前回、V99案件を受けてのハルノ参謀長の謹慎処分……
……と言う衝撃的な幕引きを受けてからの、今週の『ウルトラマンブレーザー』。
が、まさかSKaRD隊員たちの学芸会レベルの棒読み芝居から始まってしまうとは
神ならぬ身の誰が予想しえたでありましょうか(笑)!?
……や、このシーン、次回予告映像の段階ですでに紹介されてはいたものですから
一体何が始まってしまうのか、と色んな意味でハラハラドキドキだったんですけれど
まさか、「怪獣が出て来た時のための対処法講座」と言う、お役所仕事にありがちな
一般市民向けの啓蒙活動の練習であったとは(笑)。
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最前線の特殊部隊としては考えられない任務まで課せられるようになったことで
「ああ、今まではこのテの与太任で現場を煩わせることのないように、参謀長が
しっかり壁になって押しとどめてくれていたんだなぁ……」と、思わぬかたちで
今は謹慎中である参謀長の存在感の大きさを視聴者に実感させてくれると言う
『ブレーザー』らしい意外性ある切り口と文芸面での抜かりなさ。
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そう、どこもかしこも、怪獣退治の最前線さえも色々世知辛いんです――
で、そんな急遽押し付けられた任務だけに隊員たちがみんな棒読み演技のところ
日頃から潜入捜査などで独自の単独行動をとることの多いエミ隊員のお芝居だけが
異様に上手すぎて一人だけ浮いてるのも、らしくて笑っちゃいました。
そんな小ネタの失笑ぶり(割と褒めてます・笑)の一方で、本筋の方はと言えば
意外と真面目にも(失礼)、実家で農業を営むナグラ家の父親と息子・テルアキとの
言葉は少ないながらも確かに思いは通じ合い、また同時にそれぞれの生き方に対しての
理解を深め合っていく、これもまら「コミュニケーション」のひとつの形を示すと言う
しみじみと感動的な、そしてしっかり『ブレーザー』らしい展開に。
勿論そんな人間サイドのドラマの一方では、農業地帯の土壌を急激に変質させると言う
静かなる異変を通じて、昆虫タイプの怪獣ズグガンの恐るべき生態と、それによって
否応なく迫る人類の生息県への脅威が物語の主軸となるわけなのですが。
……あ、今回は人間大サイズの幼虫がソフビ化されて店頭に並んでいますけれどの
大鎌を携えた成虫ズグガンも商品化の予定はあるそうですので、そこは一安心(笑)。
そう、ズグガンからしてみれば、あくまでも彼らが「生きる」ための真摯な行動であり
またそれだけに質が悪いからこそ、SKaRDとしては「駆除」と結論せざるを得ない
どうしても譲れないシビアな一線を、押しつけがましくなく、あくまでも大人の社会の
ひとつの在り方として自然に見せてくれるのも本作ならではの良さ。
いやはや全く、農地の土壌にまつわるあれやこれやも、人里におりてくる害獣被害も
なにげに北海道民的には結構シャレになってない、身近な問題だったりするもんで
視聴中、ところどころ本気で身につまされちゃいましてね~(汗)。
そんなシビアさの一翼を担うからこそ、ズグガンも決して必要以上に可愛らしかったり
不必要な戯画的デフォルメに陥ることなく、あくまで真摯に「ヤバい生き物」としての
爽やかな土曜朝に相応しいギリギリのレベルで「怖さ」をアピールしてくれました。
人間大サイズのズグガンが群れを成して迫りくる怖さは虫嫌いのアンリ隊員ならずとも
思わずドン引きするような生理的嫌悪感がありましたし、そんなズグガンたちが鳴らす
「虫の音」が仲間に危険を知らせるためのサインであり、その生態を逆手に取る形で
ピンチを打開し、とどめの大逆転に繋がっていくと言う、「生物としての怪獣」像と
ブレーザー&SKaRDとの連携を淀みなく結びつけていくラストのカタルシスもまた
「怪獣もの」として隙がなく、朝から気持ちよく膝を打ちましたね~。
そして「虫嫌い」と言う設定があり、本話でもところどころでそういう反応をしつつも
それはそれとして、任務には公私混同なく真摯に覗むアンリ隊員は本当に立派(笑)!
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そして、最後にやはりこれだけは書き記しておかねばならないでしょう。
テルアキから茨城山中での異変の報告を受け、即座に出撃命令を下したゲント隊長が
命令違反を心配する隊員たちに、にやりと笑って一言――
「こういう時の必殺技がある。……事後承諾だ!」
そう言った時の蕨野さん……いえ、ゲント隊長のわっるい顔(笑)!
現場レベルの指揮官として、ただ汲々として「上」の指示に従うだけではない
気骨ある切れ者っぷりを視聴者に示して余りありますし、そんな彼が主人公である
『ブレーザー』だからこそ、大好きになれたのだと改めて実感できること必至です。