日に日に、秋の気配も深まりを見せ……
耳を澄ませば、冬の足音も聞こえ出してきたような北海道。
毎度おなじみ北海道千歳市、ほんわか町5丁目の「宙マンハウス」周辺も
今やすっかり、木々の紅葉がはらはらと散り出していた。
と言う大前提のもと、今日も幕を開ける『宙マン』のお話。
毎度お馴染み、「宙マンハウス」の庭先から物語を始めよう。
♪ひとり酒場で呑む酒は 誰に遠慮がいるものか
うっぷん晴らしのホラ吹いて 呷る二級酒 コップ酒~~♪♪
落合さん「……ふぅ。ひとまずは、これでよし……っと!」
みくるん「あ、こんにちは~、落合さん!」
ながもん「……ども」
みくるん「精が出ますね、落ち葉掃きですか?」
落合さん「今の季節は、これもメイドの務めのひとつですから。
掃いたそばから葉が落ちてきて、キリがないですわねぇ」
ビーコン「ヒヒヒ、だったら落ち葉なんて放っときゃいいんスよ~。
どうせ風が吹きゃ、そのままヒラヒラ飛んでっちまうんスから」
落合さん「んーまっ、ビーコンさんったら、またそんなズボラを仰って。
こまめに掃いておきませんと、家の前がみっともないでしょう?」
落合さん「それに、こうして集めた落ち葉を、米糠と一緒に発酵させれば……
ひと冬越した翌春には、お庭用の良い肥料にもなるんですのよ」
みくるん「なぁるほど、メイドの知恵・生活の知恵ですね~。
……あ、それはそうとですね、落合さん。
そろそろ、お腹すいてきません?」
落合さん「言われてみれば、確かに……時間も時間ですし」
みくるん「うふふっ、だったらみんなで外食しましょうよ!
新しいスープカレー専門店が、最近オープンしたばかりなんですよ」
ながもん「ご近所の、口コミでも……評判、上々」
ビーコン「おおっ、スープカレーっスか、久々にいいっスねぇ!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもスープカレー大好きなの~♪」
宙マン「ははは、そんな話を聞いちゃ是非もないねぇ。
どうだい落合さん、これからみんなでそのお店に行こうじゃないか」
落合さん「(にっこり頷き)承知しましたわ、お殿様。
それでは今から支度を致しますので、少々お待ちを――」
だが、そんな平穏無事と思えた日常の風景とは裏腹に。
防衛隊千歳基地の様子が、「基地のまち」と言う特殊事情を鑑みてなお
尋常ならざる、と思えるほどに慌ただしかった。
宙マン「う~ん、なんだかサイレンの音が途切れないと思ったら……」
みくるん「……さっきからやたらと、戦闘機が飛んでいきますね~」
ビーコン「イベントに備えた、アクロバット飛行の訓練っスかねぇ?」
落合さん「それにしては、心なしか様子が仰々しすぎる気が……」
ながもん「おおっ。……みんな、見て……アレ」
ピグモン「はう?」
例によって無表情かつ淡々と、ながもんの指さした空の一角には……
要塞のごとき重厚さで、轟然と飛来してくる巨大怪獣の姿があった!
「ぐもおぉぉぉ~んっ!!」
みくるん「ああっ、空飛ぶ怪獣ですぅ!」
ながもん「怪獣、と言うか。……巨獣?」
ピグモン「はわわ、そういうのは割とどうでもいいの~!(涙目)」
怪獣軍団が送り込んだ刺客、宇宙から来た無法者。
ビージー星出身の巨大怪獣、すなわち“巨獣”ハネダー。
戦闘機体の緊急発進は、この空からの猛威を迎撃するためだったのだ!
イフ「わはは、行け! 大いに暴れろ、巨獣ハネダー!
ビージー星の荒野で鍛えあげた、お前の強さを見せてやれ!」
ハネダー「ぐもおぉぉ~ん、任せて下さいや、魔王様!」
ロケット砲による、戦闘機隊の一斉攻撃!
が、ハネダーは相次ぐロケット弾の直撃をものともせず……
空飛ぶ軍艦さながらに、轟然と空中を突き進んでくる。
「くッ……なんて奴だ、全く効いてないぞ!?」
ハネダー「ぐもおぉぉ~ん、今度はこっちがお返しする番だ!」
「う、うわぁぁぁ~っ!?」
ハネダーが背中の巨大な羽で巻き起こす、破壊的規模の突風!
その渦の中に巻きこまれ、戦闘機隊は次々に墜落させられていく。
みくるん「ああっ、戦闘機隊の皆さんが!」
ながもん「まさかと、言うか……やはりと……言うか」
ハネダー「ぐもおぉ~、地球人なんぞ俺様の敵じゃねぇ!
そぉれ、それそれ、どいつもこいつも吹っ飛んじまえ!」
いよいよ調子に乗って、羽の突風を地上へと叩きつけるハネダー!
その威力によって、自動車が次々に吹き飛ばされ……
ビリヤードの玉のように、次々衝突して大爆発を引き起こしていく。
ビーコン「どひ~っ、秋の空っ風にしちゃちと激しすぎっス~!」
落合さん「そもそも、これはどう考えても災害レベルですから!」
ビーコン「おお、なるほどっス!」
みくるん「……って、そんなこと言ってる場合じゃないですよ~!(汗)」
ながもん「とにかく、このままじゃ……千歳の、大ピンチ」
ピグモン「はわわわ、宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「やむを得ん……宙マン・ファイト・ゴー!!」
待ってました、正義の十八番!
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うハネダーの前に舞い降りる巨体。
さぁ、今日もまた正義の味方のお出ましだ!
ズ、ズーンっ!!
ハネダー「ぐもおぉ~、お前が噂の宙マンか!
同郷の巨獣マリゴスの仇、俺様が討たせてもらうぜ!」
koumemylove4794.hatenablog.com
宙マン「なんの、正義のパワーで返り討ちにしてやる!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
激突、宙マン対巨獣ハネダー!
人々がハラハラと見守る中、巨大な正邪の死闘が展開される。
宙マン「巨獣ハネダー、さっさと暗黒星雲に帰るがいい!」
ハネダー「ぐもおぉ~、そういうワケにゃいかねェんだよっ!」
太い両腕を打ち振り、パンチ攻撃を仕掛けてくるハネダー。
が、宙マンも決して怯まず、敵の間合いへと果敢に飛び込んで反撃。
宙マン「むむっ、なかなかやるな!?」
ハネダー「ぐもおぉ~、ここからがお楽しみだぜ!」
背中の二枚羽で、ひらりと宙に舞いあがるハネダー!
空中をふわふわと舞いながら、攻撃パターンを敵に読ませない
邪悪な軽業で宙マンを翻弄してみせる。
宙マン「くっ……おのれ、チョコマカと!」
ハネダー「ぐもおぉ~、どうした宙マン、目が回ったか?
キリキリ舞いさせてやるぜ、そーら踊れ踊れィッ!」
羽の突風で、豪快に煽るハネダー!
躱しそこねた宙マンは、まともに風圧の衝撃波を食らってしまう。
容赦なく荒れ狂い、四方から叩きつけてくる突風!
耐え忍んでいた宙マンも遂に限界に達し、そして……!
宙マン「う、うわぁぁぁぁ……っ!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ビーコン「どひ~っ、あいつタチ悪いっス、とんでもないっス!」
落合さん「ですが、ここでお殿様が負けるようなことがあれば……」
ピグモン「(涙目)みんなの千歳が、メチャクチャになっちゃうの~!」
ながもん「(口の中で)ファイツ……がんばって、宙マン!」
イフ「わははは……いいぞハネダー、その調子だ!
このチャンスを逃さず、宙マンへのとどめを刺せ!
お前の牙で、奴の喉笛を食いちぎってしまうのだ!」
宙マン「(苦悶)う……うう、うっ!」
ハネダー「ぐもおぉ~、いよいよお前の最後の時だぜ!」
猛然、襲いかかってくる巨獣ハネダー!
だが、宙マンもさるもの――
気力を振り絞って立ち上がり、ハネダーが攻め込んでくる際に生じる
一瞬の隙に賭け、渾身の必殺技を放ったのだ!
宙マン「でりゃあーっ! 宙マン・ショット!」
裂帛の気合とともに、不可視の破壊衝撃波を放つ宙マン!
まともに食らってハネダーが怯み、よろめいたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ハネダーを直撃!!
ハネダー「ぐももも……こ、こりゃたまら~んっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「よかったぁ、今回も宙マンさんの勝ちですぅ!」
ながもん「(頷き)……グッジョヴ」
ピグモン「はうはう~、宙マン、どうもありがとうなの~♪」
イフ「うぐぐぐっ、おのれ、またしても宙マンめが……
怪獣軍団の怒り、その恐ろしさを今に思い知らせてくれる!
よいか、この次こそ、この次こそは必ずだぞ……!」
これだけ毎回やられ続けて、それでも諦めない根性はいっそ見上げたもの。
だが、それは一旦さて置いて……。
今回も宙マンの活躍によって、怪獣軍団の尖兵・巨獣ハネダーは
見事に撃退され、千歳の平和は守られたのであった。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした!」
みくるん「今回は、どうなることかってハラハラでしたけどぉ……」
ながもん「そこは、やっぱり……元・銀河連邦の……英雄」
ピグモン「はうはう~、宙マンかっこよかったの~☆」
宙マン「はっはっはっ、みんなの応援があったからこそだよ」
ビーコン「ヒヒヒ、だけどねアニキ……
怪獣はやっつけても、本当の戦いはここからなんスよね」
落合さん「あら、お珍しい!
ビーコンさんが、そんなまともなこと仰るなんて……」
ビーコン「ヒヒヒ、落合さん、ここからはオイラたちの出番っスよ!
オイラと二人、ベッドルームで力を合わせ、心も重ねて……
それ以外の場所も、ねっちょり重ね合わせて……♪」
げ し っ !
落合さん「ねーい、風とともに去っておしまいなさいっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、風の彼方に宝塚が見えたっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も本当にありがとう、宙マン!
だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……
さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?