暦は五月、日本全国津々浦々……
爽やかに晴れ渡った青空のもと、ゴールデン・ウィークまっさかり!
ともなると、家にとどまってじっとしているだけではおさまらず
出先の人混みは覚悟の上で、イベント参加したり遠出をしたりして
楽しい空気の中に飛び込みたい、と考えるのも自然なことで。
と、言う大前提のもと。
今回の『宙マン』は、古い歴史を誇る「硝子と運河のまち」こと
北海道の後志管内、ここ・小樽市から物語を始めよう。
ビーコン「いえっふ~! はるばる来たっス、おたる街~!」
みくるん「うふふ、のっけからハイテンションですね、ビーコンさん!」
ながもん「むしろ、そうならない……理由が、ない?」
ピグモン「はうはう~。
ピグちゃんも旅行楽しみにしてたから、ビーコンちゃんの気持ちわかるの~」
落合さん「でも、くれぐれもお行儀よく……ですわよ!?
ただでさえビーコンさんは、普段の素行が素行なんですから……」
宙マン「はっはっはっはっ、まぁまぁ、落合さん♪」
毎度おなじみ、宙マンファミリー。
このGW期間は「ご近所さん」のコロポックル姉妹と連れ立って
千歳市を離れ、小樽へ旅行にやってきたのであった。
もちろん宙マンの超能力を使えば、電車などを使う必要もなく
千歳から小樽までは軽くひとっ飛びなのだが……そこはそれ、
じっくり時間をかけて旅情を味わうのもまた一興、と言うことで。
落合さん「小樽にもこうして無事に到着しましたことですし……
お殿様、これからいかが致しましょうか?」
宙マン「ホテルのチェックインまでにはまだ間があるし。
時間も時間だ、まずはどこかでランチにしようじゃないか」
ながもん「(頷き)腹が減っては……いくさが……出来ぬ」
みくるん「ながもんったらぁ。
小樽まで来て”いくさ”はないでしょう~?(苦笑)」
ピグモン「とにかくご飯なの、ピグちゃんおなかペコペコなの~」
落合さん「えぇ、落合的にも諸手を挙げての大賛成ですわ」
ビーコン「よーし、そうと決まりゃレッツラ・ゴーっス!」
そんなわけで、まず宙マン一行が向かった先はこちら……
小樽港の「海の玄関」のひとつとも言うべきフェリーターミナル。
落合さん「このですね、ターミナル・ビルの二階に……」
ビーコン「ヒヒヒ、オイラたちのお目当てがあるんスよね!」
船着き場としての役割とともに、二階にはショップやレストランがあり
市民や観光客にとっての憩いの場ともなっているターミナル・ビル。
その二階レストランで、彼らを待っていたのは――
宙マン「じゃじゃーん、小樽名物・あんかけ焼きそば!」
ビーコン「これこれ、これが食いたかったんすよねぇ!(じゅるり)」
落合さん「ビーコンさんったら、よだれよだれッ(汗)」
ながもん「この街、ならではの……ご当地、グルメ。
小樽の、ソウルフードと……呼ぶ人も……多い、みたい」
みくるん「わぁ~、とってもいい匂いですぅ~」
落合さん「何はともあれ、アツアツのうちに……いただきます!」
ビーコン「もぐもぐ。ずずず……おおっ!」
宙マン「見た目以上にずっと、この餡があっさりしているねぇ。
ボリューム感の割に「重たくない」のがまた良いよ!」
みくるん「もぐもぐっ、この麺の焦げ目がまた良いですよね~!」
ながもん「絶妙な……食感の……アクセント」
ピグモン「はうはう~、とっても美味しいの~♪」
宙マン「いやぁ、旨い旨い、実に幸先のいいスタートだよ!」
あんかけ焼きそばに舌鼓、小樽への到着早々にしての上機嫌で
旅行気分に早くも浸りきっている宙マンファミリー。
だが……。
そんな宙マン一行の楽しげな様子を快く思わず、むしろ苦々しく
憎悪さえこもった視線で見つめている者。
そんな憎悪の主が、地球を遠く離れた土星の第二衛星……
極寒の星・エンケラドゥスの魔城にいた。
ロード・ゼッド「ぐぬぬぬっ……何がゴールデンウィークだ、大型連休だ!
貴様らの愉しみと未来は、この我輩の手で叩き潰してくれるわ――
おうよ、今こそ大々的に小樽侵攻作戦の開始と行かせてもらおうか!」
「ウソル・デラピダトーレ・テンタトーレ・ソイナトーレ……
デボラトーレ・マンシトーレ・エシェデュクトーレェ……
朽ち果てし万物の精霊よ、大気に遍く邪悪の意思よ!」
「悪の心を呼び醒まし、魔可異の姿を創り出せ!
カァァーッ!!」
Zスタッフから地球へと迸る、邪悪そのもののエネルギー!
その矛先は、ちょうど美味しいランチを堪能して満足げな
宙マンファミリーのいる小樽市を直撃せんとしていた!
ズゴゴゴグワーンッ!!
みくるん「きゃ、きゃあぁぁぁんっ!」
落合さん「あらあらまぁまぁ、一体どうしたことでしょう!」
ビーコン「どひ~っ、天変地異の前触れっスかねぇ!?」
すわ何事と、ビルの外へ飛び出した宙マンたちの目の前に……!
「グェルルルぅぅ~っ!!」
みくるん「はわわ、怪物です、お化けです~!」
ながもん「いつもの……怪獣軍団じゃ……なさそう?」
ピグモン「えう~、なんでもいいけど怖いの~(涙目)」
宙マン「そうだ、思い出したぞ。
……お前さん、確かロード・ゼッドのところの……!」
よく覚えていたな、それは褒めてやるぞ、宙マン!」
koumemylove4794.hatenablog.com
落合さん「んもうっ、以前にお殿様にとっちめられておきながら……」
ビーコン「ほんとにまったく、悪党ってやつぁ。
……どいつもこいつも「懲りる」ってコト知らないっスねぇ!」
キングスフィンクス「グェルルル、何とでもほざけ!」
ロード・ゼッド「ぐぉぼははは……猛り狂え、キングスフィンクス!
大型連休などと言って浮かれる、人間どもの頭を冷やし……
なんだったら、みんなまとめて息の根も止めてしまえィ!」
キングスフィンクス「ははぁーッ! お任せ下さい、マイ・ロード!」
ゼッドの命を受け、進撃開始するキングスフィンクス!
観光客も市民も、こうなってはただ逃げ惑うより術がない。
落合さん「あぁもう、小樽に来てまでこんな目に合うなんて……」
ビーコン「マジで宇宙の悪意ってやつを疑いたくなるっスねぇ!」
みくるん「ふぇぇん、いいから早く逃げなきゃですぅ~!(汗)」
小樽を襲った突然の危機!
だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない。
直ちに空の精鋭たちが、最新鋭の戦闘機でスクランブル!
ビーコン「いえっふ~、ナイス・タイミングっス!」
落合さん「ナイスな戦果にも、大いに期待させて頂きますわね!」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし…… 全機、一斉攻撃開始っ!」
高火力のロケット弾が、矢継ぎ早やに叩きこまれる――
だが、戦闘機隊の奮戦にも、全く動じる様子を見せない魔人獣。
キングスフィンクス「出来損ない野郎ども、まとめて堕ちてっちまえ!」
「……う、うああぁぁぁ~っ!!」
キングスフィンクスの杖から連射される火炎弾!
その直撃の前に、次々と撃墜されていく戦闘機隊である。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「これじゃ……観光、どころじゃ……ないかも?」
ピグモン「えう~、せっかく来たのに、そんなのないの~!」
……とか何とか、嘆いたりぼやいたりしている間にも。
キングスフィンクスの猛攻によって、平和そのものだった小樽市は
悲鳴が渦巻く、破壊と混乱の巷と化しつつあった!
キングスフィンクス「グェルルル、見たか、我が実力!」
ビーコン「どひ~っ、すっかり調子乗ってるっス!(汗)」
ながもん「ここは、一発……ヒーローの……出番」
落合さん「お殿様、今日もまた……お願いできますか!?」
宙マン「仕方ない、やるしかないか! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、キングスフィンクスの前へ舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
ゴールデンウィークの平和を乱す者には容赦しないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「ヤッター! アニキはやっぱこうじゃなきゃっス!」
落合さん「小樽でも一段と素敵ですわ、お殿様……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
キングスフィンクス「グェルルル、そうこなくてはな……
いつぞやの屈辱を晴らす、絶好の機会到来だ!」
宙マン「……残念ながら、それもぬか喜びに終わると思うがね!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
小樽でもまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
ぎゃあ! ぎゃあ!
けたたましく鳴きながら飛び回る海鳥たちの声が、超人と怪物との
巨大戦開始を告げるゴングとなった。
激突、宙マン対キングスフィンクス!
歴史ある小樽の街並みを舞台に、攻防戦が火花を散らす。
携えた魔法の杖を縦横に揮うキングスフィンクス!
叩きつけられる痛烈な打撃ををクロスガードで受け止めながら
宙マンも相手の隙を伺い、果敢に反撃へと打って出ていく。
キングスフィンクス「グェルルル、相変わらずやるな!?」
宙マン「みんなの平和と、私たちの旅行がかかっているからね!」
キングスフィンクス「がーっ、相変わらず余裕かましおってからに!」
宙マン「とんでもない、こっちだってもう必死さ――それっ!」
唸りを上げ、鋭く決まる宙マンの浴びせ蹴り!
その打撃を受けて、よろめき後退するキングスフィンクス。
キングスフィンクス「おのれ、これでもくらえ!」
魔法の杖から放たれる火炎弾。
その連射を、得意の回転戦法によってことごとくかわして……
遂に宙マンは今、伝説の「スーパー剣」を抜き放った!
キングスフィンクス「げげぇっ、それはもしや……」
宙マン「そうとも、これがスーパー剣。
悪を切り裂く伝説の聖剣にして、ゾーフィからの贈り物さ!」
キングスフィンクス「こけ脅しを……よし、ならば勝負だ!」
宙マン「いいだろう、とことんやらせてもらうッ!」
小樽を舞台に繰り広げられる大激戦!
海風とともに、北の大地に響くのは……
正義の凱歌か、あるいはヒーローの断末魔か!?