「TVの特撮仮面ヒーロー番組とは、イコール玩具その他のアイテムの販促番組であり
劇中のドラマもシチュエーションも、全てはその販促に付随するものである」……
……な~んてことを賢しらに言われると、根っからヘソ曲がりの僕としましては
つい脊髄反射的に反発しちゃいたくもなるのですが、それはさて置いて(笑)。
で、今朝放映の『ブレーザー』17話。
宇宙をさすらいながら、彷徨える怪獣たちの魂を浄化して「成仏」させて回っている
宇宙の侍・ザンギルと、ひょんなきっかけで交流を持つこととなったゲント隊長&
ブレーザーとの共闘……と言う、これまでのミリタリック&サイエンスな対怪獣戦とは
一線を画する展開の「宇宙妖怪譚」。
こういう変化球的なエピソードが入り込みやすいのは、一話完結のSF幻想アンソロジー
『ウルトラQ』をその源流とするウルトラシリーズならではの貴重で美しい伝統であり
同時にまた、連続ストーリーとしての経糸を重視する向きからすれば、エミの過去や4
「V99」の謎などを放ったらかしにして、前回のゆるアニメキャラ総集編だったり
今回の現代妖怪譚だったりの寄り道は、ある意味でノイズでしかないでしょうから
何を悠長な――と苛立たれるのもまたご尤もだとは思うのですが。
その上で、改めて本話に注目してみたならば――
「彷徨える怪獣たちの霊魂」と言う形で、バザンガ、ゲードス、タガヌラー、
レヴィーラ、デルタンダルにニジカガチ……と、これまで登場した怪獣たちが
続々と再登場を果たし、同時に「霊魂と実体のはざまにある厄介な存在」となった
ニジカガチを倒し、その怨霊を鎮めるための共闘の過程において、ザンギルが
自らの霊的パワー(って解釈で良いですよね?)をブレーザーのチルソナイトソードに
付与してみたり、その怨霊態ニジカガチに憑依されて暴走しかかったザンギルとの
激しい剣戟戦が繰り広げられてみたり……と言った具合に、風変わりな異色編にして
同時に本シリーズにおける重要な商材である「怪獣」と「チルソナイトソード」の
かなり露骨なぐらいの(笑)販促回でもあった、と言う厳然たる事実!
本筋のドラマが盛り上がる回でのみならず、こういうストーリー重視の単独回で
メインスポンサー関連の販促ノルマを消化……いえ、むしろ「昇華」してしまう
『ブレーザー』と言う作品の不敵さ、僕ぁもう大好きでしてね~(微笑)。
バンダイ(BANDAI) ウルトラ怪獣アドバンス ニジカガチ&アースガロン Mod.2ユニット
そんな一筋縄ではいかない今話の不思議さと嫋々たる視聴後の余韻醸成において
大きな役割を果たしてくれたのが、今回登場のゲストキャラ、宇宙侍ザンギルと
その人間態に扮した唐橋充氏。
飄々とした氏ならではの持ち味をぐっと抑えつつも、それでも滲み出てきてしまう
「地球・日本の武士文化かぶれの宇宙人」と言う要素(笑)を、あくまで真面目に
しっかりと地に足のついたお芝居で演じて下さったからこそ、それが何とも言えない
可笑しさ込みでの「キャラクターとしての味」に繋がり……
その相手役となったゲント隊長役の蕨野友也氏もまた、変にデフォルメし過ぎない
きっちりとしたお芝居の出来る役者さんですので、そんなお二人の演技の間合いによる
「大人な感じ」の空気感もまた、近年の若さ弾ける(笑)ニュージェネ路線においては
なかなか味わえなかった、本作ならではの滋味だったと思います。
かつて宇宙でザンギルと戦った剣士がかの宇宙剣豪ザムシャーっぽいね、という
『メビウス』ファンのハートがきゅんと来るような(笑)含みを持たせてみたり
幻の怪獣たちの出現地点を予想してそれぞれの現場へSKaRD隊員たちが向かう中で
4話での事件後、もはや昔年の栄光と化したノヴァイオ社の末路を匂わせる描写、
怨霊態ニジカガチの大暴れで、崩壊した高架道から転落しかかっていたトラックを
ブレーザーが助けるくだりのやりとりや特撮演出など、普段とはちょっと違った
単発回だからこそのディテール面での「遊び」もきらりと光り……
そんなどこか不思議で心地よい余韻とともに、次回からはまた大きく事態が動きそうな
本筋の『ブレーザー』にも没入していけそうな気がします!