒ってばかりいる怪獣魔王だが……

今日はのっけから、普段のそれに輪をかけての激昂ぶり。

はてさて、いったい何がどうしたと言うのだろう?

 

 

 

「何だ何だ、どうしたってんだ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115923j:plain

「魔王様、今日はえらくご機嫌斜めじゃねぇか」

「何かと怒りっぽいのは、いつもの事とは言え……」

「ここまでおかんむりってのは、よっぽどだぜ!」

 

ヴィラニアス「おいおい、叔父貴はどうしちまったんだ――

 誰か、詳しい事情を知ってる奴ぁいないのか!?」

スライ「いやはや、事情も何も……例のアレですよ、アレ!」

ヴィラニアス「……アレ?」

スライ「(ため息交じりに頷き)左様で」

 

 

ゾネンゲ博士「いいえ、魔王様、なりませんったらなりません!」

イフ「うぐぐぐっ、お前も強情な奴だな、ゾネンゲ博士!

 一年のうちで最も食い物の美味い“食欲の秋”なるぞ――

 好きなものを好きに食って、何が悪いと!?」

ゾネンゲ博士「(きっぱりと)悪いですっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210508133333j:plain

ゾネンゲ博士「先日の宇宙健康診断の結果、もうお忘れですか――

 最近また血圧が上昇気味ですので、意識して食事の節制を、と

 医者から注意されたばかりではないですか!」

イフ「ふん、医者が怖くて怪獣魔王がやってられるか!

 だいたいワシの体だぞ、ワシの好きなように――」

ゾネンゲ博士「いいえ!

 尊きそのお体、もはや魔王様だけのものではありません。

 ……なればこそ、なおのこと御自重を願います。

 でなければ、配下の怪獣どもにも示しがつきませんので」」

イフ「う、うぐ……ぐぐぐぐっ……!」

 

 

ヴィラニアス「(納得)……ああ、なるほど。そういう事か!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211204234230j:plain

ジャタール「魔王様も、食い意地が張っておられるからなぁ……」

グロッケン「好きに飲み食いできなけりゃ、ストレスも溜まろうぜ」

デスローグ「(頷きながら)ごっ、ごっ」

ヴィラニアス「とにかくだ、今のままじゃ……

 叔父貴の癇癪玉が、こっちにまで飛び火しかねんぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20220105220443j:plain

スライ「(頷き)我々へのとばっちりだけは、絶対に避けねばなりません。

 誰でもいいです、手すきの方は急ぎ、地球へ――

 徹底破壊と侵略で、魔王様のご機嫌をとらねば!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426121441j:plain

おお、何ということであろう?

完全な八つ当たりととばっちりで、我々の故郷・この青い惑星に

またまた巨大な危機が迫りつつあったとは。

 

危うし地球、危うし人類!

が、ひとまずそれはそれとして――。

 

こんち、お馴染み宙マンファミリー。

そんな事とは露知らず、のんびり街を散策中であった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210824001232j:plain

落合さん「あぁ、今日も今日とて……

 清々しい秋晴れの、本当に良いお天気ですわね!」

ビーコン「ヒヒヒ、ほんと、ほんとっスよね。

 暑過ぎもせず、寒過ぎもせず過ごしやすくって……」

ピグモン「はうはう~、歩いてるだけで風が気持ちいいの~」

宙マン「そして、そんな気持ちの良い秋風が吹きぬけて行くこの時期は……

 実に気持ちよく、お腹がすいてくるものだよね!」

ビーコン「どはっ、さすがアニキ、流れるようにメシ話!」

落合さん「今の季節は、やはり新蕎麦ですかしら?」

宙マン「これから道産の質の良い蕎麦粉が出回るようになって

 どのお店も、腕の奮い甲斐があるだろうからねぇ」

ビーコン「いやいや、蕎麦もいいけど鶏の半身揚げも絶品スよ!

 香ばしい身を噛みしめりゃ、じゅわっと肉汁が溢れ出て……」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんも半身揚げ大好きなの~♪」

落合さん「でしたら、中華料理も選択肢からは外したくないですわね。

 何しろ今は収穫期、どの食材もとびきり美味しい季節……」

宙マン「う~ん、こうして話してるだけでも堪らんねぇ!」

宙マン「よーし、それじゃ何か食べに行こうか!」

ビーコン「いえっふ~、異議なしっス!」

 

皆が連れ立って、どこか適当な店に入ろうとした時……

ふと、ピグモンの足がぴたりと止まった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426230146j:plain

落合さん「あら、どうしましたの、ピグモンちゃん?」

ピグモン「(一方を指し)……あ、あれ……何!?」

落合さん「(訝しんで)……あらあら、まぁまぁ!」

ビーコン「どう見ても、ただの煙じゃないっスよ!」

 

もうもうと立ち昇る赤い煙……尋常なものであるはずもない。

むくむくと、巨大な塔のように膨れ上がり、そびえ……

……そして、その中から姿を現した異形とは!?

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430172736j:plain

「ひ~ら、ひらひらぁぁ~っ!」

 

煙の中から忽然と姿を現したのは……

怪獣軍団の一員であり、宇宙の彼方・ササヒラー星出身の宇宙人。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210824002201j:plain

宙マン「そうだ、思い出したぞ。……宇宙怪人・ササヒラー!

ササヒラー「ひらひらァ~、大正解!」

 

koumemylove4794.hatenablog.com

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430172814j:plain

ササヒラー「こちらにも、いろいろと事情があってなぁ……

 話すと長くなるんで、その辺は以下略だ」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430172843j:plain

ササヒラー「ここからは例により、暴れさせてもらうんでヨロシク!」

ビーコン「どひ~っ、乱暴すぎにも程があるっス!(汗)」

落合さん「全くもう、怪獣軍団の方はこれだから……!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202133933j:plain

スライ「んー、ふふふ……

 いかがでしょうか魔王様、ササヒラー君のあの雄姿!」

イフ「ううむっ、これは……期待してよいのだな!?」

スライ「勿論ですとも。……頼みましたよ、ササヒラー君!」

ササヒラー「ひぃ~ららァ~、任せろ、スライ!」

“魔導の”スライの指示を受け、進撃開始するササヒラー!

迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。

ビーコン「どひ~っ、逃げ回るとすきっ腹に響くっス!」

落合さん「あぁもう、せっかくの休日が台無しですわ!」

ピグモン「きゃああんっ、怖いの~!」

 

宇宙怪人の出現で、混乱の巷と化した千歳市

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202085002p:plain

だが地球人とて、ただ座して見ているだけではない――

星人の進撃を阻むべく、航空防衛隊がスクランブルをかけた。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202085033p:plain

ビーコン「おおっ、今日もまたまたお出ましっスよ!」

ピグモン「はうはう~、かっこいいの~!」

落合さん「今日こそは……今回こそは、何とかなりますかしら!?」

「これ以上、市街地の被害を広げてはならん――

 全機、攻撃開始っ!!

最新鋭戦闘機からのロケット砲攻撃!

怪獣のボディや周囲に直撃するたび、激しく火花が飛び散るが……

その威力をもってさえも、ササヒラーは全くびくともしない。

 

ササヒラー「ひらひらァ~、無駄なあがきよ!」

「……う、うわぁぁぁぁ~っ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202085254p:plain

ササヒラーが吐き出す破壊ガス!

その威力の前に、一機、また一機と撃墜されていく戦闘機。

 

ササヒラー「ひらら~、ササヒラー様の実力、とくと見ろ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211130103844j:plain

勝ち誇り、暴れ回るササヒラー。

その暴威によって、平和な街は今や混乱の巷と化しつつあった!

ピグモン「このままじゃ、街がめちゃくちゃなの~!(涙目)」

ビーコン「どひ~っ、もうダメっス、おしまいっス!(汗)」

落合さん「お殿様、どうかここは……お殿様のお力を!」

宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、ササヒラーの前へと舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

 宇宙怪人ササヒラー、今度もまた懲らしめてやるぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426150029j:plain

ズ、ズーンっ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210514152523j:plain

ビーコン「いよっ! アニキ、待ってましたっス!」

落合さん「(頷き)これで千歳は救われたも同然ですわ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173032j:plain

ササヒラー「ひらひらぁ~、出てきたな宙マン!」

宙マン「あぁ、こんな無法を黙ってはいられなくてね!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。

 f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173159j:plain

ササヒラー「ひらひらぁ~、まずはお前を血祭だ!」

宙マン「あくまでやるなら、相手になるぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173234j:plain

激突、宙マン対ササヒラー!

落合さんたちが見守る中、相まみえるは二大宇宙人の巨体。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173308j:plain

じりじりと相手の隙を伺いながら間合いを取り……

真っ向からぶつかり、しのぎを削る両者のパワーと格闘技!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173400j:plain

両手を激しく打ち振り、チョップ攻撃を仕掛けるササヒラー。

それに怯まず、宙マンもまた果敢に相手の内懐へ飛びこんでいく。

 

宙マン「トゥアっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173446j:plain

宙マンのストレートキックが、宇宙怪人の脇腹にヒット!

さしものササヒラーも、これにはたまらずズズッと後退。

 

落合さん「(拍手しながら)これはお見事ですわ、お殿様!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173551j:plain

ビーコン「いえっふ~、このまま一気に押しまくるっスよ!」

宙マン「ああ、やるともさ!」

 

ササヒラー「ひらららら……やらせるかってんだ~っ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173728j:plain

ササヒラーの怒りそのもののように、勢いよく吐き出される破壊ガス!

宙マンはその全身にガスを浴びてしまい、そして……!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173803j:plain

「う、うわぁぁぁぁ……っ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430173848j:plain

ズ、ズーンっ!!

 

落合さん「ああっ、そんな……お殿様!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210429162343j:plain

ビーコン「まずいっス、ヤバい流れになりかかってるっス!」

ピグモン「はわわ……宙マン、まけないでなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430174107j:plain

宙マン「(苦悶)うう……うっ!」

ササヒラー「(嘲笑)今日の勝ちは俺が貰うぜ、宙マン!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430174232j:plain

「いいや……今日もやっぱり、私の勝ちさ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430174342j:plain

宙マン、パワー全開!

ササヒラーの破壊ガスを、ひらりとかわして大空へ。

 

ササヒラー「(驚き)な、何だとぉっ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430174443j:plain

「くらえ! 宙マン・ミラクル・キック!

電光石火の必殺キックに、吹っ飛び倒れるササヒラー。

更に宙マンは、その体を怪力で担ぎあげて……

ダメ押しの宙マン・リフターで、敵を地面に叩きつける!

正義の連続技に、ササヒラーがふらふらになったところへ――

 

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210507004404j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ササヒラーを直撃!!

ササヒラー「ひ~らり、ひらひら……ひらひららぁ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210504104655j:plain

ビーコン「やったぁ、さっすがアニキっス!」

落合さん「銀河連邦の英雄、未だ健在なりですわ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210503104342j:plain

人々の笑顔と歓声が、宙マンの勝利を讃える――

青空の下に立ちつくす巨体は、どこまでも雄々しく、逞しかった。

イフ「ぐぬぬぬ……おのれぇぇ、またしても宙マンめが!

 どこまでワシらの顔に泥を塗り、邪魔をすれば気が済むのか。

 だが覚えておれよ、次こそは思い知らせてくれる!!」

 

……などという、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211130095916j:plain

我らが宙マンの活躍により、宇宙怪人・ササヒラーは撃退され

千歳の街には、再び元の平穏が戻ってきたのであった。

 

落合さん「改めて……お疲れ様でした、お殿様!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211130100527j:plain

宙マン「やぁやぁ、お待たせ、お待たせ!

 一戦交えたおかげでね、もうすっかり腹ペコだよ――」

ビーコン「っしゃ、そんじゃ改めてお食事タイムっスね!」

ピグモン「でもでも、ピグちゃんねぇ……

 美味しそうなものが多すぎて、悩んじゃうの~」

宙マン「あぁ、そうだね。これからじっくり選ぼう!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211227025245j:plain

ビーコン「ヒヒヒ、そんな美味しい食事を堪能したあとは……

 落合さんと言うデザートを、寝室で味わい尽くすっス~!」

落合さん「だーっ! ビーコンさんは、また……!」

 

いつものように、鉄拳制裁が飛びかけて……

ふと、不意に落合さんの右腕がぴたりと止まった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211227033425j:plain

落合さん「(溜息)……やめておきましょう。

 今、そんなことしても、無駄にお腹がすくばかりですわ」

宙マン「まずはしっかり食べて、話はそれからだね」

落合さん「(微笑で頷き)ビーコンさんへのお仕置きは、その後で!」

ビーコン「どひ~っ、おっとろしいコト言わないで欲しいっス~!」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

怪獣・怪人、どんと来い……

千歳の平和は、渡しやしない。

次回もまたまた、宙マン大活躍だよ~!