平和を愛する千歳市民の一人、正義の味方・宙マンの活躍によって
北海道千歳市は、今日ものどかな平和の中にあった。
だが、決して油断はできない。
暗黒星雲に巣食う怪獣軍団は、次にいかなる凶悪怪獣を送りこみ
再びどんな侵略計画を実行に移すか、誰にも分からないのだから。
「侵略者」は……あなたの、隣にいる。
……そして。
今、まさに、この瞬間にも……
怪獣軍団からの使者は、千歳市内にまんまと潜入・潜伏を果たして
人知れず暗躍を続けていたのである。
「ぐおおお~んっ!!」
おお、見よ! 驚愕せよ!
紅葉の彩りも鮮やかな秋の千歳市内に、忽然と現れたる異形!
異様な唸り声、鎧のように分厚い髭、巨大発達した耳……
幾度も地球を襲い、宙マンとも死闘を繰り広げた異次元宇宙人。
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怪獣軍団の一員であり、かのイカルス星人の同族にあたる彼は
千歳市内に一市民として潜伏し、地球侵略と宙マン打倒のために
詳細なデータを収集するのが使命であった。
イフ「お前にその使命を与えて……
もうそろそろ三か月になるな、イカルス星人よ。
……ズバリ聞こう、「仕事」の成果はどうだ?」
イカルス星人「ぐぉぉ~んっ、抜かりはございません、魔王様!」
イカルス星人「じっくりと腰を据えての「仕事」環境を与えて下さり……
魔王様の寛大な御心には、感謝の言葉もございません。
おかげさまでたっぷり、満足のいくデータが取れました!」
イフ「おおっ、素晴らしい!」
イフ「詳細な報告は、後ほど提出してもらうとして……
まずはその、なんだ。
ちょっとサワリだけでも聞かせてくれぬか、お前の成果を?」
イカルス星人「ハハッ、仰せのままに、魔王様!」
イカルス星人「では、まずはですね……
今月中に食べ歩いた、あんかけ焼きそばの話でも」
イフ「(目がテン)……へっ?」
イカルス星人「(構わず)こってり風の見た目よりも、ずっと淡くて
あっさりした味わいで頂けちゃうって言うのは……
海鮮具材の味わいを引き立てる大命題もあるからでしょうし、
豚肉を敢えて用いてないからでもあるのではないかと」
イフ「(ピクピク震えて)ぐ、ぐぬぬぬっ……!」
イカルス星人「で、焼かれた麺にこんがり、パリパリ焦げ目がついて
そこがまた、食感における絶妙のアクセントにもなって……
楽しく、美味しく、結構この上なしですよ!」
イフ「……おお、そうかそうか、それは確かに食欲をそそるな!
で、イカルス星人よ、地球侵略のデータの方は……」
イカルス星人「(いけしゃあしゃあと)やぁ、ははははは。
まずはラーメン屋巡りに力を注いだ分、他のデータ収集は……
……ねぇ、今更申し上げるまでもないでしょう?」
イフ「(ワナワナ震えて)お、お前と言う奴は……」
イカルス星人「と、言うわけでですね!
更なる新たな美味の開拓のため、これからも千歳への滞在と
そのための活動資金の上乗せを!
いやぁ、魔王様の寛大な御心には感謝の言葉も……」
イフ「……こ、この大馬鹿者めが~っ!!」
イフ「黙って聞いていれば何だ、肝心の使命そっちのけで!
……えぇいっ、かくなる上はその失態を償え!
今すぐお前自身の手で、千歳の街を徹底破壊せよ!」
イカルス星人「……ひぇぇぇっ、仰る通りです、只今すぐに~っ!(汗)」
イカルス星人「(ボソッ)やれやれ、魔王様もシャレの分からないお方だなぁ……」
イフ「……何か言ったか、あ゛あ゛っ!?」
イカルス星人「(慌てて)ああ、いえいえ何でもございません!」
「ぐっ、ぐっ、ぐおおお~んっ!!」
自らの失態は、自らの手で償うべし。
悪の掟に従って、唸り声と共に激しいスパークを放って巨大化……
みるみるうちに、天を衝く巨人と化したイカルス星人。
その威容は当然、多くの千歳市民に目撃されていた。
ピグモン「あっ! みんな見て、何か出てきたの!」
落合さん「あらまぁ、本当!」
ビーコン「見覚えがある、っつーか……
このシリーズだともう、毎度お馴染みっぽい顔っスねぇ!」
宙マン「(頷き)異次元宇宙人・イカルス星人か。
……しかも今度もまた、穏やかじゃない雰囲気だねぇ」
イカルス星人「おおっ、雰囲気で察してくれるか、ありがとう!
仕事で下手こいて、それを帳消しにしないと……
そんなわけで、今から暴れるんで、ヨロシクぅ!」
落合さん「全力でお断り致しますっ!(汗)」
ビーコン「……っても、聞いちゃくれないんスよねぇ!(汗)」
イフ「行け! お前の力で千歳を壊滅させるのだ!
イカルス星人よ、見事に使命を成し遂げた暁には……
先の失態は帳消しにし、更に特別褒賞が待っておるぞ!」
イカルス星人「ぐぉぉ~ん、有難い仰せで!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するイカルス星人!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、シゴトで何やらかしたか知らないっスけど……」
落合さん「そのとばっちりで、私たちも大迷惑ですわね!(汗)」
ピグモン「きゃああんっ、とにかく怖いの~!(涙目)」
今日もまたまた、大パニックの渦中へ叩きこまれる千歳市。
だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない――
直ちに空の精鋭たちが、最新鋭の戦闘機でスクランブル!
ピグモン「あ、航空防衛隊のおじさんたちなの!」
ビーコン「出前迅速、スクランブルも迅速。
あとはもうちっと、その速度に成果が見合ってくれりゃ……」
落合さん「(慌てて)……シーッ。それは言わないお約束ですわよ、ビーコンさん」
「だーっ、あの家族は毎度毎度言いたい放題……
まぁいい、とにかく一斉攻撃だっ!」
だが、その相次ぐ直撃にも、全く怯むことなく前進を続ける
異次元宇宙人の獰猛な巨体。
「なっ……効いてない、だと……!?」
イカルス星人「ぐぉぉ~ん、地球人ごときに遅れをとる私かよ!」
穏やかだった千歳の街に、絶体絶命の危機迫る!
ピグモン「はわわわ、街が、街がたいへんなの~!」
ビーコン「どひ~っ、ここは一発、ヒーローの出番スよ!」
落合さん「お殿様、今日もまた……お願いできますか!?」
宙マン「ようし、やろう! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
荒れ狂うイカルス星人の前へ、敢然と立ちはだかるこの雄姿!
ビーコン「いえっふ~、これでもう一安心っス!」
落合さん「今日も頼りにさせてもらいますわ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
イカルス星人「ぐぉぉ~ん、おのれ宙マン……
毎度毎度、我々怪獣軍団の邪魔だてばかりしおって!」
宙マン「ああ、とっくに現役を引退した身とは言え……
目の前でこんな狼藉を働かれて、見て見ぬふりが出来るほど
心は枯れちゃいないつもりだよ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
イカルス星人「ぐぉぉ~ん、だったら勝負だ、宙マン!」
宙マン「さぁ来い、イカルス星人!」
片や軽快なフットワーク、片や不気味な瞬間移動で……
じりじりと間合いを詰め、同時に突進していく両者。
イカルス星人「ぐぉぉ~んっ!!」
激突、宙マン対イカルス星人!
千歳の街を揺るがし、ふたつの巨体が鎬を削りあう。
持ち前の獣性を前面に顕し、荒々しく迫り来るイカルス星人。
その猛攻をかいくぐりつつ、宙マンも怯まず渡り合っていく。
イカルス星人「ぐぉぉ~んっ、おのれぇぇっ!」
宙マン「おおっと、隙あり!」
ストレート・キックが空を切る!
脇腹に直撃を食らって、ずずっと後退したイカルス星人めがけて
手を緩めることなく、更なる追い打ちをかけていく宙マン。
イカルス星人「ぅお、ぐぉぉぉぉっ!?」
宙マン「そぉれっ――お次は宙マン・リフターだ!」
ズ、ズーンっ!
落合さん「お見事なタイミングですわ、お殿様!」
ビーコン「っしゃ、こうなりゃ完全にアニキのペースっス!」
ピグモン「宙マ~ン、いけいけゴーゴーなの~!」
宙マン「どうだ、思い知ったかイカルス星人!
地球でも、そしてどの宇宙でも、正義に勝てる悪などないんだ!」
イカルス星人「調子に乗るなよ、宙マン!
こうなれば奥の手だ……ヌオオオ、どりゃーっ!!」
気合一閃、放たれたイカルス星人の必殺技!
全身からエネルギーを解き放ち、平野を一瞬に焦土へ変えてしまう
恐るべき威力の“アロー光線”である。
宙マン「なんの!」
だが、宙マンは慌てず騒がず冷静に……
アロー光線の軌道を見切り、ひらりとかわして大ジャンプ!
イカルス星人「な、ナヌっ!?」
宙マン「行くぞ、イカルス星人!」
宙マン「エイヤぁぁぁーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
出た、電光石火の必殺技!
燃える足先が、イカルス星人の胸板を砕き割るように炸裂!!
イカルス星人「こ、これは……これは痛烈ぅぅ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「やりましたわ、流石お殿様です!」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキはこうじゃなくちゃっス!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこいいの~♪」
イフ「おのれ、またしても……宙マンめ、よくもやったな!
だが、これしきで終わったなどとは思うなよ。
次なる魔の挑戦は、既に始まっておるのだ……!」
……という、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
怪獣軍団の恐怖の使者、イカルス星人を撃退し……
かくてまたまた、見事に北海道の平和を守りぬいた宙マン。
そんな彼を讃えるように、降り注ぐ秋の陽光もひときわ眩しかった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」
落合さん「これでどうにか、私どももホッと一息つけますわ」
宙マン「そう言う何気ない時間や、静かな小休止も……
全ては、今のこの平和があってくれてこそのものだよねぇ」
ピグモン「はうはう~、宙マンのおかげで千歳は平和なの~♪」
ビーコン「そう、ゆったりまったり、大いに結構!
で、そーやって一息入れた後は……
また新しい気持ちで、次の仕事に全力投球っスよ~」
落合さん「あら、ビーコンさんらしからぬ真面目なご発言ですこと!」
ビーコン「ヒヒヒ、オイラの仕事はねぇ……
肉悦とROCKの御名にかけた、「愛」と言う名の仕事っス~☆」
むにゅん、ふにふにっ
落合さん「(赤面)……きゃ、きゃああああっ!?」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、よっくもいけしゃあしゃあとっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、次回も懲りずに頑張るっスよぉぉ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
怪獣・星人、何でも来い!
負けやしないぞ、宙マン・パワー。
次回の活躍にも、乞うご期待!