遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

なぐりこみバルタン連合軍の巻

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遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……

今日も虎視眈々と、地球を狙い続けている恐怖の怪獣軍団。

今日もまた、新たなる悪の使者が地球を目指して飛び立った。

 

「フォッフォッフォッ、親愛なる読者諸君……

 今日と言う日が何の記念日なのか、知っているかね?

 ……なに、知らない? ならば教えてやろうじゃないか――」

「フォッフォッ、そうとも、そうだとも!

 今日はもちろん、我々偉大なバルタン星人の総攻撃で一気に地球を征服し、

 怪獣軍団の上に栄光が輝く戦勝記念日なのだ! フォッフォッフォッ……」

 

 

「さぁ行け、我が同胞、栄光あるバルタン星の戦士たちよ!

 徹底的に攻撃し、手当たり次第に破壊しろ――

 第一の攻撃目標は北海道の空の玄関、千歳市だ!」

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ついに一族の総力を挙げて、地球総攻撃に乗り出したバルタン星人たち。

圧倒的な数の大軍勢が、千歳の空を覆い尽くす勢いで殺到し……

平和だった街は、たちまち阿鼻叫喚と混乱の巷と化した!

「フォッフォッフォッ、驚け、騒げ、地球人ども!

 怪獣界屈指の名門、バルタン星人の底力を思い知らせてくれるわ!」

何しろ種族の多彩さと「層の厚さ」が大きな売りの大メジャー宇宙人だけに

よく見るとその姿かたちには様々なバリエーションが認められるものの……

邪悪な姿と行動は、全宇宙に破壊と混乱をもたらす元凶であることに違いはない。

そんなバルタン星人たちを迎え撃つべく、航空防衛隊の千歳基地からは直ちに

最新鋭の戦闘機隊が果敢にスクランブルをかけるが……。

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「フォッフォッフォッ、ヘソが茶を沸かさァね――

凝りもせずにガン首揃えて、わざわざ撃ち落されに来るとはな!」

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「野郎っ、とことんバカにしやがって……

えぇい!全機、星人への一斉攻撃だ!

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攻撃、攻撃、また攻撃!

バルタン星人めがけて、嵐の激しさで叩きこまれる一斉砲火。

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いつも以上の発奮っぷりで、バルタン星人を攻撃する戦闘機隊。

果たして今回こそは、その努力と意気ごみが正しく報われ……

星人を撃退して、千歳を守り抜くことが出来るであろうか!?

 

バルタン星人「フォッフォッ、無駄なことを!」

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「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」

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……出来ませんでした。

 

「……って、そんな風にまとめないでよぉぉ~っ!(涙)」

「フォッフォッフォッ、見たか見たか!

これでもう、この地球はバルタンの手に落ちたも同じよ!」

 

宙マン「おのれ、もう許さんぞ

 宙マン・ファイト・ゴー!!」 

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この危機の前に、颯爽と巨大化して立ちはだかったのは我らの宙マン……

だが、いかんせん多勢に無勢。

 

バルタン星人Jr「フォッフォッ、殺されに出てきたな、宙マン!」

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宙マン「なんの……

 烏合の衆がどれだけ頭数を揃えようと、正義の前に敵はない!」

バルタン星人Jr「そんな大口を叩けるのも今日限りだ!

 ……ねぇ、そうでしょう、我が親類縁者のご一同様がた!?」

「ああ、そうとも!」

 

宙マン「面白い、ならば試してみるかね!」

「馬鹿め、お前一人でバルタン軍団を止められるものか!

 死ねっ、宙マン!!

真っ向激突、宙マン対バルタン軍団!

……しかし、それはあまりにも悲壮きわまる戦いであった。

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身体能力の高さに、数々の怪忍術……

しかもそれが一体だけでなく、四方八方から嵐のように押し寄せてきては

我らが宙マンめがけて牙を剥いてくるのだ。

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宙マン「こ……これはっ!?」

 

虚像とみれば虚像、実像とみれば実像。

対戦相手を幻惑する、華麗にして不気味なバルタンの分身術だ。

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宙マンがすっかり惑わされ、攻めあぐんだ隙を逃さず――

 

バルタン星人「フォッフォッ、くらえ!」

宙マンめがけて叩きつけられる、バルタン得意の破壊衝撃波。

その直撃は一度だけにとどまらず、二発、三発と……!

グワーン! ズガガガガーンっ!

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「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

「フォッフォッフォッ……暗黒星雲よりご照覧あれ、怪獣魔王様!

 いかに銀河連邦の元・英雄と言っても、所詮はこんなもの……

 我らバルタン星人の敵ではございません!」

バルタン星人Jr「どうだ、どうだ、思い知ったか宙マンめ!」

「……と、まぁ、こういう作戦なワケですよ~」

と、ここで画面はがらりと変わって……

ここは毎度お馴染み、暗黒星雲の怪獣軍団・本拠地。

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居並ぶバルタン一族の面々を前に、怪獣軍団の幹部候補生・バルタン星人Jrが

自らたてた作戦の青写真を自信タップリに説明しているところ――

ここまでの長い前振りは、あくまでバルタンJrの脳内妄想図だったのである。

ひとまずのところは、どうぞご安心を。

 

バルタン星人Jr「ロード・ゼッド一味もヤプールも鳴りを潜め……

 そして「ダークネスファイブ」の連中も夏休みに入った今だからこそ。

 我々バルタン星人の名を高める、絶好のチャンスなわけですよ!

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そう、このバルタン星人Jr。

怪獣軍団の有望な幹部候補生のひとりとして将来を嘱望されるとは言いながら

宙マン相手に連敗を重ね、更に同じ幹部候補生の猛者連「ダークネスファイブ」が

押しの強い存在感を見せつけることで、流石のエリートも押され気味。

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だが、しぶとく抜け目のない彼は、隙あらば目覚ましい地球征服の功を立てることで

「ダークネスファイブ」を出し抜いてやろうと、常にその機会を窺っていたのである。

 

バルタン星人Jr「ね? だからこその、地球総攻撃作戦なワケですよ。

 僕たちバルタンが一族束になってかかれば、地球征服はもちろん

 宙マンだってもはや敵じゃない――そう思いませんか、叔父さんたち?」

バルタン星人「うむうむ、よく言った、倅よ!」

バルタン星人「その覇気、その悪知恵、それでこそ我が自慢の息子!

 フォッフォッ、全く私の若い頃にそっくりだわい!」

バルタン星人Jr「ありがと、パパ!……ちょっと引っかかるけど(汗)

 

「さっすがJr! 一族期待の出世頭だけあって、いいこと言うぜ!」

「よし、やろうやろう!」

「俺らが力を合わせれば、宙マンなんざぁ敵じゃないぜ!」

Jrの言葉に、大いに盛り上がって口々に賛同の意を示す親戚たち。

 

バルタン星人Jr「ありがとう、叔父さんたち、本当にありがとうっ!

 ひとつ、バルタンの底力を見せつけてやろうじゃないですかっ!」

バルタン星人「おうよ、やらいでかっ!」

バルタン星人Jr「では皆さん、地球の日本時間・午前10時をもって……

 我々バルタン星人は、地球への総攻撃作戦を決行しますっ!」

「ウオオーッ!!」


あの恐ろしい地獄絵図が、いよいよ現実のものになるのか――

明くる日、地球はとうとう「運命の時」を迎えた!

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バルタン星人Jr「さぁ、叔父さんたち、今こそ総攻撃の時ですよ!

 バルタンの力で、地球人に目にもの見せてやる時です!

 イッツ・ショータ~イムっ!!

今度こそはと、いやが上にも気分高揚中のバルタンJr。

平和の崩れ去る瞬間は、今まさにすぐそこまで迫っていた。

地球は、宙マンは、このままなす術もなくバルタンの軍門に降るのか!?

 

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……もはや、勝ったも同然だ!」

バルタン星人Jr「そう、勝ったも同然、勝ったも……

 あっ、あれぇぇ~!?(汗)

 

おお、何ということであろう?

作戦決行時刻の午前10時を5分過ぎ、10分過ぎ、30分過ぎ……

ついにはとっぷり陽が落ちてくるころになっても、怒涛の総攻撃が始まるどころか

火の手ひとつ上がってくる気配すらない。

 

バルタン星人Jr「……ちょ、こっ、これは一体!?」

さすがにこれには堪りかねたバルタンJr。

宇宙スマホで、親戚筋に連絡をとってみると……。

「いやぁ、Jrよ、済まん済まんっ!

 急に娘が熱出しちゃって、蕎麦を離れられなくなってさぁ……」

「けほけほっ……おじちゃん、ごめんなさい~」

バルタン星人Jr「ああ、いえいえ、そういう事なら仕方ないです!

 シルビーちゃん、お大事にね、僕も後でお見舞いに行くから!」

「え? 地球総攻撃? 

 悪ィ、すっかりしちゃって、いま宇宙中洲で飲んでるよ!」

「ひっひっひっ、泡盛ゴーヤチャンプルーが旨いのなんのって!」

バルタン星人Jr「(呆然)チャンプルーって……叔父さんたちぃ……」

「やー、よくよく思い出したらさ、今日は合コンとデートの予定がね!

 だからそっちはそっちで頑張ってよね、Jrちゃん――

 そのぶん俺っちは、可愛い甥っ子の分まで楽しんでくるからさ!」

バルタン星人Jr「(わなわな震えて)ぐ、ぐ、ぐがががががっ……」

バルタン星人「ん゛ー、年のせいか、すっかり寝過ごしちまってなぁ。

 寝起きは調子がいまいちなんで、後のことはそっちに任せるからヨロシクな――

 しっかりやるんだぞ、我が自慢の倅よ!」

バルタン星人Jr「(激怒)むっがー!!

 おいコラ、このクソ親父ィッ!!!

 

エトセトラ、エトセトラ。

……そう! 

程度と理由の差こそあれ、よりにもよってバルタン星人の一族郎党は

揃いも揃って地球攻撃の予定をドタキャンした、というわけだ。

 


「う、うがぁぁぁぁーっ!!」

思わず逆上して、一気に巨大化するバルタン星人Jr!

その頃にはもう、既にとっぷりと陽も落ちた真夜中になっていた。

 

バルタン星人Jr「全くもう~、ウチの親類縁者どもときたら……

 どうしてこう、みんな揃いも揃って約束事にアバウトなんだっ!

 いいさいいさ、こうなったらボク一人ででも……!」

もはやヤケクソ、大暴れしようとするバルタンJrだったが……。

 

宙マン「えぇい、そこっ!!

 いい加減にしないか、ご近所迷惑だろうっ!

そこへ颯爽と現れたのは、ご存じ我らのスーパーヒーロー。

エクシードフラッシュで、一撃のもとにバルタンJrを吹っ飛ばす――

バルタン星人Jr「ぐ、ぐわぁぁぁっ……!!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

落合さん「今夜もまた素晴らしいご活躍でしたわ、お殿様!」

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ビーコン「さっすがアニキ、任せて安心っス!」

宙マン「はっはっはっはっ、いや、なぁに……

 騒ぎも収まったことだし、早く家に帰ってゆっくりしようか!」

落合さん「えぇ、それがようございますわね♪」

いつも仲良く、和気あいあいの宙マンファミリー。

でもって、その一方……。

 

バルタン星人Jr「ハンニャラ、ヒ~っ……」

こちら、吹っ飛ばされて目を回していたバルタンJr――

再び意識が戻ると、既に千歳の夜は明け始めているところ。

 

バルタン星人Jr「ねぇ、皆さん、こんなのってアリ? 

 いくらギャグでもアリなんですかね、こんな結末?

 ……なんか僕、いろいろ納得いかないんですけどぉ~!(泣)」

哀れ、いいとこなしのバルタンJr。

怪獣無常! 昇る朝陽に跪く……。