遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

バルタン忍法! 消えたり出たりの巻

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カレンダーも早や、五月下旬に差し掛かって……

もっかのところ、平和そのものと言ってよい千歳市の山々。

だが、今日のこのあいにくの天気。

さながら、これから千歳に訪れる災厄の前兆にも見えてくるのは

果たして我々の考え過ぎであろうか?

……否、残念ながらそうではないのだ!

 

 

おお、読者諸氏よ、二つの眼(まなこ)を閉じてはならぬ。

この世のものとも思われぬ この世の出来事……見るがいい!

「ヴォッフォッフォッフォッ……!!」

またしても地球にやって来た、怪獣軍団の悪の使者。

空間転送で、虚空から浮き出るがごとく姿を現したのは……

もはや説明不要の宇宙忍者・バルタン星人一族のひとりだ!

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バルタン星人「フォッフォッ……不肖バルタン、只今到着です!」

イフ「うむ、まずはご苦労!

 再説明の必要もあるまいが、お前の果たすべき使命は――」

バルタン星人「飲み水への細工、でございますな」

良質な飲み水を供給することで定評のある、千歳市の水源。

そのひとつを、地球には存在しないバルタン星の宇宙バクテリア

ひとたび汚染してしまえば……

バルタン星人「……これを飲んだ生物は、死んだように眠ります。

 そして、全てが寝静まった街を怪獣軍団が制圧するなどは

 もはや造作もないことでございましょう!」

イフ「うむ、素晴らしいぞ! 必ずや現実のものとせよ!」

バルタン星人「フォッフォッ、お任せ下さい、魔王様!

 この池に宇宙バクテリアを投げ込めば、それで万事――」

 

「はっはっはっはっ……

 果たして、思い通りにいくかな!?」

バルタン星人「(ギョッとして)むむ、誰だっ!?」

 

不意に響いてきた凛たる声に、驚いて振り返る星人。

次の瞬間、華麗な空中回転とともに舞い降りてきたのは……

もちろん、この男だ!

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

 怪獣軍団の悪の使者、小賢しい悪だくみは私が許さん!」

バルタン星人「お、おにょれ宙マン……どうしてここが判った!?」

宙マン「なまじ、ヒーロー稼業なんて長くやってると……

 そのテの勘は、嫌でも研ぎ澄まされてくるものでね」

宙マン「最近とみに評判の、一日30食限定のラーメン。

 これを楽しみに、家族と出かけてきた矢先……」

宙マン「店に着いたとたんに、胸騒ぎする嫌な気配だ!

 で、どうにも気になって来てみたら……

 案の定、君ら怪獣軍団が悪さをしかけていたってわけさ」

バルタン星人「むむっ……相変わらず、お節介なヤツめ!」

宙マン「いいかね、一日30食だよ、30食限定――

 このせいで食べ逃したら、一体どうしてくれるね!?」

バルタン星人「(憮然)……俺 が 知 る か っ !!

宙マン「ああ、いいだろう、いい返事じゃないか。

 そういう態度なら、どんな目にあっても文句はないな!」

ファイティングポーズをとり、敢然と身構える宙マン。

さぁ、今日もまた、世紀のビッグファイトの幕開けだ!

同時に駆け寄り、激突する両者!

曇り空の下で、宙マンとバルタン星人が大格闘を繰り広げる。

両手の鋏で、左右からパンチ攻撃を繰り出すバルタン星人!

その攻撃をかいくぐりながら、宙マンも果敢に反撃していく。

バルタン星人「お邪魔虫めが、俺の作戦に手出しはさせんぞ!」

宙マン「いいや、断固としてさせてもらうね!」

キックにパンチ、猛然たる打撃技のラッシュ!

正義の怒りが、バルタン星人をぐいぐい押しまくって行く。

宙マン「このままケリをつけてやる!」

バルタン星人「フォッフォッフォッ……甘い甘い!」

あの特徴的な笑い声を響かせながら……

宙マンの目の前で、ふっとその場から消え失せるバルタン星人。

宙マン「(驚き)むうっ……!?

 バルタン星人め、いつもの小ずるい忍者戦法で来たか!」

果たしてバルタン星人、次はどこからどう現れるか?

敵の奇襲に備え、油断なく身構え続ける宙マンの背後から……!

「フォッフォッフォッ……こっちだ、こっちだ!」

宙マン「――くッ!」

バルタン星人「フォッフォッ、戦いはここからが本番だ!」

怪忍術で相手のペースを乱し、翻弄しながら戦いを優位に進める。

この超能力を前面に押し出したクールなファイト・スタイルこそ

数多の怪獣たちとは一味違う、バルタンの本領なのである。

鋭利な鋏による、突きのラッシュ!

今度はバルタンのペースに、宙マンが圧される番である。

宙マン「なんの、これしきで……負けて、たまるかッ!」

バルタン星人「いいや、負けてもらうッ! これでもくらえ!」

「う、うわぁぁぁぁ……っ!」

バルタン・ファイヤーの威力に、吹っ飛び倒れた宙マン!

その隙を逃さず、バルタン星人が覆いかぶさってくる。

バルタン星人「フォッフォッ……そぉれ、死ね死ね!」

宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」

 

おお、宙マン、絶体絶命の大ピンチ!

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だが、この時……

厚い雲の隙間から、ほんの一瞬だけ顔を出した太陽の煌めきが

宙マンの心に、闘志と勇気をみなぎらせた。

 

宙マン「なんの、これしき……こんなものっ!」

宙マン、パワーとド根性を全開!

覆いかぶさっていたバルタンを、渾身の蹴りで押し返す。

 

宙マン「どりゃあーっ! 宙マン・ショット!

気合とともに、不可視の破壊衝撃波を繰り出す宙マン!

正義の一撃をまともに受けて、宇宙忍者の動きが止まる。

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「ようし、これでとどめだ!

 怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!

ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!

 

宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!

まばゆい閃光とともに、バルタン星人を直撃したボルトサンダーが

星人の全身を猛然と駆け巡り、容赦なく痛めつけて――

バルタン星人「あぎゃばばば……こ、こりゃたまら~んっ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

イフ「うぐぐぐっ、おのれ宙マン、全くもって恐るべき男め……

 見ておれ、この屈辱は何十倍にもして叩きかえしてやるわ!」

 

……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。

我らが宙マンの活躍で、暗躍する宇宙忍者・バルタン星人は倒され

千歳の水源地汚染の危機は未然に防がれたのであった。

このあと慌てて、ファミリーの待っているラーメン屋に戻った彼が

果たして一日30食限定のラーメンにありつけたか、どうか?

 

それは敢えて、ここでは語りますまい。

今日も本当にありがとう、宙マン!

だが未だ、怪獣軍団の野望は尽きない。

次回も頼むよ、ホントにホントに!