遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

ゾーフィからの贈り物の巻

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悪の帝王ロード・ゼッドが自らの「右腕」と呼んで恃む悪の戦士……

甲冑の魔人ヴォイド・ナイト。

彼は配下のモンスター、百の眼を持つ妖人アイ・ガイに命じて

宙マンの戦闘パターンを観察・分析し、更に怪獣ナイフヘッド戦で

体力を消耗した直後の隙をついて宙マンに襲いかかる、と言う

幾重にも用意周到なやり方でヒーローにその剣を向けて来たのであった。

息をもつかせぬ矢継ぎ早の猛攻の前に、容赦なく体力を削り取られて

ギリギリの瀬戸際にまで追い詰められていく宙マン。

そして、遂に……!

ヴォイド・ナイト「よし! アイ・ガイよ、最後の仕上げだ!」

 

 

 

アイ・ガイ「メガメガメガ……見ろよ眼が! キメるぜ眼が!」

アイ・ガイの赤い巨眼が、ひときわ大きく見開かれ……

次の瞬間に放たれた魔の波動が、宙マンめがけて襲いかかった!

宙マン「ぬ、ううっ……っくぅぅっ……!」

アイ・ガイ「クォココココ……そぉれ、そぉれ……!」

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

おお、何ということであろう?

宙マンの巨体がみるみるうちに……なすすべもなく魔の波動によって

アイ・ガイの目の奥にある異空間へと吸い込まれていったではないか!?

 

みくるん「ああっ、宙マンさんが!」

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ビーコン「あ、アニキが……食われた……食われちまったっス!」

ながもん「……そんな……」

ピグモン「はわわわ、宙マン、行っちゃいや~んなの~!」

落合さん「お殿様……お殿様っ!」

 

アイ・ガイ「ゲフッ……一丁あがりですぜ、ヴォイド・ナイト様!」

ヴォイド・ナイト「はははは! ご覧いただけましたかな、我が君よ――

 ヴォイド・ナイトとアイ・ガイ、宙マンめを見事仕留めましてございます!」

ロード・ゼッド「おおっ……!!」

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ロード・ゼッド「ぐぁぼははは……でかしたぞ、流石はヴォイド・ナイト!

 邪魔な宙マンさえ片付いてしまえば、もう地球は我輩のもの。

 遠慮はいらんぞ、存分に暴れて全てを叩き壊せ!」

ヴォイド・ナイト「もとより――そのつもりにございます、我が君!

 もはや宙マンは虚空の彼方で朽ち果てるのみ……

 ゼッド様の覇業を邪魔するものは、もはや誰も居りはしません」

ヴォイド・ナイト「さぁ! 宴を始めよう。

 火の宴、闇の宴、そして地獄の宴……ロード・ゼッド様の世紀のために!

 さぁやれアイ・ガイ、まずは景気づけのファンファーレだ!」

アイ・ガイ「メガメガメガ~、承知ッ!」

宙マンを虚空の彼方に永久追放した今、怖れるものは何もない。

完全に勝ち誇り、傍若無人の進撃を開始するアイ・ガイ……

その様子を眺めながら、満足げに高笑いするヴォイド・ナイト!

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ヴォイドナイト「ハァハハハハ! 泣け、わめけ、愚かな地球人どもよ!

 そなたらの悲鳴こそ、ゼッド様の世紀を祝するこの宴において……

 ほかの何にも代えがたい、最高の美酒そのものよ!」

ビーコン「う~ん、オイラたち、もしかして褒められてるっスか!?」

落合さん「そんなわけないでしょ、ビーコンさんっ!(汗)」

 

おお――北海道千歳市、今まさに絶対の大ピンチ!

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だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない。

直ちに空の精鋭が、怪獣攻撃用の戦闘機でスクランブル!

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 ながもん「おおっ。……ナイス……タイミング」

ビーコン「頼んだっスよ~、航空防衛隊のお歴々!」

落合さん「お殿様がいらっしゃらない今は、本当に皆様方だけが……!」

「ようし、宙マンさんの分まで頑張ろう!……

 怪物への一斉攻撃、開始――」

 

アイ・ガイ「メガメガメガ~、馬鹿め! その隙を与えるか!」

「う、うわぁぁぁっ……!!」

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激しいスパークと共に、アイ・ガイの眼から勢いよく迸る破壊光線!

その威力の前に、戦闘機は攻撃の機会さえ与えられずに撃墜されていく。

 

みくるん「ああっ、やっぱりやられちゃったですぅ!(汗)」

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ながもん「みくるん。……この場合……”やっぱり”は……余分」

みくるん「ううっ、そうだけど……そうなんだけどぉ……!」

 

ヴォイド・ナイトとアイ・ガイ……

二大モンスターの猛攻によって、今や大混乱の千歳市

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「こんな時、宙マンがいてくれたなら……」

それは落合さんたちお馴染みの面々のみならず、この千歳市に暮らし、

平和を愛する全ての人々にとっての切なる祈り、切なる願いであった。

だが、その宙マンは今……

アイ・ガイの巨大な目を入り口にして果てしなく広がる異空間、

「虚空」と呼ばれる次元の裂け目へと追いやられていた。

陸地も、水も、空気も、光も闇も、そして希望も絶望も……

およそ「生」を成り立たせる全てが存在しない、虚無と死の亜空間。

そんな「虚空」に追い落とされた宙マンは、全身のダメージと共に

もはや為す術もなく、緩やかに朽ち果てていくのを待つのみであったが。

 

全く予期せぬところ、予期せぬ者から、救いの声はもたらされた。

「プラネット星の宙マン、目を開け……

 意識を確かに保つのだ!」

 

宙マン「う、ううっ……その声は……君は、誰だ……?」

宙マン以外は誰も存在せず、容易に「来る」ことさえ叶わぬ空間上に

いともたやすく、忽然と姿を現した何者か。

それは全身が金色に輝く、神々しいまでに超然たる一人の宇宙人である。

「私の名は"ゾーフィ"。

 この宇宙の秩序と平穏を見守る監視者にして、裁定者でもある」

宙マン「ああ……そうか、やはり君だったか――」

ゾーフィ「惑星が自己の自然的な変化を遂げるのは構わないが……

 他の外宇宙からの存在が、その惑星に人為的な変化をもたらすことは

 宇宙の掟を破る行為であり、看過することはできない」

ゾーフィ「ロード・ゼッドを名乗る存在は、自らの欲望のため「だけ」に

 平然と宇宙の掟を破って地球の原住知的生命体と彼らの文明に干渉し、

 その中で暮らす君にも危害を及ぼそうとしている」

宙マン「そうなんだ、ゾーフィ。

 だからこそ私は一刻も早く地球へ戻り、彼らと戦わなければ――」

ゾーフィ「(頷き)分かっている。

 だからこそ私はやって来た、君にひとつの「武器」を与えるために」

宙マン「……武器?」

ゾーフィ「……私は、天体制圧用最終兵器を伴ってきた。

 宙マン、君にこれを授けよう。

 これでゼッドも、1テラケルビンの超高熱球で恒星系ごと滅却……」

宙マン「だーっ!! 待った待った、ちょっと待った!!(汗)」

宙マン「昔からの短くない付き合いだから、多くは言わないが……

 ホント、そういうとこだぞ、君は!?(汗)」

ゾーフィ「君の意思と判断は理解した、それは尊重するに値する。

 だが、今の君では、ゼッドの配下を相手取るには力不足なのも事実だ。

 ……教えて欲しい、私は君のために何をしたらいい?」

宙マン「君からの贈り物と言うなら、私も快く受け取りたい――

 だからこそ、軽はずみに恒星系ごと……などと言うのは控えて欲しい。

 ……ぶっちゃけ、「アレ」よりもっと威力抑え目のアイテムを!」

ゾーフィ「……分かった、ならばこれを持っていくがいい。

 これを携え……地球に戻るのだ、宙マン!

宙マン「お……おおおっ……こ、これは……っ!!」

 

と、そんなゾーフィと宙マンとの宇宙的邂逅と対話の間にも……

地球の北海道千歳市では、ヴォイド・ナイトとアイ・ガイの極悪タッグによる

傍若無人の破壊活動が続いていた。

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ズガーン! グワーンっ!

ビーコン「ひぇぇ……もうダメっス、おしまいっス!」

ピグモン「えう~、一体どうしたらいいの~!?」

ヴォイド・ナイト「はははは、歯ごたえがなさ過ぎて物足りぬが……

 もうそろそろ、最後の仕上げにかかるとするか!」

アイ・ガイ「クォコココ、こんな街など一気に叩き潰し……

 ……ぐ、うう、ウギョオオオオっ!?

おお、これはどうしたことだろう?

勝ち誇っていたアイ・ガイが、突然顔色を変えて苦しみだしたではないか。

ヴォイド・ナイト「……ど、どうした、アイ・ガイ!?」

アイ・ガイ「ぎゃ、ぎゃぼぉぉっ、苦し……っガァァァ~ッ!!

苦悶しながら火花を吹き出し、遂に大爆発を起こすアイ・ガイの巨体。

その炎の中から、勢いよく飛び出してきた一条の光、それは勿論……!

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みくるん「(歓喜)わぁっ、宙マンさんですぅ!!」

ながもん「(頷きながら)チョー、信じてた……そう、こなくっちゃ」

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落合さん「お殿様……本当にようございましたわ、お殿様!」

ビーコン「アニキ~、みんな待ってたっスよ~!」

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宙マン「トゥアーッ! 宙マン、帰還! 

 ヴォイド・ナイト、これ以上の乱暴狼藉は許さないぞ!」

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ズ、ズーンっ!!

ヴォイド・ナイト「おのれ、宙マン!

 何物も脱出できぬアイ・ガイの虚空から、一体どのように……!?」

宙マン「(ニヤリ)その秘密は……これさ!」

腰のあたりに生じた光の中から、宙マンが抜き放ったもの。

それは黄金色に輝く、一本の神秘的な長剣であった。

 

ヴォイド・ナイト「……そ、それは……まさか、それはッ!」

宙マン「お前は既にその答えを知っているはずだぞ、ヴォイド・ナイト」

ヴォイド・ナイト「まさか……伝説の、スーパー剣!?」

宙マン「……(静かに頷き)」

 

宇宙の英雄神話における伝説の武器……

正義と平和を守るスーパーヒーローたちの武器、選ばれし勇者の証として

時代、時代の戦いの中で受け継がれ続け、数々の悪の野望を粉砕してきた

伝説の「スーパー剣」のひとふりが、光の裁定者・ゾーフィの手を介して

今またここに、宙マンへと託されたのであった!

ヴォイド・ナイト「しゃら臭いわ……この小生に、こけ脅しなど!」

宙マン「勝負だ! ヴォイド・ナイト!」

激突、宙マン対ヴォイド・ナイト!

伝説の神剣と邪悪な魔剣、ふたつの刃が領有の気迫と意地をこめて

激しくぶつかり、剣戟の音を響き渡らせる。

ガキーン! バキーンっ!

ヴォイド・ナイト「ば、バカなっ……

 剣技において、小生が競り負けて……押されている、だと……!?」

連戦による体力の消耗をものともしない「心」の強さ……

ゾーフィとの邂逅、そして愛すべき仲間たちとの日々に寄せる思い。

それらが支えとなって、今の宙マンにより以上の力を与えているのだ。

宙マン「ヴォイド・ナイト、これを受けてみるがいい!

 スーパー剣・スーパースパーク!

スーパー剣の刃に集中したエネルギーを、一気に解き放つ必殺技!

すかさず、左手の楯でそれを受け止めたヴォイド・ナイトだったが……。

ヴォイド・ナイト「ぐ、うう、うおおおおお……っ!?

グワガガガガーンッ!

 

ヴォイド・ナイト「ば、馬鹿な……我が不滅の楯が、砕かれるなど――」

宙マン「思い知ったか、これが正義の力だ!」

ヴォイド・ナイト「おのれぇぇっ……しゃら臭いわぁぁッ!!」

 

右手の魔剣を振りかざし、怒号と共に突進!

だが、ヴォイド・ナイトの反撃もそこまでであった――

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宙マン「とどめだ!

 スーパー剣・スーパークラッシュ!!

正義の波動を込めた刃を、勢いよく振り下ろす超絶技剣!!

スーパークラッシュが、ヴォイド・ナイトを袈裟懸けに切り裂いた。

ヴォイド・ナイト「ろ、ロード・ゼッド様……万歳……ッ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

みくるん「わぁっ! やりました、宙マンさんがやってくれましたぁ!」

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ながもん「おおっ。……さすが」

ビーコン「伝説のスーパー剣、かっこよくも凄まじいっスね~!」

落合さん「いえいえ、使いこなすお殿様の技量があればこそですわ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

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人々の賞賛と拍手喝采を受け、秋空の下にすっくと立つ巨体。

まさに宙マンこそは、千歳における正義と平和の守護者であった。

 

ロード・ゼッド「う、うがぉぉっ……おにょ~れッ、宙マン!!」

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ロード・ゼッド「よくも……よくも我輩の右腕、可愛いヴォイド・ナイトを!

 今に見ておれよ、今日のこの仕返しは必ずしてやるぞ……

 そのスーパー剣もろとも、お前を地獄に叩きおとしてやるわいっ!」

 

……などと言う、怪獣魔王とほぼ同様の負け惜しみはさて置いて。

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かくして、新たな武器・スーパー剣を得た宙マンの活躍により……

魔人ヴォイド・ナイトは撃退され、今度こそ平和が訪れたのであった。

 

落合さん「今回は本当に……お疲れ様でした、お殿様!」

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ながもん「伝説の、アイテムで……パワーアップ」

みくるん「私たちにとっても、頼もしさアップですぅ!」

宙マン「いやいや、私はもう現役引退の身だからほどほどに……

 だけど、このスーパー剣の力に恥じないよう頑張っていくつもりだよ。

 でないと――」

ピグモン「はう? でないと、どうしたの?」

宙マン「(苦笑)ああ、いやいや、何でもないよ。こっちの話さ!」

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宙マン。oO(でないと……そう、でないと今度こそ本当に。

 ゾーフィが天体制圧用最終兵器を発動させかねないから、ねぇ!)

 

そんな内心の想いを、苦笑いとともに敢えて飲み込む宙マン。

色々な意味で、彼もまたひとりの「大人」には違いなかった。

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ゾーフィから宙マンの手に……

託された大いなる力、銀河伝説の「スーパー剣」。

その輝きとともに、これからも千歳を頼んだぞ!