小サイズにみっちり詰まったリアル造形の高密度と、バラエティ豊かな顔ぶれが
ずらり揃ったラインナップで評判の現「ウルトラ怪獣シリーズ」……
その華々しい市場展開は、30年以上の長きに渡り、時代毎のウルトラキッズらの
よき友であり続けてくれたバンダイの一大ロングセラー「ウルトラ怪獣シリーズ」、
即ち840円ソフビのノウハウや販路などをストレートに受け継ぐことができたという
恵まれた境遇にも支えられていることを忘れるわけにはいかないでしょう。
そんな旧840円ソフビの中から、今回リペイントの遡上にあげますのはこちら。
2001年放映『ウルトラマンコスモス』TVシリーズに登場し、正統派怪獣然とした
そのルックスと暴れっぷりが印象的だった古代暴獣・ゴルメデの亜種にあたる
第32話登場の“古代暴獣・ゴルメデβ”君です。
で、塗りあがりましたのがコチラ!
「防衛軍の兵器開発工場から排出された汚染物質の影響による体質変化」という
劇中の設定に基づく、どこか毒々しさも漂う縫いぐるみのカラーリングが醸し出す
キャラクターとしてのネガティブ・イメージを払拭しようと言う意図に基づきましてか
劇中映像に忠実な塗装であることを旨としていたこの時期の怪獣ソフビには珍しく
かなり玩具っぽいポップな彩りで店頭に並んでいたゴルメデβ人形。
幼児層が手にする玩具である以上、可能な限り生理的嫌悪感を払拭しようと言う
商品の開発意図は非常に正しいものではありますが、やはりワタクシとしましては
劇中において縦横無尽に暴れ回っていた「あの」ゴルメデβの猛々しいイメージが
どうしても忘れられないものですから、少しでもその印象に近づくことができるよう
ソフビの上から更に塗料を塗り重ねていくことと致します。
使う塗料は、例によって模型用のラッカー系塗料がメイン――
そして光沢を落としたい場合には、今回もまた塗装面の艶消し剤として
タバコライオンが大活躍でございます(笑)。
何段階かのドライブラシによって奥行きある色調を徐々に「立ち上げ」ていきつつ
ちまちまと身体各部をも塗り分け、ウォッシング&パステル汚しで仕上げ。
そして最後のダメ押しとして、つや消しスーパークリアーを全体にスプレーして
油絵の具やパステルなどといった「本来ソフビ表面に定着しないマテリアル」を
しっかりソフビの上に固着させてやれば出来上がりです。
以上、今回は旧840円ソフビ版ゴルメデβのリペイントの巻でした。
バンダイ開発陣のリアル造形ノウハウが円熟の域に達した時期の商品だけあって
どれをとっても傑作・佳作揃いの『コスモス』怪獣ソフビたち……
リペイントという形で真っ向から向き合ってみると、どれも味わい深さいっぱいの
愛おしい奴らばかりだなぁ、としみじみ感じずにはいられません。